2013 SUPER FORMULA
Round4 Twin Ring Motegi
- Twin Ring Motegi
- 公式予選
決 勝 -
: 2013年8月3日(土)
: 2013年8月4日(日) -
ツインリンクもてぎ : 4.801 km
決勝レース : 52 Laps [250 km]
Race
No.1 中嶋一貴が完璧なポール・トゥ・ウインを達成!!
2位はロッテラーでランキング1位キープ。3位はデュバル。平川が7位入賞。
No.1 中嶋一貴
8月4日、全日本選手権スーパーフォーミュラ第4戦の決勝レースがツインリンクもてぎ(栃木県)で開催された。スタート直前に雨が振り、難しいコンディションの中、ポールポジションのNo.1 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が、52周のレースでトップを譲ることなくゴール。今季初優勝を果たした。
スタート直前に突然の雨!混乱のオープニングラップ
今回は2&4レースであることに加え、イベントも盛りだくさんだったため、フォーメーションラップスタートが午後3時15分と、通常より遅めだった今回のレース。それがたまたま雨のタイミングとぶつかった。ダミーグリッド上でポツリポツリと降り始めた雨は、フォーメーションラップ5分前になってから、突然強さを増す。この影響で、路面はドライからセミウェットになってしまったが、すでにタイヤ交換などの作業は禁じられている時間。そのため、全車がスリックタイヤを装着したままでのスタートとなった。
フォーメーションラップを終えて、いよいよ正式スタートが切られると、抜群の動き出しを見せたのは、ポールポジションのNo.1 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)と予選5番手のNo.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)。予選2番手のNo.8 ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)と予選3番手のNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラもまずまずのスタートを決める。これに対して、予選4番手だったNo.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)は、逆にここでポジションダウンしてしまった。
その直後、デュバルとデ・オリベイラの2人が1コーナーでの攻防を見せたが、アウト側のラインにいたデ・オリベイラが、若干失速。そこをロッテラーがアウト側からかわして、3番手に浮上する。しかし、デュバルも3コーナー進入のブレーキングでフラつき、失速。そこを見逃さずに、4コーナーでインに入ったロッテラーがアウトにはらみながらも、デュバルの前に出ることに成功した。デュバルはここでコース外の芝生まで避けなければならず失速。その間に、デ・オリベイラがデュバルの前に出ることに成功した。しかし、セミウェットコンディションの中で、デ・オリベイラはなかなかペースを上げられず、今度はデュバルがそこに迫る。そして、90度コーナーのブレーキングで、デュバルがデ・オリベイラのインを差し、前に出ることに成功。前を行く一貴とロッテラーを追った。
No.2 アンドレ・ロッテラー
その後方では、滑りやすい路面の影響で、オープニングラップからアクシデントも発生。6番手争いを演じていたNo.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)が90度コーナーを立ち上がったところで接触。山本が伊沢に後ろから接触する形となり、2台は揃ってコースアウト。山本はコースに復帰できたが、伊沢はここでレースを終えることとなった。また同じ周には、No.3 安田裕信(KONDO RACING)とNo.15 小林崇志(TEAM 無限)が接触し、小林がマシンにダメージを負う。さらに、安田は3周目に入ると、No.62 嵯峨宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsports)も90度コーナーで接触。安田はグラベルに飛び出した際、エンジンを止めてしまい、やはりここでリタイヤとなった。一方の嵯峨は、タイヤにダメージを負い、ピットイン。タイヤ交換を行ってコースに戻ったが、大きく遅れることとなった。
