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2010-10-18 00:00:00
Rd.6 オートポリス DELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING 決勝レポート
◆ 10月17日 (日) Final
#29 井口 卓人 6 位
< 決勝レース / 50 周 > 天候:晴れ|コース状況:ドライ
昨日同様、爽やかな秋晴れとなった日曜のオートポリス。前日の予選では上位進出の期待も空しく、14 番手となった井口。ドライバーにとっての地元開催となる今大会だが、予選14 番手からの怒涛の追い上げを果たすために重要なポイントとなる、午前9 時05 分からのフリー走行は気温14℃、路面温度19℃という肌寒いコンディションの中、始まった。
セッション開始と同時にコースインした井口は、計測1 周目を1 分36秒000 とすると翌周には1 分35 秒046 にタイムアップ。その翌周、午前9 時12 分にはいったんピットインしてマシンのセットアップに僅かに修正を加えた井口は、すぐさまピットアウト。コースに戻る際には、ピットロードエンドでスタートのシミュレーションを行うなど、決勝に向けた準備を着々とこなしていく。しかし、コースに戻った井口が連続周回に入ろうとした矢先、インフィールドでロイック・デュバルがクラッシュ。このためセッションは午前9 時19 分に赤旗中断となってしまう。午前9 時27 分、セッションの再開と同時にコースインした井口は、1 分35 秒290、1 分35 秒910、1 分36 秒057 と3 ラップ計測してピットイン。再びセットアップを修正した井口は、その後チェッカーまで1分35秒台の走行を続けることに。ベストタイムの更新はならなかったが、その後のサーキットサファリの時間帯をも利用してさらに周回を重ねた井口とDELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING は、いよいよ午後2 時30 分からの50 周の決勝に臨むこととなった。
決勝前のウォームアップ走行でフィーリングを確認した井口は、眩しい日差しの降り注ぐグリッドでじっとスタートの時を待つ。そして気温22℃、路面温度38℃となった午後2 時30 分、ついに第6 戦決勝のスタートとなった。いつもは好スタートを武器にジャンプアップを見せる井口だったが、この日はホイールスピンを喫して出遅れ、背後の松田次生に先行を許してしまう。ところが、その直後に先頭集団で4〜5 台のマシンが接触する多重クラッシュが発生する。全開で加速中の井口は、間一髪フルブレーキングでこの混乱をかいくぐり、一気に1 周目に10 番手にまで躍進を果たすが、このアクシデントの処理のためにセーフティーカーが導入されたところで、チームは急遽戦略を変更し2 周目に井口をピットに呼び戻す。タイヤ交換が義務付けとなっている今大会、ピット作業を短縮するために2 輪のみの交換という選択肢もあったが、残り48 周という長い周回をこなさなければならないため、チームは4 輪交換を選択。さらに当初はフレキシブルな戦略が採れるよう、ある程度の燃料を搭載していたものの、そのままでは最後まで走り切れないためチームはあわせて給油も行い、井口をコースに復帰させる。この結果、井口は11 番手でコースに復帰、セーフティーカーに先導された隊列に戻っていく。
コースサイドのクラッシュ車両の処理が終わり、レースが再開されたのは6 周目から。井口の後に小暮卓史、平中克幸がピットに入ったことから9 番手という絶好のポジションからレースをスタートさせることとなった井口は、前を行く石浦には届かないものの、経験豊富なトップコンテンダーである小暮を相手に一歩も引かないレースを展開。コンマ数秒差での白熱した攻防を続けていく。スタンドに陣取った井口の応援団の声援を受け、8 周目に1 分36 秒409 の自己ベストをマークした井口は、36 秒〜37 秒台というラップタイムを並べ、小暮に付け入る隙を与えない。9 番手のまま緊迫した戦いを続けた井口だったが、18 周目に5 番手を走行していた松田次生がコースサイドにマシンを止めたことで、ポジションは8 番手に。ついにポイント圏内に進出を果たした井口だったが、さらに21 周目にはトップを走っていた山本尚貴がピットインしたことで井口は7番手に。25周目には3位を走行していたケイ・コッツォリーノがピットインしたことで、またも井口は6 番手へとポジションをアップして行く。
