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2013 SUPER FORMULA

Round6 Sportsland Sugo

  • Sportsland Sugo
  • 公式予選
    決  勝
  • : 2013年9月28日(土)
    : 2013年9月29日(日)
  • スポーツランドSUGO : 3.704 km
    決勝レース : 68 Laps [250 km]

Race

Result Review

No.8 ロイック・デュバルが激闘を制して今季初勝利!
わずか0.041秒差でロッテラーが2位。山本が3位でタイトルの可能性を残す。

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No.8 ロイック・デュバル

9月29日、全日本選手権スーパーフォーミュラ第6戦の決勝レースがスポーツランドSUGO(宮城県)で開催された。レース中に4度もセーフティーカーが導入される荒れたレースとなったが、随所に激しいバトルが展開される緊迫の戦いとなった。この熱戦では、No.8 ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が、No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)をわずか0.041秒差で下し、今季初勝利を掴んだ。

2013-09-29 15:00-16:40 天候:晴れ コース:ドライ 気温:22度 路面温度:29度

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スタート宣言を務めたのは、宮城県名取市の佐々木一十郎市長

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クラッシュの連続で目まぐるしく変わる展開

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No.2 アンドレ・ロッテラー
 9月の終わりとしては、温かな日曜。午後3時、気温22℃、路面温度29℃というコンディションの中で、フォーメーションラップがスタート。19台のマシンが正規グリッドに着くと、シグナルがオールレッドからブラックアウトし、スタートが切られた。ここでホイールスピンが多過ぎ、加速が鈍ったのはポールポジションのNo.8 ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)。そこからデュバルはポジションを守るため、すぐさまイン側にラインを変更する。イン側グリッドスタートのNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)は、目の前をデュバルに塞がれる形となり、アウトにラインを変える。そのさらにアウト側がら山本に並びかけたのは、No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)。山本はそれを牽制するべく若干アウトへ。しかし、ロッテラーは左側のタイヤをダートに落としながらも、1コーナーでアウトから山本の前に出ることに成功した。
 一方、ここでエンジンストールしてしまったのが、予選8番手のNo.15 佐藤琢磨(TEAM 無限)。琢磨は、エンジンの再始動に手間取り、ここで残念ながら周回遅れとなってしまった。その翌周、2周目の1コーナーでは、No.3 安田裕信(KONDO RACING)をオーバーテイクしようと試みたNo.38 平手晃平(P.MU/CERUMO・INGING)がスピン、コースアウト。平手は、コースには復帰したが、同じ周のSPインコーナーでコースアウトして、スポンジバリアに突っ込んでストップしてしまう。このマシンを回収するために、コース上にはセーフティーカーが導入される。その間、5周を終えた所でピットインして給油したのはNo.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とNo.18 リチャード・ブラッドレー(KCMG)。さらに、その翌周には、安田もピットに入った。

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No.16 山本尚貴
 そして、7周を終えた所で、レースは再スタート。しかし、その直後、9番手争いをしていたNo.7 平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)とNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)がメインストレート上で接触。デ・オリベイラは、その瞬間、左フロントのホイールが割れてマシンのコントロールを完全に失い、まったく減速できない状況のまま、1コーナーでコースアウト。スポンジバリアに突き刺さった。このアクシデントをきっかけに、コース上にはすぐさま2度目のセーフティーカーが導入される。これをきっかけに、上位のドライバーたちが続々ピットイン。8周を終えた所で、デュバル、ロッテラー、山本、No.1 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)、No.20 松田次生(Lenovo TEAM IMPUL)、No.10 塚越広大(HP REAL RACING)らがピットレーンへとなだれ込んでくる。ここで大きくポジションを落とすことになってしまったのは、一貴。ロッテラーの作業終了を待たなければならなかったこともあり、松田と塚越の先行を許すことになった。
 このセーフティーカーランが終わり、リスタートが切られたのは、11周終了時。この時、トップに立っていたのは、まだピットインを行っていないNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)。同じくピット作業前のNo.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、No.31 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)と続く。4番手以降は、ピットインを終えたドライバーで、その中では伊沢が先頭。これにブラッドレー、安田、デュバル、ロッテラー、山本と続いていた。この中で、リスタートの直後に、山本がロッテラーをかわし、前に出る。その翌周、13周目の1コーナーでは、デュバルが安田をオーバーテイク。山本も14周目の1コーナーで安田をかわして、デュバルに迫る。対するデュバルは15周目にブラッドレーをパス。山本も16周目の1コーナーでブラッドレーをオーバーテイクし、デュバルに食らいついて行った。一旦、山本に先行されたロッテラーは、なかなか安田を攻略できなかったが、燃料のウィンドウ(ゴールまで搭載ガソリンが持つ目安)が開いたのか、18周目に入ってペースアップ。ようやく1コーナーで安田を捉え、20周目の1コーナーではブラッドレーもパス。そこからペースを上げると、ジワジワと山本に迫って行く。そして、26周目の1コーナーでは、一気に山本の前に出た。

