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2013 SUPER FORMULA

Round3 Fuji Speedway

  • Fuji Speedway
  • 公式予選
    決  勝
  • : 2013年7月13日(土)
    : 2013年7月14日(日)
  • 富士スピードウェイ : 4.563 km

Race

Result Review

猛烈な追い上げでNo.2 アンドレ・ロッテラーが2連勝!
平手が2位、山本が連続の3位に。デュバルはピットのミスで勝利を逃す…

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No.2 アンドレ・ロッテラー

7月14日(日)、富士スピードウェイ(静岡県)で2013年全日本選手権スーパーフォーミュラ第3戦の決勝レースが行われた。No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が予選6位から素晴らしい追い上げを見せ、前戦に続き連勝を成し遂げた。2位はNo.38 平手晃平(P.MU/CERUMO・INGING)、3位にはNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)が入賞した。

2013-07-14 14:15-15:45 天候:晴 コース:ドライ 気温:31度 路面温度:41度

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好スタートを切ったデュバルがレースをリード

photo  決勝レースは、定刻の午後2時15分、曇りがちながら気温31℃、路面温度41℃と、蒸し暑いコンディションの中でフォーメーションラップがスタート。全車が正規グリッドに着き、シグナルオールレッドからブラックアウトすると、全車が1コーナーに向けてアクセルを踏み込んだ。
 ここで、いい動き出しを見せたのは、ポールポジションスタートのNo.8 ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)。1コーナーまでには、これにNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)が続く。フロントローのNo.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)と4番手スタートのNo.38 平手晃平(P.MU/CERUMO・INGING)は、オープニングラップのコカ・コーラコーナーまでにNo.1 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)とNo.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)の先行を許した。
 その後方では、No.62 嵯峨宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsport)が1コーナーのブレーキングで止り切れず、No.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)に追突。小暮はスピンし、嵯峨も姿勢を崩す。その嵯峨を避け切れず、No.18 リチャード・ブラッドレー(KCMG)も接触。この2台がコース上にストップしてしまったため、セーフティーカーが導入された。マシンの回収を行うため、このセーフティーカーランは4周終了時まで続けられたが、その間に唯一ピットに入ったのはNo.20 松田次生(Lenovo TEAM IMPUL)。松田はここで給油とタイヤ交換を行うと、最後尾で隊列に戻るが、タイムロスは最小限。一気に優勝候補へと躍り出た。

 4周を終えたところで、セーフティーカーがピットに戻り、レースが再スタートされると、トップのデュバルはポジションをキープ。これに続いたデ・オリベイラには、反則スタートによるドライブスルーのペナルティーが提示される。さらに一貴、ロッテラーが僅差で続いた。その後方では、1コーナーで平手がチームメイトの国本をオーバーテイク。5番手に浮上している。
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No.38 平手晃平
 さらに、この周から激しくなったのは、一貴とロッテラーの戦い。燃料を満タンに積んでスタートした一貴よりも、少し軽めでスタートしたロッテラーの方がペースは速いものの、この周は一貴が抑え切った。その後も、ロッテラーはオーバーテイクのチャンスを再三うかがっていたが、なかなか攻略には至らなかった。一方、ペナルティーを科せられたデ・オリベイラは、6周を終えたところでピットロードに滑り込む。しかし、コースに戻ったデ・オリベイラは、ここからファステストラップを連発。猛プッシュを見せた。
 その間も、順調に周回を重ねたのは、トップのデュバル。一貴とロッテラーが接近戦を演じている間に、デュバルは7秒以上のマージンを稼いでいた。しかし、ロッテラーが19周目の1コーナーで、ようやく一貴を捉えた後は、ロッテラーがジワジワと差を詰めて行った。一方、抜かれた一貴はアンダーステアに苦しんでペースを上げられず、後方から平手に迫られる展開。23周目のコカ・コーラコーナーでは、平手が思い切りのいいオーバーテイクを見せ、一貴の前に出た。

