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2010-09-24 00:00:00

Rd.5 SUGO 公式合同EPSテスト走行 レビュー・ドライバーコメント

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8月上旬にツインリンクもてぎで行なわれた第4戦から約1ヶ月半。全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第5戦が、いよいよ明日からスポーツランド菅生で予選・決勝を迎える。それに先立つ9月24日(金)には、午後4時から1時間の公式合同EPSテストが実施された。これは、今大会から導入されるパワーステアリングの動作確認とドライバーの慣熟走行のため。セッションが開始されると、どのドライバーも初めて使用するパワーステアリングの感触を確かめながら、周回を重ねた。
一昨日まで、夏の空気に覆われていた日本列島。しかし、昨日からは寒気が上空に流れ込み、練習走行も晩秋のような冷え込みの中で行なわれた。この日の菅生はどんよりとした曇り空。走行が開始された午後4時の時点で、気温は15℃、路面温度は21℃というコンディションとなった。
走行が開始されると、間もなく全車がコースイン。本日はユーズドタイヤのみでの走行だが、計測3周目あたりからは、多くのドライバーが早くも1分10秒を切るタイムをマークし始める。中でも、開始から10分というあたりで、一気に1分07秒台のタイムを出してきたのは、前回のもてぎで優勝し、波に乗る No.1 ロイック・デュバル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。他のドライバーが1分08秒台で周回する中、圧倒的な速さを見せた。このデュバルに続いて、1分07秒台に入れてきたのは、No.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)。さらにNo.2 伊沢 拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)もチームメイトのデュバル同様、走り始めから次々に自己ベストを書き換え、セッション半ばにはロッテラーを上回り、2番手に浮上した。一方、セッションが終盤に入ってからタイムを上げてきたのは、現在ランキングトップに立っているNo.19 J.P・デ・オリベイラ(Mobil1 TEAM IMPUL)。オリベイラは、セッションの残り時間が約7分となった時点で、1分07秒461というタイムを叩き出し、一時はデュバルを上回った。しかし、その3分後には、デュバルがこれを再逆転。最終的には1分06秒960と、唯一07秒を切るタイムをマークする。その直後、セッションは赤旗によって終了。これは、No.10 塚越 広大(HFDP RACING)が最終コーナーでコースアウト、クラッシュしたため。塚越は、その前周に自己ベストを書き換え、さらにプッシュを続けていたが、最終コーナーの路面のギャップでマシンがボトミング。バランスを崩して、タイヤバリアにマシン左側を激しくヒットした。この時、最後のアタック中だった他のマシンは、自己ベストを更新することができなかった。
結局、1時間のセッションをトップで終えたのは、デュバル。オリベイラ、伊沢、塚越、ロッテラー、 No.8 石浦 宏明(Team LeMans)がこれに続いた。現在1ポイント差でオリベイラを追うNo.32 小暮 卓史(NAKAJIMA RACING)はこのセッション、レースセットに専念していたということで、7番手に留まっている。一方、この日、マシンのセットアップに苦しんだのは、ランキング3位につけているNo.20 平手 晃平(Mobil1 TEAM IMPUL)。パワーステアリングの調整も、今ひとつ仕切れなかったということで、まさかの12番手に終わっている。

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■No.1 ロイック・デュバル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
今日のセッションは、最初から印象的だったね。パワーステアリングがついたことで、クルマが今までよりシャープになったから、最初はあんまり上手く運転できなかったんだ。最初は、ステアリングを切り始めるのが早過ぎて、どのコーナーでもイン側の縁石に乗ってしまっていたんだよ。3〜4周したら慣れたし、自分のラインを見つけられたけど。まぁ、そんな状況だったのに、最初の走行を終えてピットに戻ってタイムを見たら、“ワオ”っていう感じだった。すごく速くて感動したよ。それに、1時間のセッションを通じて、他のドライバーよりもずっとコンマ5秒ほど速かったから、OKだよ。パワーステアリングが装着されたことで、それほどクルマが変わったとは感じられなかった。もちろん自分にとって、1から5まであるポジションのどれが最適かっていうことは試したし、もちろん若干ステアリングは軽くなっている。その分、高速コーナーでのスピードは上がったよね。その影響で、身体全体に、今まで以上のGフォースを受けることになった。腕は楽になったけど、身体全体に掛かる負担は大きくなっている。一方では楽になったけど、他方ではハードになった感じだね。だから、トータルとしては余り今までと大きな違いがないんだけど、今日の結果はハッピーだよ。それでも、クルマはまだ完璧じゃないし、進化させられる余地がある。今日、ただひとつ疑問だったのは、ナカジマ・レーシング。僕が思うに、明日雨の予報が出ているから、彼らはレースセットアップをやっていたんじゃないかと思うけど。いずれにしても、僕らはとても調子がいいし、今日のテストには満足しているよ。

