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2008-12-04 00:00:00
[第3回FN09メーカーテスト] 武藤、塚越、国本がサプライズ参加
小暮、井出、松浦、石浦を交え、早くも火花散るタイムアタック合戦を展開
12月2日(火)〜4日(木)の3日間、ツインリンクもてぎで行なわれたFN09メーカーテストは、これまでにない豪華な顔ぶれが揃った。HONDAエンジン搭載車は小暮卓史、井出有治、松浦孝亮に加え、アメリカ・インディカー・シリーズで活躍中の武藤英紀とF3ユーロシリーズに参戦している塚越広大がドライブ。一方、TOYOTAエンジン搭載車のドライバーには石浦宏明と、11月16日に開催された第55回マカオグランプリで日本人ふたり目となる優勝を果たした国本京佑が参加してのテストとなった。 テスト初日はあいにくの雨に見舞われるも、残り2日間は暖かな陽気に恵まれ、両陣営ともに精力的にテスト走行を行なった。3日間の総合ベストタイムは3日目に塚越広大が記録した1分32秒353。FN06のコースレコードを1秒以上も上回り、塚越はFN09初ドライブを感じさせないタイムをたたき出している。 8月のシェイクダウンから4カ月間、計6回のテストを経て練磨されたFN09は、来年1月に各チームへとデリバリーされ、いよいよ2009年の戦いが始まることになる。チームのエンジニアリングを受け、さらに戦闘力を上げたFN09がサーキットを駆ける時、新たなコースレコードが生まれることは間違いないだろう。 【ドライバーコメント】 ●松浦孝亮 「エンジンがパワーアップしているにも関わらず扱いやすいクルマだなという印象を受けました。ダウンフォースもかなり効いていますが、FN06とは違いステアリングは軽いですね。ドライコンディションではあまり走れませんでしたが高速コーナーでのグリップはかなり感じることができました。全体的に僕好みのマシンです」 ●井出有治 「FN06からFN09への乗り換えはまったく違和感ありませんでした。ダウンフォースも効いていてF1に近いクルマだと感じました。09仕様のタイヤもいい感じですね。今日は長い距離を走ることはできませんでしたが、来年はきっと面白いレースになると思います。まだ来年のシートは決まっていませんが良いレースができるよう頑張ります」 ●国本京佑 「9月22日にSUGOで行なわれたドライバーオーディションでFN06に初めて乗っていますが、そのときは時間が短かったこともあり攻めることができませんでした。FN09も今回が初めてでしたが、違和感なく乗ることができました。マシンに関してはFN06でも感じたのですが、とにかくパワフルな車だな、と。そして、FN06よりもダウンフォースが増えている印象を受けました。今回はマックスまで攻めて走ることができたのでタイムに関してはまったく気にしていません。もちろんまだまだ足りない部分はありますけどね。今日一日の総括としては満足のいく走りができました」 ●小暮卓史 「FN09のテスト走行は、SUGO以来でしたがエンジンの面からも乗りやすく、ステアリングも軽く、段々と来年の方向性が見えてきました。個人的にはFN06よりも操作が簡単だと思います。今日(3日)は良いタイムも出していますし(11月11日に伊沢選手が同じマシンで出した1分32秒779というコースレコードを破る1分32秒403を記録)、セッティングを詰めていけば来年は面白いレースになる可能性は十分にあります。今年は自分自身納得のいかないシーズンでした。来年目指すのはもちろんシリーズチャンピオンです」 ●武藤英紀 「今回のテストは、オフシーズントレーニングということで10月くらいに僕からHONDAさんにFN09に乗せてほしいと依頼し実現しました。ダウンフォースはインディカー・マシンのほうがあるとは思いますが、ステアリングはインディカー・マシンより軽く、音もFN09のほうが良かったですし、速くて楽しいマシンだと思いました。正直もう少し乗っていたかったですね。パワーもスピードも近い車に乗るというのはやはりプラスになります。ぜひまた呼んで頂きたいと思います」 ●石浦宏明 「FN09はダウンフォースも効いていて旋回スピードも速く、また車高に対しても敏感で、FN06とはまったく別の車でした。計2日間走行しデータは集められたので、データを見直してセッティングのコツを見つけ、来年に備えたいと思います。また、車両が変わり全ドライバー、全チームがゼロからのスタートとなるので、今から来年が楽しみです」 ●塚越広大 「まずFN09に乗るチャンスを与えてくださったHONDAさんに感謝しています。フォーミュラ・ニッポンのマシンはまったくわからなかったので、テスト初日から来てエンジニアさん達とのコミュニケーションを深め、コース外からもマシンを見て走行に備えていました。GP2のテストも3回ほどこなしたのですがスピード感も変わらず、GP2マシンとの違和感はあまりなくすんなり乗ることができました。しかし、FN09は癖の強いマシンで、コーナーの入口と出口でリアが出てしまうことがありました。まだブレーキもうまく使えていないので全体としてはマスターしきれませんでした。またタイヤがうまく温められなかったので、もうちょっといけたかなとは思いますが少しでも長く乗れたので良かったです。来年はF3からステップアップしたいと思いますので、チャンスがあればどこにでも乗れるようトレーニングしておきます」 【関係者コメント】 ●株式会社本田技術研究所 坂井氏 「今回のテストでは前回のベストタイムを上回るタイムが出ましたし、これまで劣勢だった最高速についてもTOYOTAエンジン搭載車に対抗できる結果が得られ、非常に手ごたえを感じています。シェイクダウンからこれまで集積したデータを基にして、さらにドライバビリティやトルク特性を味付けすれば自信をもってレースに投入できるエンジンに仕上がりますね。ファンの皆さんには、ぜひ期待してほしいです」 ●トヨタ自動車株式会社 松浦氏 「何よりHONDAエンジン搭載車のベストタイムを越えられなかったことが悔しいですね。テスト3日目の午後はデファレンシャルギアのテストをしたのですが、セッティングを合わせきることができずにタイムが伸びませんでした。ですが、今回のテストを含めてシェイクダウンから計3900km以上を走行し、開発当初からターゲットとしていた距離を走行することができましたので、十分にレースができるエンジンに仕上がったと思います」 ●株式会社ブリヂストン 菅沼氏 「FN09はエンジンも3.4リッターになり、ダウンフォースも増しているということで、タイヤへの負担がより大きなものになることが懸念されました。そのため、私たちは、安全面から構造的な耐久性を持つタイヤの開発を進めてきました。コンパウンドも従来より固めのものを使用し、テストを通じマシンの特性がつかめてきましたので来年へ向けて(新型タイヤ開発の)めどは立ちました。来年は今まで以上によりエキサイティングなレースになると思いますので、タイヤの面からレースを支えていきたいと考えています」 |