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フォーミュラの魂 2011 特別編

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新チームでの飛躍を目指した若手/でっかい果実を掴むまで……/今季ランキング4位の塚越広大が新チームで得たものとは

フォーミュラ・ニッポン参戦3年目。結果を出すためにDOCOMO TEAM DANDELION RACINGに移籍した塚越広大(No.41)。待望された勝利こそ掴めなかったが、25歳以下の選手として、そしてHondaエンジンユーザーでは最上位となるランキング4位でシーズンを終えた。そんな彼に、この一年を振り返ってもらった。

チャンピオンを知る新チームに移籍
ph  1年間の戦いを締めくくる最終戦。土砂降りの中で行われた第2ヒートのレースを8位で終えた塚越広大は、シリーズランキング4位という結果に唇を噛んだ。
 自分を見込んで、国内トップフォーミュラに引き上げてくれたのは、金石勝智代表が率いるREAL RACING。そこで2年間、学習期間とも呼べるような時を経て、今季塚越は“自立”への一歩を踏み出した。移籍したのは、昨年ロイック・デュバルを擁して最終戦までチャンピオンタイトルを争ったDOCOMO TEAM DANDELION RACING。まさに、そのデュバルのマシンこそが今年の塚越の愛機となる。担当エンジニアは、2年前までNAKAJIMA RACINGに所属し、ラルフ・ファーマンやデュバルとともに、フォーミュラ・ニッポンのタイトルを獲得してきた田中耕太郎氏。結果を出すための体制はすべて整っていた。
「去年、ロイックが結果を残しているので、それに劣らない結果を出さないとチームに認めてはもらえないと思っていました。耕太郎さんも、ロイックのいいイメージを持っているわけで、言葉には出さなくても比較されている部分はいっぱいあると思っていましたね。でも、だからこそ今年は勝負の年だと思っていました」

信頼を得た第2戦のポールポジション
ph  3月に日本を襲った大震災の影響で、今季はフォーミュラ・ニッポンも開幕が遅れ、最初のレースが開催されたのは5月。震災後は予定されていた公式合同テストが中止となっていたため、開幕戦鈴鹿のレースウィークに入ってから、その分のセッションが行われた。そこで並み居る実力派ドライバーを抑え、次々にトップタイムをマークしたのが、塚越だった。チームの期待も一気に高まった。だが、迎えた予選では3位。決勝レースでは、スタート直後に軽い接触があった上、ピット作業のミスも発生し、7位に終わる。しかし、この落胆を吹き飛ばすように、塚越は第2戦オートポリスでポールポジションを獲得してみせた。
「あれは、チームに“塚越”を認めてもらういいきっかけになったと思います。去年はロイックでチャンピオン争いをしていて、今年は“塚越ってどうなの?”ってチームの皆も思っていたんじゃないかと思うんですよね。テストで速かったのも、“塚越が速かった”ではなく、“ウチのクルマが速いんだ”って、そう思っていたんじゃないかと…。でも、開幕前からチームの皆に味方になってもらわなくちゃいけないって思っていましたし、オートポリスでポールポジションを獲ったことで、チームの信用を得られたんじゃないかと思うんです」
ph  このオートポリスのレースでは、ポールシッターだからこそ守りの戦略を取らざるを得ず、3位。優勝はならなかったが、まずは表彰台を獲得している。ところが、その後は予選、決勝ともに、3位〜5位という結果が続き、なかなか表彰台にも上がれなかった。特に目立ったのは、決勝でなかなかペースを上げられないというポイント。最終戦の第1ヒートでは、オートポリス以来の表彰台を獲得したが、1年を通して悩まされた症状は、結局シーズンを通して、解決することができなかった。
「そうですね。レースでペースが上がらなかったことに関しては、まだ答えが分かりません。燃料が重くなるとタイムで負けてしまうというのは、開幕戦の時に気付いたんです。リアのトラクションを失ってしまう感じがあって。そこからいろいろ先を考えながら、できる範囲のことはやりましたけど、タイム差を詰めるのは大変でした。全体にどこかで大きく負けているのではなく、少しずつ他に負けている部分が積み重なったと思いますし、ライバルたちを追いかけて行きましたが、追いつけずに終わってしまったと思います」

身についた新たなドライビングスタイル
ph  だが、そんな中でも、収穫はあった。オーバーステアのクルマを乗りこなせるドライバーでなければ速くは走れないと言われている昨今のフォーミュラ・ニッポン。塚越は昨年からドライビングを変えたことで、デュバルのセットアップにも、すんなりと対応できたのだ。
「ベースのセットアップは、ロイックと同じでした。でも、テストから乗りづらさはなかったですね。僕は去年の途中で、ブレーキを左足から右足に変えたんです。それはSUPER GTでチームメイトの金石年弘さんと走っているのが大きい。年弘さんの好みが、ロイックのセットアップと同じですし、僕にとってもそこで勉強していたことが、今季は活きたと思います」
 クルマの感触を確かめる機会が少なく、今季は1戦、台風の影響で中止となり、チームとの間の理解を深めるにはもう少し時間が必要だったという塚越。今年新チームで学んだこと、積み上げてきたものが、来季こそ実を結ぶのか? まずは1勝。そしてチャンピオン。塚越の心は、すでに真夏の太陽のように燃えている。

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Reported by Yumiko Kaijima


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