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2011年はルーキーが熱い! ヤング・パワーがフォーミュラ・ニッポンを揺さぶる!! 開幕を前に6人の新人選手をチェックする

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春と言えば、フレッシュマンの季節。スポーツ界では、まさに新人選手たちがどれだけ活躍できるかにワクワクする時期だ。フォーミュラ・ニッポンでは、今季なんと6人ものルーキーが参戦する。しかも、そのキャリアはバラエティに富んでおり、初戦から大活躍も期待される選手も。まずは、彼らの横顔を紹介しよう。

ルーキーたちの成長も今季の見どころ

 フォーミュラ・ニッポンの2011年開幕前は、選手の移籍や新規参戦の決定など活発だった。中でも注目なのが、ルーキーたち。4月20日現在で決定しているだけで、中嶋一貴、中嶋大祐、国本雄資、小林崇志、嵯峨宏紀、アレキサンドレ・インペラトーリという6名もがシリーズに初登場することになっている。ベテラン勢だけでなく、こうしたルーキーたちが一歩一歩前進する姿、そして成長していく姿も、今季シリーズを見る上で、ひとつの観戦ポイントとなるだろう。
 さて、そんなルーキーたちの中でも、最も知名度が高く、周囲からの期待も大きいのは、やはり中嶋一貴(No.37 PETRONAS TEAM TOM'S)だろう。F1まで経験している彼を、“ルーキー”と呼ぶのはふさわしくない気もするが、とにかくフォーミュラ・ニッポンには初参戦ということで、どんなレースを見せてくれるのかに注目したい。
 その一貴のアドバンテージとなるのは、やはりF1での経験。レーシングドライバーというのは、スピードの感覚が体の中のセンサーに刻まれるものだ。つまり、それまで体験したことがあるスピードが高ければ高いほど、それよりもスピードが低いものを操る時には余裕が生まれる。例えば、これと同じようなことを、私たちも普段の生活の中で感じることがある。新幹線に乗った後、在来線に乗ると、当然のことながら、そのスピードをゆっくりと感じ、車窓に映る景色をじっくり楽しめる。簡単に言えば、それと同じことが、レーシングカーについても言えるわけだ。現在、フォーミュラ・ニッポンで使用されるFN09は、確かに国内最速のレーシングカーではある。だが、世界最高峰のF1と比べた場合には、特にコーナリングスピードには違いがある。つまり、一貴にとって、FN09は、余裕を持って操れるマシンということになるのだ。それは、初めてテストした時の彼のコメントにも表れている。

やはり経験が違うF1経験者の中嶋一貴

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No.37 中嶋一貴
「いろいろ話を聞いていた通り、FN09はクルマ自体に重さがあると感じます。でも、効き始めるポイントが感じられるぐらい、ダウンフォースはありますね。クセはありますけど、何となくGP2のクルマに近いかなという印象です。1年間レーシングカーに乗っていなかったので、F1からは少し自分の感覚が遠ざかってきたかなと思っていましたが、すんなり対応できましたし、自分の感覚もF1とフォーミュラ・ニッポンの間に留まっているのかなと感じました」
 これはF3などからステップアップしてきたドライバーには、なかなか言えない台詞。最初のテストの段階から、ある程度マシンの特性を探るというのは、他のルーキーでは難しいことだからだ。しかも、GP2やF1で培ってきたマシンセットアップのノウハウも、一貴は引き出しの中にたくさん隠しているはず。すでに3月に鈴鹿で行なわれた公式合同テストでは、何年もこのシリーズで戦っているドライバーと遜色のないタイムをマークしている。しかも、ノックアウト方式の予選やレース中のピットストップもすでに経験済み。このスタート地点の違いから、ルーキーの中でも最も期待される存在ということができる。

