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2009-12-01 00:00:00

新鋭ドライバー3人が富士でオーディションに挑戦

トップタイムは山本尚貴だが、2人も好タイム! さらにエンジンウォーズも加速!?

 11月30日(月)、すっかり冬の気配に包まれた富士スピードウェイに、フォーミュラ・ニッポンマシンの咆哮が響いた。そのステアリングを握ったのは、将来を嘱望されている若手ドライバーの3人。このオーディションによって、来年、レギュラーシートを射止めるのは、誰なのか?

オーディションの3人とテスト車、4台が走行
 シーズン最終戦から約2ヶ月。この日、富士には4台のFN09が顔を揃えた。トヨタがエンジンテスト用に持ち込んだ車輌に加え、Team LeMans、NAKAJIMA RACING、HFDP RACINGの3チームが、若手ドライバーのオーディションのために、マシンを持ち込んだ。
 そのステアリングを握ったのは、今年全日本F3のナショナルクラスを制した山本尚貴(21歳)、今季SUPER GTのGT500クラスにデビューした中山友貴(22歳)、さらに今年ユーロF3に参加していたTDPドライバーのヘンキ・ワルドシュミット(22歳)。山本と中山は、午前と午後でマシンを乗り換えて、NAKAJIMA RACINGとHFDP RACINGの両方でテストを行い、ワルドシュミットは終日Team LeMansのマシンをドライブした。
 またトヨタのエンジンテストのために持ち込まれたテスト車輌は、SUPER GTでGT500クラスチャンピオンの経験もある伊藤大輔が終日、ステアリングを握っていた。

午前はあいにくのウェットコンディション
 この日のセッションは午前10時〜12時、午後2時〜4時の計4時間。前夜に降った雨の影響で、午前中はウェットからセミウェット。午後に入ってようやくライン上が乾き、全車スリックタイヤでの走行を行なっている。しかし、終日天気は曇りで、気温は8〜11度ほど。路面温度も気温とほぼ同じで、底冷えするようなコンディションとなった。
 その中で、まず午前中は、全車レインタイヤでセッションをスタート。ルーキーたちは、まずマシンに慣れるところからスタートした。そして、午前中のセッションが残り30分を切ったあたりで、HFDP(塚越広大が使用した17号車)に乗る山本がユーズドのスリックタイヤを投入。続いてNAKAJIMA RACING(デュバルが使用した31号車)に乗る中山も、同じくユーズドのスリックを装着した。ここで山本が1分31秒236というトップタイムをマークするが、まだまだ完全に路面が乾いた時のタイムには及ばなかった。

最後のアタックで山本尚貴がトップタイムを獲得
 2時間のインターバルを経て、午後のセッションが始まる頃には、ライン上が完全ドライに。各車、スリックタイヤを装着してコースに入る。しかし、開始から15分というところで、赤旗が提示。油圧センサーの問題から、エンジンストップしてしまったNAKAJIMA RACINGのマシンが、最終コーナーでストップしたためだ。このマシンの回収を終え、セッションが再開されたのは、午後2時30分。ここから全車、本格的な走行に入り、タイムも午前中からは飛躍的に伸びた。
 そして、セッションの残り時間が約1時間となったあたりからは、山本と中山が、それぞれ3セットずつ持っていたニュータイヤを投入。Team LeMansの車両(国本京佑が使用した7号車)のワルドシュミットも2セットのニュータイヤを使用した。
 これでセッションの最終盤は、まさに予選アタックのシミュレーションという状況。ここでまず1分24秒667というタイムをマークしてトップに立ったのは、山本。これは、今年の開幕戦富士で平手晃平(No.20 ahead IMPUL/TOYOTA)が記録したポールタイム1分24秒653に迫るものだ。続いて中山が1分25秒073をマークし、2番手につける。その中山を上回ってきたのは、初来日のワルドシュミット。ワルドシュミットは最後のアタックで1分24秒952までタイムを伸ばした。さらに、山本も最後のアタックでは、それまでの自己ベストを1000分の1秒更新。今回のテストを総合トップで終えた。3人のベストは、開幕戦の予選ならトップ4に入るという驚異的なもの。現時点では、来季の参戦は分からないが、極めて質の高いオーディションであったことは間違いないだろう。

来季のエンジン開発もヒートアップ
 今回、トヨタが来季エンジンのためのテスト車両を走行させたが、実はHondaの2台も2010年に向けたカスタマイズエンジンを搭載していた。つまり、オーディション用車両ということではあったが、新エンジンの開発も行われていたわけだ。今季もトヨタとHondaによるエンジンウォーズが熾烈に繰り広げられたが、両社とも早くも来季に向け開発がヒートアップしてきたようだ。

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トップタイムを叩き出した山本(午後)

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SUPER GTで所属するNAKAJIMA車に乗る中山(午前)

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LeMansのマシンで走るワルドシュミット(午前)

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テスト車に搭載されたトヨタの2010年仕様エンジン

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今回のHondaエンジンは来季に向けカスタマイズされている


オーディション参加ドライバーのコメント
山本尚貴 ベストタイム:1'24.666
「最初は、1年前(ルーキーテストでクラッシュ)を思い出して緊張しましたね。でも、今年もう1年F3を戦っての経験があるし、NAKAJIMA RACINGでもアドバイスしてもらい、それで気持ちを落ち着けることができました。午前中の終わりにスリックタイヤを履いてから、少し慣れました。ブレーキングでがんばって、何回か飛び出したりはしているんですけど、富士はセーフティーゾーンが広いので、どこまで行けるか確かめつつ走りました。条件やクルマの違いはありますが、最後にトップタイムで終わるというのは大切なことですし、自分でもこのテストで出し切った感はあります。終わって『これ(FN09)でレースをしたい』という気持ちが強くなりました」

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ヘンキ・ワルドシュミット ベストタイム:1'24.925
「僕にとっては、初めての日本、初めてのフォーミュラ・ニッポンカーだったけど、朝はレインコンディションで、マシンやコースに慣れることに専念した。スピード的にもそれほど悪くなかったと思うけど、もっと速く走れる自信はあるよ。富士はとても美しいコースだと思ったよ。前半セクションと後半セクションが全く違うタイプで、特に最後のセクターはとても難しい。慣れるにはもう少し時間が必要だ。それに、ブリヂストンタイヤも今回が初めてで、まだタイヤのグリップを最大限に生かしていない。今回のテストにはTDPから勧められて参加したけど、僕はこのクルマ、好きだね。ただ、今のところ、来年に関してはまだ何も分からないんだ」

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中山友貴ベストタイム:1'25.073
「今朝はウェットでのスタートだったんですけど、GTでも雨は経験していたので、ビビることなく走れましたし、数周したところで慣れることができました。ドライになってからは、自分がやりたいようにやらせてもらえました。ただ、タイムは上手く縮めることができませんでしたね。それは自分にも原因があったと思います。自分の好みに合わせたクルマにできなかったというか…。まだ甘いっていう部分があったと思います。体力的には問題なかったですし、乗り足りないぐらいです。このテストに向けてたくさん勉強してきて、今日はそれを出し切れたと思います」

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