その間にも井口を攻め立てていた小暮だったが、28 周目のインフィールドでマシントラブルからコースアウト。これで一気にプレッシャーから開放された井口は29 周目には5 番手に進出するが、そのころから徐々に井口のタイヤが消耗し始めてしまう。リヤ、フロントともにかなりの周回を消化してきたために、マシンバランスに苦しみ始めた井口の背後には、後からピットインを行いフレッシュなタイヤを履く塚越広大、コッツォリーノ、そして山本らが迫り始める。なんとか背後のプレッシャーを凌いでいた井口だったが、33 周目に塚越、コッツォリーノらとそろってオーバーテイクボタンを使用しながらのストレート勝負を展開中、ピットアウトして来た平手晃平に1 コーナーで行く手を阻まれて立ち上がりで失速。予想外の不運で塚越、コッツォリーノの後塵を拝し7 番手にドロップした井口は、さらにタイヤの消耗が進む中、レース終盤には山本との激しい競り合いを続けることとなったが、44 周目の第1 ヘアピン立ち上がりで山本に間隙を突かれ、8 番手に落ちてしまう。
それでも、是が非でも初ポイントを地元の応援団の前で果たすべく、井口はポイント圏内をキープ。このまま1 ポイント獲得かと思われたところで、一時は4 番手を走行も燃圧低下に見舞われた平手がペースダウンし始め、井口は49 周目の100R 付近でこれをパス。7 番手に浮上してファイナルラップに突入した井口は、ついに悲願のポイントゲットを達成。しかも地元コースでの初ポイント獲得に、「チェッカーを受けたときには、ちょっと涙が出てしまった」と井口。ウォールで出迎えるスタッフたちも、苦しいレースを乗りきり、ようやく貴重な2 ポイントを獲得した井口を手を振って出迎えることとなった。
レース後、応援団の前に挨拶に向かったほか、ピットに戻ってもメディアの取材をこなし、慌しく空港に向かっていた井口に、なんとレース後の再車検で4 位でフィニッシュしていた塚越の車両が失格となったとの一報が。これで順位がさらにひとつ繰り上がり、井口は6 位となり、2ポイントではなく3 ポイントを獲得することに。予期していなかった、さらなるプレゼントを得た井口は、ひとつのハードルを越えた充実感を胸に機上の人となったのだった。
ドライバー/#29 井口 卓人
「スタート直後のアクシデントをうまく避けることが出来た後、セーフティーカーが入ったところで、早めにタイヤ交換をしたほうが良いだろうと、チームが良い判断をしてくれました。結果的に見ても、この作戦のお陰でポジションを上げることが出来ましたし、この判断は正解だったと思います。ただ、レース後半は特にリヤタイヤが厳しくなり、さらにブレーキングではフロントタイヤがロックしやすく、白煙が上がるなど、文字通りコース上に留まるのがやっとという状況でしたが、小暮選手をはじめ、上位のドライバー達と戦えたことで大きな収穫があったと思いますし、地元の応援団の方々の前で、自分にとっての初ポイントをようやく獲得できたことを本当に嬉しく思います。レース後に失格となったマシンがあったことで6 位に繰り上がったのは、あくまでもおまけのようなものですし、まだまだ予選など課題は多いので、最終戦の鈴鹿でも頑張りたいと思います。」
テクニカルディレクター/村田 淳一
「結果的にセーフティーカーが入った際に、予選下位グループの中で真っ先にタイヤ交換を終えたことが良かったと思います。その後にピットインした小暮選手らの前に出ることが出来ましたが、それがこの結果につながったと思います。チームとしても井口の地元で初ポイントを獲得することが出来て本当に嬉しく思いますし、ペースに勝り経験豊富な小暮選手を抑え切るなど、今日の井口は良く頑張ったと思います。決勝でのペースは今日のようにまずまずですので、あとはやはり予選での一発が井口の課題でしょう。最終戦では予選順位を少しでも上げて、そこから決勝をスタート出来るようチームとしてもバックアップして行きたいと思います」