チームとの一体感が強みの中嶋大祐

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No.31 中嶋大祐
 一方、一貴と並んで、今シーズン注目されているのは、一貴の実弟である中嶋大祐(No.31 NAKAJIMA RACING)。大祐は、ジュニアフォーミュラを経て、国内で1年間F3を体験。その後2年間、イギリスのF3で腕を磨いて、今年フォーミュラ・ニッポンにデビューする。所属するチームは、毎年のようにタイトル争いを繰り広げているNAKAJIMA RACING。そう、父・中嶋悟氏がオーナー兼総監督というチームだ。しかも主要なチームスタッフは、大祐が子供の頃から知っている顔が多い。このチーム体制が、経験という面で一貴に一歩遅れを取る大祐を力強くサポートすることになる。
 その大祐は、最初のテストで、FN09に対して次のような印象を語った。
「以前、ローラ(FN06)に乗ったことがあるんですけど、それと比較すると、FN09はダウンフォースがすごく違う。あと、僕は今までレーシングカーでパワステがついたクルマに乗ったことがなくて、そこにすごく違和感がありました。F3もローラも、首や身体へのGの掛かり方と、ステアリングの重さっていうのは、基本的に比例していたんですよ。
 でも、FN09は全くそうではなくて、ステアリングの重さはずっと変わらない。ステアリングは、F3の方が重いぐらいなんです。でも、その軽いステアリングを切った時に、身体に掛かってくるGがビックリするぐらい強くて、それがすごく不思議な感覚でした。ストレートでのダウンフォースももちろん高いので、ブレーキの時の減速Gもすごく大きくて、それには驚きました。首も楽勝とはもちろん言えないです(笑)」
 このあたりは、やはり一貴のコメントと大きく違うところ。スピードやGの違いに対して、F3からのステップアップ組は、まだ慣れきっていない。だからこそ、シーズン前の合同テストでは、多くのルーキーがマシンの感覚を掴みたいと考えていたはずだが、すでにご承知の通り、東日本を襲った大震災の影響で、テストのスケジュールにも大きな変更が出た。その分、開幕戦のレースウィークに入ってから、2日間のテストが予定されているが、通常よりは短いセッションの中で、ルーキーたちが、どれだけマシンやタイヤに慣れ、クルマのセットアップまで進めて行けるのか。これは、ひとつのチャレンジ。実際には、1つ1つのレースで実戦経験を積みながら、先輩たちに追いついていくという形になるのかも知れない。それは大祐にとっても同じだが、今シーズン中に、どれだけ兄・一貴との差を詰めていけるのか、その点にも注目していただきたい。

アグレッシブさが魅力の嵯峨宏紀

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No.62 嵯峨宏紀
 この中嶋兄弟とは、全く違うアプローチでシリーズに登場するルーキーもいる。それが、嵯峨宏紀(No.62 Le Beausset Motorsports)だ。嵯峨は、フォーミュラ・トヨタ、全日本F3と、過去7年間、ル・ボーセ モータースポーツとともに戦ってきた。常に強気な走りをする嵯峨のスタイルは、時にクラッシュにつながることもあったが、昨年はそのアグレッシヴさが大きく実を結び、全日本F3選手権のチャンピオンクラスで優勝するまでに成長。今年、いよいよ満を持してフォーミュラ・ニッポンにデビューすることになる。
 タッグを組むのは、これまで苦労をともにしてきたル・ボーセ。チームとしてもルーキーということになる。彼らは、これまで長年シリーズに参戦してきている強豪ベテランチームと違い、データもイチから収集しなければならない。だが、やる気に満ち溢れたチームということもあり、フレッシュな戦いを見せてくれるはずだ。

全日本F3チャンプの国本、小林にも注目

 このあたりは、昨年からフォーミュラ・ニッポンに参戦し、今季はルーキーのアレキサンドレ・インペラトーリ(No.18 SGC by KCMG)をデビューさせるKCMGも共通する部分だろう。さらに、昨年全日本F3チャンピオンクラスを制した国本雄資(No.33 Project μ/cerumo・INGING)、同ナショナルクラスを制した小林崇志(No.10 REAL RACING)も、それぞれ1台体制のセルモ・インギングとリアルレーシングからデビュー。チームメイトとデータの共有ができないという部分では、苦心するかも知れない。だが、その中で、学ぶことも多いはず。それが将来への飛躍の一歩となることは間違いない。
 若い力が漲る今季のフォーミュラ・ニッポン。ここからシリーズを彩る新たなストーリーが生み出されてくるはずだ。
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No.18 アレキサンドレ・インペラトーリ
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No.33 国本雄資
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No.10 小林崇志

Reported by Yumiko Kaijima


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