一貴、ロッテラー、デュバルが緊迫の接戦
No.8 ロイック・デュバル
その後、スタートから数周というところで、雨が止み路面が乾き始める。こうなると、オーバーテイクは難しい状態に。そのため、トップ集団も膠着状態に。一貴、ロッテラー、デュバル、デ・オリベイラは、序盤こそ僅差での戦いを続けていたが、レースが進むにつれてデ・オリベイラが少しずつ遅れ始めた。また一貴が次第に抜け出し、ロッテラーとのギャップを築く。ロッテラーもジワジワとデュバルを引き離して行った。
それでも、52周のレースを折り返した時点で、一貴とロッテラーが約4.3秒差。ロッテラーとデュバルが約2秒差。それだけに、ピットインのタイミングと作業の良し悪しによっては、まだ誰が勝つか分からないという状態だった。
No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
そんな上位集団の間で、真っ先にピットに入ったのは、ロッテラー。ロッテラーは、34周を終えたところでピットに入ると、15秒6という停止時間でコースに戻る。これを見て、翌周ピットに入ったのが、デュバル。デュバルは15秒1と、ロッテラーよりも短い停止時間でコースに戻ったが、ロッテラーのアウトラップは非常に速く、ここで前に出ることは叶わなかった。さらに、その翌周には、トップの一貴とデ・オリベイラがピットイン。一貴のピット作業では、右フロントタイヤがなかなかはずれず、ヒヤヒヤする場面もあったが、何とか給油時間内にタイヤ交換も終わり、停止時間は15秒8だった。そのため、ロッテラーの先行を許すことなく、一貴はコースに戻る。
一貴がロッテラーを寄せ付けず逃げ切る
その後は、ロッテラーがファステストラップを叩き出しながら一貴を追ったが、一貴のペースもそれとほぼ変わらず、なかなか大きく差が縮まることはなかった。そのロッテラーをデュバルも必死で追ったが、タイヤ交換を行った後もPETRONAS TEAM TOM'Sの2台のペースが上回っており、攻略するまでには至っていない。
その結果、一貴は最後までトップを譲ることなく、今季初優勝。初のポール・トゥ・ウインで、もてぎでの初勝利でもあった。そして、ロッテラーが2位に入り、PETRONAS TEAM TOM'Sがワン・ツー・フィニッシュを飾る。3位にはデュバル、4位にはデ・オリベイラが入った。
No.32 小暮卓史
No.39 国本雄資
ピットインするまで、国本の後ろをずっと走っていたNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)は、タイヤ交換後、一気にペースアップ。トップ4台と変わらないようなタイムを連発していたが、前半に大きくロスしていた分、デ・オリベイラからは30秒ほど遅れての5位。以下、国本、No.7 平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)、山本までが入賞した。ルーキーの平川は前戦こそポイントを逸したが、これで4戦3回のポイント獲得となった。
シリーズランキングでは、ロッテラーが29ポイントに伸ばし、トップをキープ。デュバルが20ポイントで2位に浮上。これに18ポイントで山本が続く。今回、優勝を果たした一貴は16ポイントとなり、デ・オリベイラと並ぶ4位に浮上している。
2位 No.2 アンドレ・ロッテラー /優勝 No.1 中嶋一貴, 舘信秀 優勝チーム監督 / 3位 No.8 ロイック・デュバル
記者会見
- 諦めずプッシュしてきたことが結果に結びついた
優勝
朝のフリー走行では、結果が良くなかったのですが、前回の富士でもレースペースが良くなく、今朝の状況も富士のときとよく似ていました。どうなることかと思っていたのですが、フリー走行を終えてレースに向けてセッティングもできる限りのことを考えました。スタート直前、8分間のウォーミングアップ走行では割とクルマのバランスも良かったし、コンディション的にも昨日の予選に近かったような気がするので、すべてがうまく回ってくれたのかなと思います。
No.1 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)
