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2016-03-15 00:00:00
ドライの2日目はNo.64 中嶋大祐がトップタイム!
第1回公式合同テスト 2日目 鈴鹿サーキット
昨日の雨から一転、陽射しに恵まれた鈴鹿サーキット。ただし、北風が強く、体感的には寒いコンディションの中、全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズの第1回公式テスト・2日目のセッションが行われた。この日のセッションは、午前2時間、午後2時間半の計4時間半。前日のクラッシュによるマシンのダメージが大きく、修復が間に合わなかったNo.10 塚越広大(REAL RACING)を除く、19台が参加してテストが行われた。各チームともに、ニュータイヤを多く残していたため、最後は白熱のタイムアタック合戦となり、予選さながらの緊迫感がサーキットに充満、その中で、最後に鮮やかなタイムでトップを奪ったのは、No.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)だった。
午前中のセッションは、午前9時ちょうどに開始予定だったが、コースがクリアになっていなかったため、9時02分30秒にスタート。それに伴い、チェッカーフラッグも、午前11時02分30秒ということになる。開始時の気温は11℃、路面温度は13℃。そのコンディションの中、各チームは、まずクルマの状態を確認。タイヤ交換練習などを行うチームもあった。しかし、開始からわずか6分というところで、赤旗が提示される。No.18 中山雄一(KCMG)が最終コーナーの立ち上がりでスピン、コース上にストップしてしまったためだ。このマシンの回収が終わり、セッションが再開されたのは午前9時14分。そこから各ドライバーは、本格的な走行に入る。しかし、No.3 ジェームス・ロシター(KONDO RACING)が、間もなく東コースのショートカットにマシンをストップ。しかし、退避路にマシンを止めたため赤旗は提示されず。チームがロシターのクルマをピットに押し戻し、修復作業を行ってコースに復帰させている。この頃、トップに立ったのは、No.34 小暮卓史(DRAGO CORSE)。まずは1分38秒台に突入してくる。
しかし、その数分後、セッションは2回目の赤旗によって中断。これは、No.16 山本尚貴(TEAM 無限)が、S字2つ目の立ち上がりでイン巻きする形でスピン、クラッシュし、逆バンク入り口でストップしたため。このマシンの回収が終わり、セッションが再開されたのは、午前9時39分。そこから各チームは、さらにテストメニューを消化していく。その中で、まずニュータイヤを投入してトップに立ったのは、注目のルーキー、No.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。バンドーンは、この時点で小暮のタイムをコンマ2秒ほど上回る1分38秒745をマークした。しかし、その数分後、トップタイムを書き換えたのは、No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)。ファン感謝デーの2日目、全くニュータイヤを使わなかったため、他の多くのドライバーよりも1セット余分にタイヤを残していたロッテラーも、ここでニュータイヤを装着し、1分38秒270までタイムを伸ばしてきた。
その後、セッションの残り時間が約40分を切ったところで、ロッテラーを上回ってきたのが、No.2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)。さらに、No.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)が、この日最初に1分37秒台に突入し、一時トップに躍り出る。その10分ほど後、トップタイムを書き換えてきたのは、No.8 小林可夢偉(SUNOCO Team LeMans)。可夢偉は、大祐のタイムを100分の8秒ほど上回る、1分37秒567を叩き出した。
セッションの残り時間が12分ほどとなったところからは、この可夢偉のタイムをターゲットとし、各ドライバーがニュータイヤを装着して、アタックに向かう。可夢偉自身も、再度ニュータイヤを装着して、コースへと向かった。しかし、どのドライバーも可夢偉のタイムにはなかなか及ばない。それを最後の最後に破ったのは、ロッテラー。ロッテラーは、1分37秒360までタイムを伸ばし、昨日のウェットテストに続いて、ここでもトップタイムを奪った。これに続いたのは、可夢偉。以下、大祐、No.11 伊沢拓也(REAL RACING)、国本、No.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)。そしてバンドーン、No.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)とルーキーの2人が続いている。
2時間のインターバルを経て、午後のセッションが始まったのは、午後1時ちょうど。この時点では、気温13℃、路面温度22℃とかなり路面温度が上がってきた。このセッションには、18台が出走。午前中のセッション半ばにシケインでストップしてしまったNo.7 ナレイン・カーティケヤン(SUNOCO Team LeMans)は、ギヤボックスのトラブルが発生。現場での修復が難しいということで、午後の走行を見送った。また、午前中のクラッシュの修復が長引いた山本、午前中にステアリングラックのトラブルが出て、やはり修復に時間を要したNo.65 ベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)は、セッション半ばからようやく走行を再開している。
さて、セッションが始まると、序盤から好タイムを刻んだのは、No.05 松下信治(ホンダテストカー)。午前中、ロングランテストをし、午後に予選シミュレーションを行うと言っていた松下が、セッション開始からわずか10分ほどの時点で、早くも1分37秒862をマークする。一方、レギュラー陣は、ヨコハマタイヤに合わせてのセットアップをより煮詰めるべく、テストメニューを消化。そして、開始から1時間ほどが経過したところで、可夢偉が1分37秒548と午前中とほぼ同じタイムをマーク。さらに、大祐が1分37秒463をマークした。