松田とロッテラーが見せた過激なクリーンファイト

 その後、スタートから25周を過ぎると、ピットに入るクルマが表れ始める。トップ集団では、29周を終えたところで一貴がピットイン。フロントタイヤの交換と給油だけという短い作業でコースに戻る。この翌周には、平手がピットイン。平手は給油と前後タイヤを交換したため、ここでは一貴が再び平手の前に出ることに成功した。また、この周、10番手まで追い上げてきていたデ・オリベイラもピットに入った。
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No.16 山本尚貴
 トップに立っていたデュバルがピットに入ったのは、32周終了時。その翌周には、ロッテラーがピットイン。ロッテラーはここでの逆転を狙っていたが、デュバルがピットを出てきたロッテラーの脇を駆け抜け、オーバーテイクは許さなかった。しかし、ここでトップに立ったのは松田。富士はピットロードが長く、ロスタイムも大きい。そのため、セーフティーカー中にピットに入った松田が先行した。松田のマージンは、この時点で約15秒。だが、序盤にピット作業を行っている分、松田のタイヤは厳しい状態。中盤過ぎにピット作業を行ったデュバルやロッテラーのペースの方が1周1秒ほど速かった。そのため、この2人が、松田を追いつめて行く状況となる。
 ここで無情にも、ドライブスルーペナルティーを科せられたのは、デュバル。ピット作業の際、外した右フロントタイヤが平置きにならず、転がってしまったということで、このペナルティーを科された。この翌周、ピットロードに入ったデュバルに代わって、2番手に浮上したのはロッテラー。ロッテラーは、ここから松田との差をみるみる縮めて行く。そして、ゴールまで5周を切った51周目の1コーナーに、オーバーテイクボタンを使いながら突入。ここでロッテラーはブレーキを若干ロックさせてバランスを崩したが、すぐに姿勢を立て直すと、コカ・コーラコーナーで松田をあっさりかわすと、とうとうトップに立った。そのままチェッカーまで駆け抜け、前戦オートポリスに続いて連続優勝。ポイントランキングでもトップに立った。
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No.8 ロイック・デュバル

 一方、2番手に後退した松田には、残り2周を切ったところで悲劇が襲う。ガス欠になって、13コーナーを立ち上がったところでストップしてしまったためだ。その代わり、2番手に浮上したのは平手。ピットアウト後、再び一貴を攻略した平手が、2年ぶりの表彰台を獲得した。これに続いて3位に入ったのは、山本。ドライブスルーペナルティーの影響で、一旦7番手まで後退したデュバルが、そこから踏ん張りを見せて、4位に入賞した。以下、No.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、デ・オリベイラ、国本。ピット作業後もペースが上がらなかった一貴は大きく後退。8位でフィニッシュしている。

 この結果、ドライバーズランキングではロッテラーが21ポイントとしてトップ。これに山本が17ポイントで2位、15ポイントの伊沢、14ポイントのデュバルと続くことになった。

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2位 No.38 平手晃平 /優勝 No.2 アンドレ・ロッテラー / 3位 No.16 山本尚貴   舘信秀 優勝チーム監督

記者会見

勝利というご褒美をもらえてうれしい

優勝
No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)

photo  朝のウォームアップでクルマが良くなって、速くなったので、決勝に向けて自信が持てました。スタートはあまり良くなかったんですが、その中でも2台を抜いて4位に浮上しました。そのうちに前を行く(チームメイトの中嶋)一貴をパスする機会が巡ってきたのですが、ちょっと慎重になってしまいました。そのあとトップのロイック(デュバル)との差が開いていたのをなかなか差を詰めるまでにはいきませんでした。
 ピットストップの作業はとても早く済ませることができました。それで彼の後ろに付けることができたんです。確かに逆転は容易じゃなかったですが、なにかできることはあるだろうと、チャンスはあるだろうと思いました。結果、ロイックにペナルティが出たのは残念ですが、僕にはラッキーなことでした。一方、(序盤にピット作業を終えていた)松田(次生)は違う戦略だったのでいいレースはしていたものの、すでにタイヤが勝負できる状態ではなかったようですね。トップに立ったあとはクルージング状態で走ることができましたが、それでもスタート直後からとてもタフで厳しいレースでした。
 また、クルマはすばらしい仕上がりで、最後の最後まで攻めの走りができました。いつも情熱をもってレースをしていますが、こうやって勝利というごほうびをもらうことができてうれしいです。チームがすごくがんばってくれたことにも感謝しています。
この結果にはとても満足している