スタート前には雨がパラつく状況でしたが、条件はみんな一緒だし、ただ、後ろにいるのが“ちょい濡れ”が得意な人ばかりだったんですけど、自分自身もいい走りができたし、前にいたことが一番のアドバンテージだったので、ミスなく後ろを離していけたのは、これ以上ないレースになったと思います。
ピットインのとき、右フロントタイヤがなかなか外れず、(タイヤから)目が離せなかったですね。『あぁ、あーぁ、あぁぁ…』って(笑)。あの2、3秒は長かったですね。でもピットを出て、「居場所(ポジション)はどこ?」とたずねたら、まだ一番前だったのでホッとしました。それまでにうまくリードを築けていて良かったです。毎回勝てるようにいろいろやっていますが、前回の富士ではレースがすごくよくなかったので、その富士や去年のもてぎを含め、反省点をしっかり洗い出してしっかりと準備してきたことが、一番の勝因だと思います。レースのコンディションもボクのクルマに合うようなものになってくれたような気がするし、諦めずプッシュしてきたことが今回の結果に結びついたのかなと思います。
(日本人としてもてぎの優勝は2009年の小暮卓史以来だが)僕が日本のレースに帰ってきて、もてぎは外国人が速いんですよ。何かっていうのは特にないのですが、なんでしょうね、それからトヨタエンジンとの相性もいいんですかね。簡単なサーキットじゃないので、そこで勝てたのは自分にとって大きな自信になりました。特に今回はレースでの不安要素もあったし、コンディションも不安定だったので、その中で勝てたことは、大きいですね。
- 今日は一貴がいい仕事をしたし、ミスもしなかった
2位
ウォームアップから調子が良く、レースに向けてセットアップを変更することもありませんでした。レース前に雨が降り出して、ボクにとってはドライコンディションよりも有利になると思いました。スタートも決めて、いいライン取りもできたし、4コーナーではロイック(デュバル)を追い越すことができて、その後は2番手からできる限りプッシュし続けました。でも、今日は(中嶋)一貴がいい仕事をしたし、ミスもしなかったので、彼にはおめでとうといいたいですね。それにチームにとっては1、2位になって最大となるポイントを獲ることができたので、いい週末になって良かったと思います。今後もこのような戦いを続けていきたいですね。
No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)
今年はここまでで2勝して、今日2位に入るといういいシーズンになっています。だから最後までがんばってチャンピオンを獲りたい。リードができているので、台無しにはしたくないし、一番いい方向で考えてもらい、みんなにチャンスを与えてもらいたいですね。
- 予選での調子をレースでもできるようにしたい
3位
今朝のフリー走行ではクルマがあまり良くなくて、セットアップをいろいろ変えたんです。結果良くなったので、レースは大丈夫と思って挑みました。
No.8 ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)
スタート自体は普通の感じだったのですが、1コーナーに向けてアウト側のほうがイン側よりもいいだろうと思って選択したんですが、それが間違っていました。4コーナーではアンドレ(ロッテラー)がイン側に入り、ボクはアウト側にはみ出すことになりました。そのシーンが映像としてTVでは映っていなくて残念でしたね(苦笑)。
ウェットな中、レース序盤でJP(デ・オリベイラ)を抜くことができて良かったんですが、中盤に入ってからはTOM'Sの2台には敵わないように感じました。この2台にはついていけないですね。ボクらは予選での調子がいいので、同じような形でレースもできるようにしたいし、(自分が出るレースは)あと1つしかないので、そのレースに向けてがんばっていきたいですね。
- 雨が得意な外国人を抑え、中嶋君が勝ったのは大きい
優勝チーム監督
スタート直前の練習で中嶋君もアンドレ(ロッテラー)も調子が良かったので、今回は、中嶋君のポール・トゥ・ウィンがあるかなと思ってました。直前になって雨が降り出したので、中嶋君も言ってましたが、雨降ると(後方にいる)3人の外国人ドライバーがああいうコンディションが上手なのは知っているし、ちょっと心配もあったのですが、その3人を抑えて中嶋君がいいスタートを切って勝ったということは、ものすごく大きなことだったと思います。今日は何も言うことがありません。ありがとうございました!
舘 信秀監督(PETRONAS TEAM TOM'S)