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NAKAJIMA RACINGが招かれたFNサタデーミーティング

逆襲への手応えを小暮選手、中嶋監督が力強く語る

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 9月3日、第5戦の予選は台風で中止となってしまったものの、フォーミュラ・ニッポンの各ラウンドで恒例になった「FNサタデーミーティング」が、鈴鹿サーキットで行われた。
 このミーティングは、シリーズで話題の選手や関係者を招き、取材記者とフレンドリーに話しをする機会を用意しようと企画されたもの。その主旨もあって、“記者会見”ではなく“ミーティング”というタイトルで、そして会場にはコーヒーやお菓子も用意され、通常の“会見”とはちょっと違う雰囲気で行われている。そんな模様も含め、リポートしてみたい。

記者会見のようで、記者会見とは違う?

 会場は優勝記者会見などに使われる部屋ではなく、プレスルーム(記者専用の部屋)の傍らにある食事などをする休憩室で行われた。この日のゲストは、NAKAJIMA RACINGの中嶋悟監督と小暮卓史選手、中嶋大祐選手の3名。ドライバーズミーティングが押して、遅れている小暮卓史選手らに先駆け、中嶋監督が現れると記者たちと早くも談笑と、やはりいつもの記者会見とは違った雰囲気だ。
 ゲストと記者陣は、正に円卓を囲むという感じで非常に距離が近い。やはり“会見”なので記者の手にはレコーダーやメモ帳、カメラがあるものの、コーヒーを飲みながらなのか笑顔も多い。今季のNAKAJIMA RACINGは決して好調とは言えないだけに、空気感が心配だったが、杞憂のようだ。司会をする日本モータースポーツ記者会、大谷達也記者の「じゃあ、いつものようにリラックスした雰囲気でいきましょう!」の一言でミーティングは始まった。

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NAKAJIMA RACING 反撃の手応えは!?

photo  まず小暮選手に今季の状況を尋ねる。「今シーズンは状況がいろいろ変わり、正直、ここまで思うようなレースが出来ていません。特にタイヤが変わりました。ゴム、構造とかなり変更があって、僕としては固くなったと感じてます。これによってクルマのセットも変わりましたし、ドライビングも変えています」と、やはりタイヤやセッティングに悩みがあったようだ。しかし、小暮はこうも続ける。「ここまではラップタイムも結果も負けていて、言い訳にならない。でも、この鈴鹿から“行ける”という予感を感じています」と強気のコメントが出た。
 ナチュラル・スプリンターの小暮選手だけに、気持ちだけの発言かと思いきや、中嶋監督の言葉がそれを裏付ける。「今季は開幕前のテストから“良い感じ”だと思ったのが間違いでした。開幕戦はチームとしてもミスもあったし、富士、もてぎと進んできて、チームとしての力自体が足りない、(方向性が)間違ってるということが明らかになりました」と、ここまでの不調を分析。記者からの「セッティングの軌道修正ですか?」という問いに中嶋監督は「それが成功するかどうかは、もちろん走ってみないと分かりませんが」と前置きをした上で「そうですね、(変更点は)外から見ても分からないところです(笑)。今までの我々のやり方、考え方と今シーズンのクルマが上手く合わなかった。そこの分析はできたと思います。あんまり細かく言うと(エンジニアに)怒られちゃいますんで(苦笑)。挙動ですとか、コンマ2、3秒のことですが、そこが改善できれば、良い方向に向かうと思います」。中嶋監督らしい慎重な言い回しだが、鈴鹿を前に明らかな手応えが有ったようだ。
photo  小暮選手も「あんまりこういうのは良くないかもしれませんが、僕はレース前に“行ける”とか“ダメかな”とか感じてしまうタイプなんです。で、まず“ダメ”なときは良いことないんですが(苦笑)。でも、今回はホントに“いける”、“良い走りができる”という予感がするんですよ。これは(気持ちで)プラスになっているし、今回はその理由もいっぱいあります。中嶋監督は『チームのミスが…』と言いましたが、僕自身もミスがあって、ここまで完璧なレースができていない。それだけに今回はいいレースをしたいですね」と鈴鹿への自信を語ってくれた。
 さて、今季フォーミュラ・ニッポンにデビューした中嶋大祐は、ここまでのシーズンに関してこう語る。「まだ一発のタイムに課題がありますが、レースの内容は良くなってきました。この前のもてぎではバトルをして、ピットに入って、また追い抜いて、ポイントは取れませんでしたが、9位に入れた。大分レースができるようになりましたね。それだけに、予選のタイムをもう少し上げないと」と冷静に分析。大祐選手は昨年まで英国F3に参戦しており、そことの差を聞かれると「ドライバーのレベルがとても高いですね。タイヤを使いこなすことも求められるし。ピットに入って燃料が増えて、順位も変わって、どこがプッシュの時だとか、レースの組み立てですね。僕自身、そこの知識が足らず、時間が掛かってしまいました。そこが分かってきて、レースが楽しくなってきました」と、自身に成長があったことを語った。
photo  また、チームメイトであり、目標である小暮選手について聞かれると「鈴鹿のS字が誰よりも速い。おかしいくらいに速いんですよ(笑)。その走りがマネできるかは別ですが、そう言うデータを見せてもらったり、中高速コーナーの走り方などは参考になりますね」。さらに「小暮選手のレースウィークの過ごし方は参考になりますか?」という質問には、「いやぁ、マイペースな方ですから(笑)。実は兄(一貴選手)もマイペースなタイプなんですよ。ふたりともレースでもいつでも変わらない雰囲気で、その辺は経験を重ねていることもあるでしょうから、見習いたいと思います」とそつなく先輩を立てていた。
 このように逆襲の手応えを感じていたNAKAJIMA RACINGの面々だっただけに、第5戦鈴鹿の中止は非常に残念である。しかし、残り2戦での大きな番狂わせの可能性を感じさせる話しを聞けたことは、とても有意義だった。