■No.19 J.P・デ・オリベイラ(Mobil1 TEAM IMPUL)
今日はセッションを通じて、クルマの状態を進化させることができたね。途中、一箇所セットアップを変えたんだけど、それがいい方向に進んだ。でも、まだもう少しタイムを上げる方法を見つけないと。ロイックがとても速いから。パワーステアリングは、高速コーナーでとてもいいシステムだと感じたね。1から5までポジションがあるんだけど、ポジションを1つ変えただけでは、余り違いを感じないんだ。でも、1から5に変えたら、違いを感じることができる。僕にとっては真ん中ぐらいのポジションが良かったかな。このシステムを使うことで、問題を抱えたドライバーもいるみたいだけど、僕にとっては問題ないよ。ドライビングに関しても、特に調整しなければならない部分はなかった。ただ、ハイスピードコーナーが容易になるっていうだけで、大きな違いはなかったよ。軽過ぎたら、クルマからの情報が得られないから良くないと思うけど、今のシステムは完璧だと思う。クルマのセットアップに関しては、明日に向けてギヤレシオを考えないといけないね。今日はシフトアップのポイントが良くない場所があったんだ。特に、最終コーナーの真ん中では、ギャップの直前でシフトアップしなければならなくて。アップした直後にギャップがあったから、クルマがとても不安定になって、そこで大きくタイムロスをしていたんだ。その点をもっと良くしていかないとね。動きとしては、セッション序盤には少しオーバーステアがあったけど、そこから少し調整して行って、段々良くなってきているよ。

■No.32 小暮 卓史(NAKAJIMA RACING)
今日は満タンでした。だから、問題ないんですけど、不安になりますね。ああいう速いタイムを出されると。僕も悪くはないと思うんですけどね、クルマの全体的な動きは、どうなるかちょっと読めないですよね。(ロイックのタイムに関しては)去年は、暑くて6秒3とか出ているじゃないですか。今年は、ちょっとタイヤが硬いとは言え、5秒台が出るんじゃないかって読んでいました。だから、ニュータイヤじゃなくてもあれぐらいは行くんじゃないですか? パワーステアリングに関しては、低速よりも高速の方が効くので、そこでちょっと違和感がありますね。今までの低速コーナーと高速コーナーの差が、極端に狭まったんですよ。低速コーナーだと、パワーステアリングが余り効かないんですよね。高速コーナーの負荷が掛かった時だけ、ガーッと効くので。だから、高速コーナーは軽くなったんですけど、低速コーナーはあんまりアシストしていなくて、前と変わらないので、変な違和感があるんです。重さのポジションも1から5まで全部試しました。でも、全部使っちゃうと5が楽なんで、5を使っちゃいそうな気もするんですけど(笑)。だけど、5だと変な違和感があるので、3ぐらいがちょうどいいのかな。ステアリングを切るタイミングなんかは、今までと同じような感じでいけました。最近、重い状態でのセットアップをやっていなかったので、今日はすごくデータを取れてテストとしては良かったと思います。ただ、回りが速いので、余裕はないです。ロイックもそうですけど、オリベイラが2番手にいますからね。

■No.20 平手 晃平(Mobil1 TEAM IMPUL)
 パワーステアリングがついたことによって、タイヤから伝わるインフォメーションが少ないのと、切ったら切りっぱなしになって、戻ってこないっていうのがあるんですよ。すごく情報量が少なさ過ぎて。アンダーはアンダーなんですけど、どういうアンダーなのかっていうのが分からなかったり。ひとつ間に挟まっちゃっている感じなんです。タイヤもすごく古いのを使っていたので、タイヤなのか、クルマなのかっていう感じだったんですけど、それをより分かりにくくしているシステムが間に入ってしまっている感じなんですよね。だから、取っ払っちゃおうかなとも思っているんですけど。もう少し車体自体に負担が掛かれば、もう少しインフォメーションを掴みやすくなると思うんですけど、パワーステアリングがついていない状態の時に、一番軽いナックルのポジションにしていたので、パワーステアリングをつけたことで軽くなり過ぎちゃってっていうのもあったと思うんです。他のドライバーに聞いたら、その対策をしてきているチームもあるんですよね。パワーステアリングを一番軽い方のポジションにして走っていても、グッとくるっていうドライバーもいたので。僕は、一番軽いポジションにしたら、雨の中で走っているぐらい軽かったので、その辺の合わせ込みをしなくちゃマズイんだろうなと思います。エンジニアもその準備はしてくれているんですけど、今日は余りにも情報が伝わらなくて、途中でよく分からなくなってしまうような状況でしたね。それを明日までにどうにかしないと。レースを考えると使わないわけにはいかないというか、使った方が身体にいいと思いますし。今日は軽く迷走していましたけどね。