SUPER FORMULA Logo

SUPER FORMULA Official Website

JapaneseEnglish

t_news

2014-03-20 00:00:00

新エンジンの重要部品である燃料リストリクター公開

富士テストの記者懇談会で取材陣の目前に実物が披露される

NS018674 Image1



 3月19日、第3回公開テストが行われた富士スピードウェイで、スーパーフォーミュラの話題の人と記者たちが語り合う記者懇談会が行われた。ゲストには今季の新エンジン開発を指揮するトヨタのスーパーフォーミュラ・プロジェクトリーダー永井洋治氏、Hondaのスーパーフォーミュラ・プロジェクトリーダー佐伯昌浩氏、そしてこれまでHondaの先代プロジェクトリーダーの坂井典次氏が招かれた。

 まず2人の開発者に前回の鈴鹿テスト、そしてこの日午前までのテストの手応えを語った。トヨタの永井氏は「今回は開幕前最後のテストですので、細かい課題をしっかり見直し、開幕レースを迎えられるようにしたいです。今のところはプログラム(当初の計画)どおりですね」と鈴鹿でも富士でも好タイムを記録しているだけに余裕の表情。一方、タイム的には少し差が出てしまったHondaの佐伯氏は「エンジンは前回(の鈴鹿テスト)と同じままなので、車体の(テスト)メニューをこなしてもらっています。やはり(富士でもトヨタとの)タイム差はあるようですが、エンジンに関しては、そのタイム差の分(の対策)を捕らえています。開幕戦に向けての準備を進めていきます」と開幕に向けての策はあると語った。

NS018674 Image2

NS018674 Image3



 話が進む中、サプライズとして永井氏が取りだしたのは、今季のエンジンに取り付けられている「燃料リストリクター」の現物だった。エンジンの出力制限方式は、これまでのスーパーフォーミュラで使われた回転数制限、SUPER GTで使われるエアリストリクター、燃料の総量を決めるなどいろいろあるが、それぞれ一長一短であり、開発者側も市販車エンジンとかけ離れるという行き詰まりがあった。
 これに対して、提案されたのが燃料の流量を制限する「燃料リストリクター」だった。これはエンジンに燃料が吹き込まれる瞬間の量を制限する方式で、空気と燃料の効率よい比率は決まっているため、必然的にパワーが制限される。これまでもアイディアとしてはあったが、液体の流量を制限すると気化して詰まることがあり、そうなると急減速に繋がり危険だとされている。今年のF1でも燃料流量を規制する方法が採られているが、流量を監視するに留まり、レース後の違反判定が難しい。これに対し、スーパーフォーミュラの新エンジンでは急減速を克服して瞬時の流量を規制できる本物の「燃料リストリクター」なのだ。そして、この開発にはトヨタとHonda、そして同型エンジンをSUPER GTのGT500でも使用するため日産も加わり、ライバル意識を棚上げして知恵と技術を出し合って作り上げた“Nippon Race Engine”のキーパーツなのだ。

NS018674 Image4



 もうひとつのメリットに、この燃料ストリクターによるパワー制限はドライバーにストレスを与えないという。従来のパワー制限はパワーがガクッと落ちたり、アクセルを加減する燃費走行を強いられることがあった。だが、燃料リストリクターはアクセルを踏む以前に規制されるため、ドライバーが意識することはない。つまり、走りやバトルに専念できるわけだ。そして、スーパーフォーミュラの特徴であるオーバーテイクシステムは燃料リストリクターになっても存在する。ボタンを押すと一定時間、燃料リストリクターをバイパスして燃料が増え、パワーが上がる仕組みになる。

 燃料リストリクターは各メーカーにとって第三者であるケン・マツウラレーシングサービスで製作・調整され、主要個所を封印されてレース週の金曜日にJRPに納品。JRPでは抽選の上で各チームに渡し、取り付け時にさらに封印。こうやって公正を期すという。

実は、この燃料リストリクターの公開には伏線があった。鈴鹿テストでの懇談会で、開発途上だけにエンジン本体をなかなか見せてもらえない記者たちから「新技術を示すものを見せてもらえないか」と持ちかけられ、永井氏が「(共通のパーツである)燃料リストリクターなら」と約束し、今回の公開に至ったのだ。

NS018674 Image5

NS018674 Image6


 最後に、新しいプロジェクトへ異動となることが決まったHondaの坂井氏が、記者やカメラマンにあいさつを行った。「国内のレースに来るのは最後になると思います。じゃあ何をやるのか、僕もサラリーマンなのでまだ言えませんが、…あ、F1じゃないですよ(笑)。ここで培ったいろいろなこと、教えてもらったレースのノウハウを、また次に受け継いでいくこともやらなければ、とも思います。皆さんから激励を受けながら、この現場に立てたことを嬉しく思います。ありがとうございます」と、坂井氏が語ると、記者達から餞別に温かい拍手が贈られた。

NS018674 Image7