白井JRP社長が今後の運営について説明

photo  NAKAJIMA RACINGをゲストにしたミーティングに続いて、日本レースプロモーションの白井裕社長が正面に登場。フォーミュラ・ニッポンの運営面の質疑応答に入った。このように運営のトップと直に話ができるというのも、この“サタデーミーティング”ならではだ。
 まず大会運営では、第5戦はサポートレースからメインイベントのフォーミュラ・ニッポンまで、すべてフォーミュラレースでまとめた大会であることを強調。今季3度行われた全日本ロードレース選手権(2輪)とのコラボレーション“2&4レース”も含め、特徴のある、観客にとって見応えのある大会を、今後も行っていきたいとした。なお、2012年シーズンの日程が、8月にJAFより発表されたことも改めて報告された。
 競技に関しては、次戦のSUGO大会でも決勝250kmで、タイヤ4本交換のピットインを2回おこなうというスタイルは変えないとした。なお最終戦のツインリンクもてぎは、予定通り2レース制で行うとも付け加えている。

photo  海外開催に関しては、現在建設中の韓国・インジェのサーキットの視察が行われたことを明らかにした。白井社長自身が訪れ、「雰囲気はオートポリスのようだね」との感想に加え、2013年の完成を目指し、着々と進んでいると語った。視察ではコースや施設への提案なども行ったようで、フォーミュラ・ニッポン開催へ向けサーキット側とも良好な関係も感じさせた。記者からは「宿泊施設は? 美味しい食べ物は?」とサタデーミーティングらしい質問も。白井社長は「松茸の産地だと聞いてますよ。宿泊施設は、近隣に2018年の冬季オリンピックを行う平晶(ピョンチャン)があり、現在整備、建設が進んでいるようで、そこも利用できるでしょう」と答えていた。また、シンガポールのSGチャンギによるサーキット建設は、現在中断しているとの報告もあった。
 また、フォーミュラ・ニッポンのハイブリッド化を目指す「システム E」に関しては、9月の14-15日に鈴鹿サーキットでテストが行われることが語られた。ただ、震災の影響もあって、やはり進捗は遅れているとのことで、来季の導入は難しいことも添えられた。
 その後は質疑と言うより、歓談タイムに。「今シーズン、TOM'Sが好調ですね?」と振られると、白井社長は「チーム力が素晴らしいですね。今の自分はどこが勝っても良いレースなら誉めてもらえるけど、ああいう自分たちの勝った負けたで喜べるのもやっぱり良いなぁって思っちゃうよね(笑)」と、過去にメーカーのレース部門で勝負してきた時代を思い起こしての言葉がポロリ。
 今季のフォーミュラ・ニッポンでは小さな改善、改革をいくつも進めている。そのひとつである『FNサタデーミーティング』。フォーミュラ・ニッポンのおもしろさや将来性をマスコミ、そしてファンへ伝える有効なツールとなりそうだ。


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