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2010-11-06 00:00:00

最終戦 鈴鹿 DELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING 予選レポート

< 公式予選 > 天候:晴れ | コース状況:ドライ

井口卓人にとっての地元開催となった第6 戦オートポリスでは、早めのタイヤ交換が奏功し見事6 位入賞、念願のシリーズポイント“ 3 ” を獲得したDELIZIEFOLLIE/CERUMO ・INGING。チーム、ドライバーともにようやくひとつのハードルを越えた感があるが、長かったシーズンも既に終盤戦に突入し、鈴鹿サーキットで行われる今大会はついに今季最終戦。タイトル争いの最終章となる今大会は2 レース制での変則的な開催となるが、井口とチームにとって1 年間の集大成とするべく、さらに高いレベルを目指してレースウィークを迎えることとなった。

爽やかな秋晴れとなった土曜の午前9 時25 分、気温17℃、路面温度22℃というコンディションの中1 時間のフリー走行が始まった。井口はセッション開始と同時に、ホワイトのマーキングが施されたユーズドタイヤでコースイン、まずは1 分47 秒054をマーク。タイヤを温めるとともにコース状況とマシンチェック、そして自らのウォームアップを終えた井口は、1 分44 秒176、1分43 秒350 と順調に周回を重ね、いったんピットに帰還しフィーリングをチームに伝えセットアップに調整を加える。午前9 時42 分、ユーズドタイヤのまま再びコースに戻った井口は、コースイン2 周目にすぐさま1 分43 秒031 にタイムアップ。この時点でトップとのタイム差は約1 秒ながらポジションは12 番手という状況だ。翌周再び井口はピットへ。ウォールで立川スーパーバイザーが見守る中、メカニックたちがイエローのマシンに取り付き、迅速にセットアップ作業を進めていく。

前述したように今大会は通常のレースフォーマットとは異なり、日曜に2 つの決勝が行われる2 レース制となっているが、レース1 のグリッドはQ1 の結果で、レース2 のグリッドはQ3 の結果によって決定することとなっている。それぞれ20 周、28 周とレース距離の短い決勝となることもあり、いつも以上に予選での速さが重要視されるだけに、DELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING と井口にとって開幕戦以来の課題でもある予選でのパフォーマンスアップは欠かせない。日曜朝のウォームアップ走行もないため、このセッションでじっくりと走り込んで、なんとか午後のノックダウン予選、そして決勝に備えたいところだ。午前9 時53 分、再びピットを離れた井口は1 分43 秒983、1 分43 秒448 と2 周計測するとピットイン。残り時間が20分を切る中、チームでは井口のマシンにニュータイヤを履かせ、午前10 時7 分、今一度コースに送り出す。ライバル勢に先駆けてニュータイヤでコースインした井口は、ニュータイヤでの2 周目に1分41 秒754 と一気にタイムアップ、4 番手に浮上する。翌周を1 分42 秒196 とした井口はピットイン、さらにセットアップを煮詰めて行くと残り7 分となったところで再びコースへ。井口はこの後チェッカーまで決勝を想定し、燃料を多めに積んで周回。まずまずの手応えを得て、結局8 番手でこのセッションを終えることとなった。

サポートのFCJ の決勝レースが終了した午後2 時、F ニッポンのノックダウン予選がスタートした。気温は18℃、路面温度は25℃となっている。ここまでQ2 への進出を果たしていない井口だけに、なんとしても上位12 台までに食い込みQ2 へ駒を進めたいところだが、チームはフリー走行のデータを踏まえセットアップのアジャストも終え、万全の体制でこのセッションを迎えた。セッションスタートと同時にピットを離れた井口は、スタンドに陣取る応援団の声援を受けコースイン。まずはこのセッション1 セット目のニュータイヤを温めつつ、1 周目を1 分49 秒757 とした井口は、計測2 周目に1 分42 秒516 にタイムアップし、まだまだ序盤ながら4〜5番手につけると残り12分のところでピットイン。多くのライバル勢も同様のタイミングでピットに入り、つかの間の静寂がコースに訪れる。この段階で、井口のポジションは8 番手だ。残り7分となったところでピットアウト、口火を切ったロイック・デュバルを先頭に続々とFNマシンが2度目のアタックに向かう。井口も残り6 分となってピットアウトしていくが、コースインした直後の井口のマシンに異変が襲う。実は、最初のアタックの段階で、井口は既に微妙なパワーダウンを感じており、「なんとか2 セット目のアタックまで持ってくれれば……」との思いを胸にしてのコースインだったのだ。白煙を上げスローダウンしたゼッケン29 の井口のマシンは、惰性で東コースのショートカット部分に進入、マシンを止めてしまう。その様子を映し出すモニターを、黙って見上げるピットのスタッフたち……。ウォールで戦況を見守っていた立川スーパーバイザーも、無念の表情で足取り重くピットに戻ってくる。

その間も、ライバルドライバーたちのタイムアタックが続く。残り1 分を切った段階で井口は9 番手。“このままセッションが終わってくれれば……”という僅かな望みも空しく、次々とタイムアップしていくライバルたち。2 セット目のニュータイヤでアタックできぬまま、見る間に井口のポジションは最下位となる15番手にドロップ、DELIZIEFOLLIE/CERUMO・ INGINGと井口の最終戦の予選セッションは、思いがけない形で終止符が打たれることとなった。
結果からすれば、フリー走行での1 分41 秒7 というタイムさえ出ていれば楽にQ2 に進出できただけに、予想外のトラブルが悔やまれてならないが、この結果、井口は明日のふたつの決勝でともに最後尾からの追い上げを強いられることに。有終の美を飾るべく臨んだ最終戦での過酷な試練に、チームと井口はどのように立ち向かうのだろうか。逆境を跳ね返す奮闘を期待したい。

ドライバー/#29 井口 卓人
「フリー走行から調子が良くて、ニュータイヤでのアタックもほとんどミスなくまとめることが出来、上位とのタイム差もなく予選に向けて良い準備が出来ていたのですが……。何が原因かは分かりませんが、ああいう形で2 セット目でアタックが出来なかったので、非常に残念です。1 セット目の途中で少しパワーダウンしているフィーリングがあり、それでもなんとか1 周アタックを終えられたものの、2 セット目でコースインしたときにはもうアクセルを開けても回転が上がらず、白煙が見えたので止めました。Q2 への手応えも充分だったのですが、結果的に明日の2 戦は最後尾からのスタートとなってしまいました。しかし、2 レース目はタイヤ交換もありますし、戦略などチームとしっかり考えて、これまでにない追い上げるレースを見せたいと思います」

スーパーバイザー/立川 祐路
「今日は走り始めからクルマの状態も良かったようですし、フリー走行でのタイム的を見てもQ2 には行けそうだな、という手応えをチーム全員が持っていただけに残念です。1セット目のアタックの際、既にトラブルの兆候があったようなので、それがなければもっとタイムが出ていたでしょうし、Q2進出も果たせていたかもしれません。明日は2 レースとも周回が短いのに、両方とも最後尾からスタートしなければならず不運としか言いようがありませんが、前回は先行して後続を抑えるレースを見せてくれた井口に、今度は抜いて追い上げて行くレースを見せてもらいたいと思います。そのために、明日は戦略を含めてチーム全体でミスなく良いレースを戦いたいですね」

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