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2011年の本命に迫る!! タイトルへの執念は、さらに燃えさかる。 2010年上位ランカー3選手が抱くレーシング・フィロソフィー

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東日本大震災により、開幕戦鈴鹿が5月14、15日に延期された今年のフォーミュラ・ニッポン。異例の状況でではあるが、幕が上がればいつもどおり、激しいつばぜり合いが繰り広げられる。その激戦の中心になると予想されるのは、そう、やはりアノ3選手ではないだろうか?

脂の乗りきった3人がレースを盛り上げる

 ディフェンディングチャンピオンのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(No.1 TEAM IMPUL)29歳、2010年ランキング2位のアンドレ・ロッテラー(No.36 PETRONAS TEAM TOM'S)29歳、そして同4位の小暮卓史(No.32 NAKAJIMA RACING)30歳。いわゆる“アラサー”ドライバーの彼らが今季もっとも欲しいもの。それはチャンピオンタイトルに他ならない。参戦選手の中核が20代前半から半ばとなった今のフォーミュラ・ニッポンでは、ベテランに属する彼ら。だからこそ実現する三つ巴の戦いは、レースを大いに盛り上げてくれるはずだ。

安定感がもたらした2010チャンピオン ー ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ

photo  ここで各選手の“立ち位置”に触れておこう。まずオリベイラ。ブラジルでレースを始め、欧州そして日本へと活躍の場を求め、F3で経験を重ねた。十分すぎるともいえる下積み時代を経て、2007年にフォーミュラ・ニッポンデビュー。昨季4年目にして頂点へと上り詰めた。アグレッシブな走りに加え、タイヤマネージメントも巧みだが、どちらかというと暴れん坊のイメージが強かった。
 しかし昨季は闘将・星野一義監督の下、元来の速さに磨きがかかり、安定感がぐんと増した。また、アンラッキーな展開が続いたシーズン中盤にはタイトル争いが混沌としたが、厳しい状況の中でレースをまとめるという実力を発揮。この底力が彼の勝負強さを後押しし、王者の座を手繰り寄せることにつながった。
 さらに今季は、フォーミュラ・ニッポンとSUPER GTの両カテゴリーにおいてTEAM IMPULからの参戦が実現。監督はもちろんチームスタッフとのコミュニケーションがより密になることから、photo 精神面での充実がいっそう彼を強固にするのではないかと思われる。余談だが、今季からGTでコンビを組む松田次生が07、08年の2季連続チャンピオンになったのはIMPUL時代だった。オリベイラとて、タイトルホルダーならではのプレッシャーがないわけではない。だが、守りよりも攻めがオリベイラの真骨頂。連覇達成の目標を掲げ、ライバルを迎え撃つ体制に抜かりはない。

世界で活躍し、その実力は折り紙付き ー アンドレ・ロッテラー

photo  ロッテラーのフォーミュラ・ニッポンデビューは2003年。2002年にはジャガーF1チームのテスト&リザーブドライバーというビッグチャンスにも恵まれたが、その翌年、ホームグランドの欧州を離れ、遥かかなた東洋の島国に活躍の場を求めた。その後、2006と09年にはSUPER GTでシリーズチャンピオンに輝き、名実ともにトップドライバーへと上り詰めるも、全日本選手権におけるシングルシーターでのランキング最高位は2位どまり(2004、2010年の2回)。フォーミュラ・ニッポンのデビューでは後輩となるオリベイラに先を越された悔しさを胸に、今季こそは、と“3度目の正直”を狙う。
 なにしろ、歴代チャンピオンであるブノワ・トレルイエ(06年)やロイック・デュバル(09年)と仲のいいロッテラー。プライベートでも親交があり、まるで兄弟のよう。そのトレルイエとデュバルは揃ってフォーミュラ・ニッポンとSUPER GTのダブルタイトルホルダーであり、当然ロッテラーもその仲間に加わることを望んでいるだろうし、その資格も十分にあるはず。
photo  そんなロッテラーだが、昨年からは活躍の場をさらに拡張。アウディと契約し、トレルイエとともにル・マン24時間レースをはじめとする国際耐久レースでのキャリアを新たにスタートさせた。このワールドワイドでのレース参戦は、彼のスケジュールをかなりタイトなものにさせているはず。事実、トレルイエだけでなく、同じくル・マンシリーズでの耐久レースに参戦するデュバルも、昨季でフォーミュラ・ニッポンを卒業し、日本でのレース活動はSUPER GTに絞り込んでいる。
 だがロッテラーは、フォーミュラ・ニッポンを外さなかった。そう、このタイトル獲得にターゲットを定めたのだ。チーム6年目となるTEAM TOM'Sで栄冠を手にし、さらなる高みへ…。ジェットラグもなんのその、今季こそライバルであり、日本で育った“兄弟たち”に追い付くために…。

努力を続ける男の機は、ついに熟したか? ー 小暮卓史

photo  3選手の中では一番“お兄さん”となる小暮。「言いたくないけど、もうフォーミュラ・ニッポン最年長ドライバーなんですよ」と自らも意識する。とはいえこれまでと何ら変わらぬ強い上昇志向を持ち、目標はチャンピオン獲得、とキッパリ言い切る。昨季、SUPER GTで念願のシリーズタイトルを獲得しているだけに、彼もまた残された“あとひとつ”の王座獲得を願うひとりだ。
 2002年の全日本F3チャンピオンである小暮は、翌年フォーミュラ・ニッポンへとステップアップ。ちなみに、同じくNAKAJIMA RACINGからデビューしたのがロッテラーだ。一方で、彼のモータースポーツ人生は高校時代のレーシングカートからと、遅咲きの選手でもある。だが「自分が誰よりもモータースポーツにのめりこめば、成果が返ってくると思う自分の心が大事」であるとし、それが自ら大事にしている信念につながっていくと考えている。要は、念ずれば花開く、という強い意思の下、努力を人一倍惜しまないタイプ。ゆえに勝利への想いは誰よりも強いという自負があるのも、当然のことなのだ。
 昨季の小暮は、かつてのチームメイト、デュバルのレーススタイルを強く意識し、戦いに挑んでいた。09年、「なぜデュバルが王者になれたのか。その彼にあって自分にないものは何か?」を自問し続け、結果、自身との戦いに勝つことを心がけた。
photo  開幕戦でのポール・トゥ・ウィンはその成功例であったはず。しかし、戦いを重ねていくと思惑通りとはいかず、次第に激しい混戦へと飲み込まれていった。頂をつかみ取るチャンスはあったはずなのに、集大成となる最終戦で、あろうことかイージーミスを犯し、勝利を逃した。日頃は気持ちの切り替えは早いと認める本人ですら、「限界まで攻めた結果じゃなくて、単純なミスをして燃え尽きることなく負けてしまった。久々にしばらく悔しさを引きずってました」と回顧するほど、失ったものは大きかった。
 そして今、新たなシーズンを迎えるにあたり、小暮は「チャンピオンは準備期間を経て獲るもの」と口にする。また「昨季は負けるべくして負けた」とも。どうやら小暮流勝者の法則に新たな追加事項が加わったようだ。「去年は今年につながる一年だったと思える」。彼が先の公式合同テストで最速タイムを刻んだのは、その兆しととらえるべきか。もう準備期間は終わった、という彼なりの宣言だったのかもしれない。

Reported by Motoko Shimamura


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