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#29 井口 卓人 6 位
< 決勝レース / 50 周 > 天候:晴れ|コース状況:ドライ
昨日同様、爽やかな秋晴れとなった日曜のオートポリス。前日の予選では上位進出の期待も空しく、14 番手となった井口。ドライバーにとっての地元開催となる今大会だが、予選14 番手からの怒涛の追い上げを果たすために重要なポイントとなる、午前9 時05 分からのフリー走行は気温14℃、路面温度19℃という肌寒いコンディションの中、始まった。
セッション開始と同時にコースインした井口は、計測1 周目を1 分36秒000 とすると翌周には1 分35 秒046 にタイムアップ。その翌周、午前9 時12 分にはいったんピットインしてマシンのセットアップに僅かに修正を加えた井口は、すぐさまピットアウト。コースに戻る際には、ピットロードエンドでスタートのシミュレーションを行うなど、決勝に向けた準備を着々とこなしていく。しかし、コースに戻った井口が連続周回に入ろうとした矢先、インフィールドでロイック・デュバルがクラッシュ。このためセッションは午前9 時19 分に赤旗中断となってしまう。午前9 時27 分、セッションの再開と同時にコースインした井口は、1 分35 秒290、1 分35 秒910、1 分36 秒057 と3 ラップ計測してピットイン。再びセットアップを修正した井口は、その後チェッカーまで1分35秒台の走行を続けることに。ベストタイムの更新はならなかったが、その後のサーキットサファリの時間帯をも利用してさらに周回を重ねた井口とDELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING は、いよいよ午後2 時30 分からの50 周の決勝に臨むこととなった。
決勝前のウォームアップ走行でフィーリングを確認した井口は、眩しい日差しの降り注ぐグリッドでじっとスタートの時を待つ。そして気温22℃、路面温度38℃となった午後2 時30 分、ついに第6 戦決勝のスタートとなった。いつもは好スタートを武器にジャンプアップを見せる井口だったが、この日はホイールスピンを喫して出遅れ、背後の松田次生に先行を許してしまう。ところが、その直後に先頭集団で4〜5 台のマシンが接触する多重クラッシュが発生する。全開で加速中の井口は、間一髪フルブレーキングでこの混乱をかいくぐり、一気に1 周目に10 番手にまで躍進を果たすが、このアクシデントの処理のためにセーフティーカーが導入されたところで、チームは急遽戦略を変更し2 周目に井口をピットに呼び戻す。タイヤ交換が義務付けとなっている今大会、ピット作業を短縮するために2 輪のみの交換という選択肢もあったが、残り48 周という長い周回をこなさなければならないため、チームは4 輪交換を選択。さらに当初はフレキシブルな戦略が採れるよう、ある程度の燃料を搭載していたものの、そのままでは最後まで走り切れないためチームはあわせて給油も行い、井口をコースに復帰させる。この結果、井口は11 番手でコースに復帰、セーフティーカーに先導された隊列に戻っていく。
コースサイドのクラッシュ車両の処理が終わり、レースが再開されたのは6 周目から。井口の後に小暮卓史、平中克幸がピットに入ったことから9 番手という絶好のポジションからレースをスタートさせることとなった井口は、前を行く石浦には届かないものの、経験豊富なトップコンテンダーである小暮を相手に一歩も引かないレースを展開。コンマ数秒差での白熱した攻防を続けていく。スタンドに陣取った井口の応援団の声援を受け、8 周目に1 分36 秒409 の自己ベストをマークした井口は、36 秒〜37 秒台というラップタイムを並べ、小暮に付け入る隙を与えない。9 番手のまま緊迫した戦いを続けた井口だったが、18 周目に5 番手を走行していた松田次生がコースサイドにマシンを止めたことで、ポジションは8 番手に。ついにポイント圏内に進出を果たした井口だったが、さらに21 周目にはトップを走っていた山本尚貴がピットインしたことで井口は7番手に。25周目には3位を走行していたケイ・コッツォリーノがピットインしたことで、またも井口は6 番手へとポジションをアップして行く。