その数分後、午後2時11分には、赤旗が提示される。これは、バンドーンがデグナーコーナーのひとつ目にオーバースピードで入り、2つ目でコースアウトしたため。このマシンの回収が終わり、セッションは午後2時23分に再開される。その数分後には、ロッテラーが1分37秒252をマークして、いよいよ自身がマークした午前中のトップタイムを上回ってくるが、間もなくセッションは2度目の赤旗によって中断される。これは松下が、やはりデグナー2つ目でコースアウトしたためだ。このマシンの回収が終わり、再びセッションが始まったのは、午後2時40分。ここでニュータイヤを投入して、トップタイムを書き換えてきたのが、No.1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)。石浦は1分37秒033と、いよいよ36秒台が見える所に近づいてきた。これに続いて、No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が1分37秒015、ロシターが1分37秒011と、トップタイムが書き換えられていく。そして、セッションが残り12分となったところで、可夢偉とロッテラー、そして石浦がとうとう1分36秒台に突入した。
セッション残り時間が10分を切ったところからは、そのタイムアタック合戦がますますヒートアップ。ここで、セクター1で抜群の速さを見せた大祐が1分36秒706というタイムを叩き出す。その後、各ドライバーも果敢にコースを攻めたが、このタイムにはわずかに届かず。大祐が初の公式テストトップの座を奪った。
ドライバーコメント
総合トップタイムNo.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)
遅いよりは速い方がいいので、今日の結果は嬉しいですね。周りの人からは、誰でも勝つチャンスがあると言われてきましたが、僕は、ここまで結構、結果が残せていない方のドライバーだったと思いますし、そこが苦しい部分でもありました。その分、たまにでもこういう結果を残せたことは嬉しいです。
去年の中盤からチームの体制が固まって、クルマのベースセットアップ作りをコツコツやっていました。その分、ベースとしてはある程度高い位置にあるというのは分かっていたので、そこからどうやってもっともっと引き出して行くかっていうことを今回のテストではやりました。それが最後にちゃんとつながったかなと思いますね。ちゃんとヨコハマタイヤに合わせるべく、チームのみんなが頑張ってやってきてくれた成果だと思います。
ただ、そんなに簡単なシリーズでもないので、テストで1回速かったからといって、毎回そんなわけにはいかないと思います。今日もコンマ1秒の中に4〜5台いましたよね。そういう風に、誰でもトップになり得るし、誰でもビリになり得るので、これで安心せずに。このレースの厳しさは結構分かっている方だと思うので(苦笑)、気を抜かずに頑張りたいですね。ただ、本当に力のあるメンバーが今はチームの中に揃っていると思うので、チャンスではあると思っています。サーキットに関わらず、もっとクルマ作り、ドライビングを詰めて行けば、強いものが作れるんじゃないかと思いますね。
総合2位
No.8 小林可夢偉(SUNOCO Team LeMans)
僕はファン感の2日目の午後に、ようやく鈴鹿に入って、昨日のウェットでも6周ぐらいしかしていないので、今日のドライが本格的なテストになりましたが、そんなに悪くはなかったです。タイヤが去年とは余りにも違うので、それに合わせて調整して、どういう感覚で走れるのかということを中心にやりました。ただ、やりたかったロングランなどはできなかったので、それは次回。もっと詰めるべきところは詰めたいです。
タイヤに合わせたバランスは“まぁこんなもんだろうな”っていうのは分かったんですけど、岡山ではシーズンに向けて、もう少しダメ出しもしたいですね。そうやって、細かいところをレースに向けて準備して行ければ、充分いいかなと思います。今日のニュータイヤでのアタックラップも完璧ではなかったですけど、悪くはなかったですね。トップも狙っていなかったです。午後も、他よりも早い段階でニュータイヤも使いましたしね。岡山では、もう少しバランスを良くして、一発がもう少し出るようにしたい。理想のクルマはこんなもんだっていうイメージをそれで置いておいて、スタート、ロングラン、ピット作業などを岡山ではちゃんとやりたいと思っています。
今のところ、去年以上の手応えがあります。コースを知っている分、だいぶ余裕ありますね。去年は何のこっちゃ分からなかったですけど、今年は各コースをイメージしてレースウィークに入れますから、だいぶ違うと思います。
金石勝智監督(REAL RACING)
塚越選手の様子について
3月14日(月)〜15日(火)に、鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズの第1回公式合同テスト。その初日、午前中セッションの終了間際、№10 塚越広大(REAL RACING)に、大きなクラッシュが発生したのは既報の通りだが、その後の塚越の様子はどうなのか。心配するファンの方々に対して、金石勝智監督がメッセージを寄せてくれた。
「昨日の段階で、メディカルセンターの先生にも、病院で改めて検査をしたりする必要はないと言われました。とりあえず安静にしておきなさいと言われたので、すぐ帰ってずっとホテルで寝ていたんです。2日目の午前中には、工場に寄ってからピットに戻ってきましたが、元気でした。昨日打った背中の痛みが増したというようなこともないです。首も少しだけムチウチっぽい感じはありますけど、“今、クルマがあったら乗れます”と言っていました。顔がむくんでいたりということもないですし、体調が悪いというのも全くありませんね。皆さん、ご心配をおかけしましたが、結構彼は“モッてる”と思います。空を飛んだのは初めて。でも、今日もすぐ乗りたいと言っていたので、精神的にも全然大丈夫。次回の岡山テストまでには、クルマも直して、走らせる予定です。本当に色々ご心配をおかけしましたが、ファンの皆さんの気持ちが伝わって、広大の身体は何ともありませんでした。これからも広大のことを応援してあげてください。よろしくお願いします」