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2011-09-14 00:00:00

システム Eの第1回テストが鈴鹿で行われる

ホンダとトヨタのテスト車両がコースを周回。技術説明会も開かれる

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 9月14日、鈴鹿サーキットでフォーミュラ・ニッポンで採用を予定している『システム E』の走行テストが行われた。参加したのは、フォーミュラ・ニッポンにエンジンを供給するホンダとトヨタよりそれぞれ1台。走行は午前10〜12時と午後2〜4時に計4時間実施された。また、この日のお昼には、両メーカーのエンジニアによるマスコミ向け車両説明も実施された。テストは15日まで行われる。
 システム Eはエンジンと共にバッテリーとモーター(右写真の中央、銀色のパーツ)を搭載するいわゆるハイブリッドシステムだ。説明会の冒頭に株式会社日本レースプロモーション(JRP)の白井裕社長は、「フォーミュラ・ニッポンが将来的に魅力あるものになるには、時代に即したものにしなければいけない。それは環境問題に対応した技術もあります。しかし、レースの魅力をスポイルしてもいけない。システム Eは、そのための技術です。また、メーカーにとって技術を試す場としても提供できると考えています」とその導入の意義を語った。

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 続いて、株式会社本田技術研究所 フォーミュラ・ニッポン プロジェクトリーダーの坂井典次氏(写真・右)、トヨタ自動車株式会社 モータースポーツ部グループ長の松浦幸三氏(同・左)がそれぞれの車両に搭載したシステム Eの内容を紹介した。基本的には、バッテリー(電池)、インバーター(直流を交流に変換する装置)、モーター、そしてそれらを冷却するラジエーター等で構成されるという。これをFN09に搭載し、オーバーテイク・システムと同様にドライバーが操作するとモーターが駆動し、約40馬力ほどのパワーアップとなり、パッシングや加速に役立てる。そして、燃料の消費も抑制できるというものだ。ホンダの坂井氏によると「鈴鹿で50周のレースなら、10周に1回10秒使えるシミュレーションをしています」と言う。また、当初は採用しないとしていた回生システムも備え、F1のように1周ごととはいかないものの2、3周でフル充電するものにしたいとしていた。また、トヨタの松浦氏には「レースではクラッシュする可能性があり、安全性を十分に考える必要があります。今回、アメリカ製の電池を使っていますが、これは釘が刺さっても、100度を超える温度になって発火しないという安全性の高さを評価して採用しました」と説明した。システム Eに使われる機器は基本的に市販されているものを使い、レースに採用されるものは共通化されるという。ただし、バッテリーだけは自由競争として、市販車にも技術研究が反映されることを考えていると白井JRP社長は語っている。

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TOYOTA説明資料より

 当初、システム Eの最初のテストは5月に予定されていたが、東日本大震災の影響で、今回のテストがシェイクダウンとなった。このため、まだモーターによる駆動は試されておらず(14日午前の時点)、インバーターなどの機器が走行時の振動に耐えられるか、重量増(約53kg)に対する車両バランスとブレーキ系の要領の確認、冷却系のチェックなどがテスト項目だという。今日のテストでは、それぞれの開発ドライバーを務める道上龍(ホンダ車)、松田次生(トヨタ車)が走行を担当。好天に恵まれた鈴鹿サーキットで、2台共に積極的に走行し、確認と調整を繰り返していた。
 システム Eは、今年あと2回のテストが予定され、効果や安全性の確認を行っていくという。なお、白井JRP社長は「来年の車両の方向性は10月には決めなくてはならず、開発が4ヶ月遅れたことで来季の導入は難しいでしょう。今度、2回のテストを実施して、どの時期に導入できるか考えていきたいと思います」とした。

右側サイドポンツーン(インテーク内)に配置されたバッテリー(上:Honda、下:TOYOTA)

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左のサイドポンツーンにはバッテリーやインバーターなどを冷却する小型ラジエターを搭載
左インテーク内にはインバーターが取り付けられている(共にHonda)

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ミッションの左側にモーター(中央銀色)が設置されている(TOYOTA)

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鈴鹿を走るシステム Eを搭載するテスト車(上:Honda・道上龍/下:TOYOTA・松田次生)

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TOYOTAのピットでは高圧の電流に配慮し、メカニックは絶縁手袋着用で作業していた

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