その間にも井口を攻め立てていた小暮だったが、28 周目のインフィールドでマシントラブルからコースアウト。これで一気にプレッシャーから開放された井口は29 周目には5 番手に進出するが、そのころから徐々に井口のタイヤが消耗し始めてしまう。リヤ、フロントともにかなりの周回を消化してきたために、マシンバランスに苦しみ始めた井口の背後には、後からピットインを行いフレッシュなタイヤを履く塚越広大、コッツォリーノ、そして山本らが迫り始める。なんとか背後のプレッシャーを凌いでいた井口だったが、33 周目に塚越、コッツォリーノらとそろってオーバーテイクボタンを使用しながらのストレート勝負を展開中、ピットアウトして来た平手晃平に1 コーナーで行く手を阻まれて立ち上がりで失速。予想外の不運で塚越、コッツォリーノの後塵を拝し7 番手にドロップした井口は、さらにタイヤの消耗が進む中、レース終盤には山本との激しい競り合いを続けることとなったが、44 周目の第1 ヘアピン立ち上がりで山本に間隙を突かれ、8 番手に落ちてしまう。
それでも、是が非でも初ポイントを地元の応援団の前で果たすべく、井口はポイント圏内をキープ。このまま1 ポイント獲得かと思われたところで、一時は4 番手を走行も燃圧低下に見舞われた平手がペースダウンし始め、井口は49 周目の100R 付近でこれをパス。7 番手に浮上してファイナルラップに突入した井口は、ついに悲願のポイントゲットを達成。しかも地元コースでの初ポイント獲得に、「チェッカーを受けたときには、ちょっと涙が出てしまった」と井口。ウォールで出迎えるスタッフたちも、苦しいレースを乗りきり、ようやく貴重な2 ポイントを獲得した井口を手を振って出迎えることとなった。
レース後、応援団の前に挨拶に向かったほか、ピットに戻ってもメディアの取材をこなし、慌しく空港に向かっていた井口に、なんとレース後の再車検で4 位でフィニッシュしていた塚越の車両が失格となったとの一報が。これで順位がさらにひとつ繰り上がり、井口は6 位となり、2ポイントではなく3 ポイントを獲得することに。予期していなかった、さらなるプレゼントを得た井口は、ひとつのハードルを越えた充実感を胸に機上の人となったのだった。
ドライバー/#29 井口 卓人
「スタート直後のアクシデントをうまく避けることが出来た後、セーフティーカーが入ったところで、早めにタイヤ交換をしたほうが良いだろうと、チームが良い判断をしてくれました。結果的に見ても、この作戦のお陰でポジションを上げることが出来ましたし、この判断は正解だったと思います。ただ、レース後半は特にリヤタイヤが厳しくなり、さらにブレーキングではフロントタイヤがロックしやすく、白煙が上がるなど、文字通りコース上に留まるのがやっとという状況でしたが、小暮選手をはじめ、上位のドライバー達と戦えたことで大きな収穫があったと思いますし、地元の応援団の方々の前で、自分にとっての初ポイントをようやく獲得できたことを本当に嬉しく思います。レース後に失格となったマシンがあったことで6 位に繰り上がったのは、あくまでもおまけのようなものですし、まだまだ予選など課題は多いので、最終戦の鈴鹿でも頑張りたいと思います。」
テクニカルディレクター/村田 淳一
「結果的にセーフティーカーが入った際に、予選下位グループの中で真っ先にタイヤ交換を終えたことが良かったと思います。その後にピットインした小暮選手らの前に出ることが出来ましたが、それがこの結果につながったと思います。チームとしても井口の地元で初ポイントを獲得することが出来て本当に嬉しく思いますし、ペースに勝り経験豊富な小暮選手を抑え切るなど、今日の井口は良く頑張ったと思います。決勝でのペースは今日のようにまずまずですので、あとはやはり予選での一発が井口の課題でしょう。最終戦では予選順位を少しでも上げて、そこから決勝をスタート出来るようチームとしてもバックアップして行きたいと思います」
Rd.6 オートポリス DELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING 決勝レポートPDF