2位
No.38 平手晃平(P.MU/CERUMO・INGING)

 今朝のウォームアップではものすごく調子が良くて、ラップタイムも良かったので、決勝では自信を持っていけるかなと思っていました。ただ決勝までに天候が良くなり気温が上がったので、セッティングで悩みましたが、朝が順調だったので、その流れでレースをしました。でもスタートで出遅れ、TOM'Sの2台に先行されたため、厳しいレースになるだろうと思っていました。でも(中嶋)一貴選手がペースダウンしたときに2回オーバーテイクし、2位という結果を得て、チーム移籍後、初の2位表彰台になれてうれしいです。
 一方で、一貴選手をパスしたあとマージンを築いたのにピット作業でミスがあって時間がかかってしまい、(中嶋とは戦略が異なることもあり)ピットアウト後に抜かれることになりました。まだまだチームの力的に足りない部分があると思うので、そこを今後の課題としてもっといいチームにして、後半戦に向けていいチームに仕上げていきたいと思います。最後ラッキーがあって2位まできましたが、レースウィーク中クルマの状態もよく、チームもすごくガンバってくれたので、この結果にはとても満足しています。
これに満足することなくもっと上を目指す

3位
No.16 山本尚貴(TEAM 無限)

 前回に引き続き表彰台を獲得できたのは、予選のポジションを考えても結果だけを見れば非常に満足のいくものだったかと思います。ただ内容的には平手選手にも最後は離されてしまいましたし、前戦のオートポリスでもアンドレ(ロッテラー)選手と大きく引き離されてしまっているので、ドライビングもクルマももっとよくしていかないといけないなと思った一戦でした。
photo  ただ、今この位置が定位置になりつつあって、確実に強くなりつつあるのは肌で感じています。ここをベースとして今度こそ高い位置を目指せるという自信があるので、次の地元のもてぎでも、このいい流れを維持してアンドレ選手がいる間にやっつけたいなと思います。
 それから今日はホンダの坂井(典次プロジェクトリーダー)さんのお誕生日と還暦のお祝いだったので優勝して花を添えたかったんですが、それは達成できなかった。けれど表彰台を獲得できたので、少しはいいプレゼントができたかなと思います。僕自身25歳になって初めてのレースで表彰台に上がることができたし。でも、これに満足することなくもっともっと上を目指してがんばりたいと思います。過去はポイントを獲れないままもてぎ戦を迎えていましたが、これで表彰台に2度上ったので、(ファンの)みんなも期待してくれているんじゃないかと思います。(もてぎの)地元でもまだスーパーフォーミュラのレースを見たことがない方にも、こういう選手がいるんだということをアピールしたいし、レースの魅力も伝えたいと思います。

アンドレの強さが光ったレースだった

優勝チーム監督
舘 信秀監督(PETRONAS TEAM TOM'S)

 今日のレースはいろんな作戦の選択肢がありました。いろいろ考えた結果、一番オーソドックスな、計算的には一番早くゴールできる作戦を選びました。最初のセーフティカーで(ピットに)入れる、入れないかで悩みましたが、結果的には入れなくて良かった。一方、(ともにトップ争いを繰り広げていた)星野さんのところの2台は(トラブルやペナルティに見舞われ)不運で、星野さんには非常に申し訳にないと思っています。
 序盤でアンドレ(ロッテラー)と(中嶋)一貴がバトルをしていましたが、見ている心境はあんまりいいもんじゃないですね(笑)。まぁふたりとも上手だし当たらないと思いますが、でも、ということがありますからね。まぁ今日はアンドレの強さが光ったレースでした。


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