作戦計画01 : 開幕直前! 第1戦鈴鹿サーキットに向けて

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HP REAL RACING

10大神 槙也

ドライバー:塚越 広大

1.2013年仕様のタイヤについて〜鈴鹿実戦に向けたシャシー・セッティングについて
Q今年使用する新しい仕様のタイヤは、実際に走らせてみて、どんな特性だと受け止めていますか?
A全体的に(特に高荷重時の)グリップが上がっており、旧仕様よりも剛性感も向上している。前後バランスはフロントがグリップする方向に変わった。耐熱・耐摩耗性能も向上しているように見えるが、夏場のコンディションでどうなるかはまだわからない。
Q現状、新しいタイヤに合わせたセッティングはどんな方向になりそうですか?
Aフロントがグリップする方向に変わったので、前後バランスをアジャストする必要はありそう。また、ラップタイムが上がり入力荷重が増える*のでサスペンションの硬さも見直す必要がある。

*入力荷重が増える : コーナーの旋回速度が高くなり、マシンに加わる遠心力も、ダウンフォースも増える

Qとくに鈴鹿サーキットにおいてセッティングの「鍵」となるコーナー、セクションはどのあたりだと考えていますか?
A合同テストではセクター1(2コーナー・S字)でライバルに対して遅れを取っていたため、特にセクター1を意識しています。
2.今回の鈴鹿ラウンドにおけるレース・フォーマットについて
Q「レース距離300km、燃料タンク容量制限なし」という条件に対して、作戦立案において特に検討を要するポイントはどこですか?
A 燃料タンク容量の制限がないがレース距離が50km長くなった影響の方が大きい。ピットウィンドウ*を広くとり給油時間を短くするためにリーンマップ*で走行をするのか、ペースを上げるべくリッチマップ*で走行するのか、そのバランスを検討する必要がある。

*ピットウィンドウ : どのあたりでピットインするかを「窓」に例える

*リーンマップ : エンジンを制御する燃料噴射量や点火時期を回転数やアクセル踏み込みに対してどう変化させるかという"マップ"において、燃費を稼ぐためには燃料噴射量を"出力最適状態の空気と燃料の混合比"(パワー空燃比)より少なめに、すなわち空燃比を"薄め"=リーンにする。

*リッチマップ : 出力が最も大きくなる"パワー空燃比"を常用する制御マップ。4~5種類のマップをドライバーの手元で切り換えられる

Q燃料タンク容量制限なし、という昨シーズンとは異なる条件(今年も今回のみ)に関して、マシンの準備においてとくに留意されている点は何ですか?
A特になし。
Q現時点で、レース戦略(ピットストップとその内容)に関し、オプションを何種類ぐらい想定していますか?
(よろしければ今回、そうしたオプションを考える時に考慮されている要素についても、可能な範囲で教えてください。)
A4種類は想定している。最終的にはスターティンググリッド・燃費などを考慮して決定したい。
Q新仕様のタイヤで300kmのレースを走るにあたって、磨耗〜性能低下についてのデータは取れていますか? 当該週の走行が始まってからさらに確認する必要はありそうですか?
Aある程度は確認できているものの、シーズンオフの合同テストよりも路気温が上昇すると思われるため、最終確認は必要。
3.ドライバーとの連携について
Q今シーズン、担当するドライバーが変更になった方々へ: ドライバーとのコミニュケーション、ドライビングの個性の把握は進んでいますか?
A塚越はGTでも一緒に仕事をしており、コミュニケーション・ドライビングの個性の把握に関して不安はない。中山は昨年当チームからスポット参戦していることに加え、F3時代に担当をしていたスタッフも多く在籍しているため、チームとは密に連携が取れており問題ないと考えている。
Q新仕様のタイヤについて、ドライバーはどのようにドライビングを組み立て、どんなコメントをしていますか?
Aタイヤのグリップレベルが向上したことで、接地感よりはシャープさを欲しがっているようなコメントが多くみられるようになった。