今季初優勝が見えた小暮だったが……

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No.39 国本雄資
 この時、トップを快走していたのは、小暮。小暮は1周1秒近く他のドライバーよりも速いペースでラップを刻んでおり、25周を終えた時点で、ピットインを終えた中でトップにつけた伊沢に対し、20秒以上の差を築いていた。このまま差を広げて行けば、ルーティンピットをしても、トップで戻れるだけのペースだった。ところが、27周目のSPアウトコーナーで、ブラッドレーがコースアウトしてストップ。コース上にスポンジバリアが少しはみ出すような状態となったため、3度目のセーフティーカーが導入される。それを見て、小暮、国本、大祐の3人がピットイン。小暮は、伊沢の真後ろでコースに戻り、国本も7番手でコースに復帰した。しかし、大祐は左リヤタイヤの交換に手間取ってしまい。大きくポジションを落とすことになった。
 ブラッドレーのマシン回収が終わり、レースがリスタートしたのは、31周終了時。ここから激しくなったのは、伊沢と小暮のトップ争い。元々のペースが速い小暮は、37周目の1コーナーで、伊沢のインに飛び込む。しかし、2台は接触。伊沢は2コーナーでアウト側に弾き出されて、グラベルにストップすると、エンジンを止めてしまい、ここでリタイヤとなった。ここからは、小暮が再び他を突き放すペースで周回。この時点で2番手のデュバル、3番手のロッテラーをぐいぐいと引き離して行く。しかし、51周を終えた所で、小暮には10秒ストップのペナルティーが提示された。その翌周、ピットロードに滑り込んできた小暮は、トップから陥落した。

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手に汗握るデュバルとロッテラーの接近戦

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 ペナルティーで順位を下げた小暮に代わって、デュバルとロッテラーがトップ争いを演じることになった。この2人の僅差のバトルは、55周の1コーナーでヒートアップ。ロッテラーがアウトからデュバルに並びかける。2台は真横に並んだまま、コーナーへ。しかし、何とかデュバルがポジションを守り切った。
 その翌周、56周目には、またしてもハプニング発生。9番手争いをしていた平川が、突如後方から白煙を吐くと、S字の立ち上がりでコース上にストップしてしまう。さらに、58周目の1コーナーでは、一貴のインに塚越が飛び込み、2台は接触。塚越はコースに復帰したが、一貴はここでリタイヤとなってしまった。だが、走行を再開した塚越も、マシンにダメージがあったのか、同じ周のSPインコーナー入り口のブレーキングで、マシンのバランスがおかしくなり、止り切れずにまっすぐコースアウト。スポンジバリアに突き刺さる。これをきっかけに、4回目のセーフティーカーが導入された。
 マシンの回収が終わり、最後のリスタートが切られたのは、64周終了時点。トップ争いは、そのリスタート直前から、つば競り合いとなる。最終コーナーからの加速でロッテラーを突き放したいデュバルはSPアウトコーナーあたりで一旦加速したが、すぐスローダウン。ロッテラーのアクセルオンのタイミングをズラそうとする。この試みは、何とか成功し、デュバルはトップのままコントロールラインを駆け抜け、1コーナーに入って行く。しかし、オーバーステアでペースを上げられないデュバルに対し、最後までバランスが良かったというロッテラーは追撃の手を緩めなかった。67周目の1コーナーでは、デュバルのインに飛び込む。だが、デュバルが何とかこらえてロッテラーの鼻先を抑え、ロッテラーもブレーキをロックさせながら接触は回避した。

 そして、ファイナルラップの68周目。このままデュバルの逃げ切りは決まりかとも思われたが、最後の最終コーナーを立ち上がる際にもロッテラーはデュバルの背後にピタリ。コントロールライン直前にデュバルのスリップストリームが抜けて、最後の逆転を試みた。しかし、わずかに0.041秒届かず。デュバルが何とか逃げ切って、今季初優勝。所属するチーム・ルマンに10年ぶりとなる勝利をもたらしただけでなく、愛妻・ゲールの誕生日に花を添えた。
 2位にはロッテラー、3位には山本。以下、国本、松田、安田、大祐、小暮までが入賞している。

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No.20 松田次生
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No.3 安田裕信

 チャンピオンシップポイントでは、ロッテラーが37ポイントまで得点を伸ばし、デュバルが31ポイント。この2人は、最終戦を欠場するため、これが今季の総合獲得ポイントとなる。そのため、デュバルは今季チャンピオンになる可能性が消滅。ランキング3位の山本は24ポイント。それ以下のドライバーたちは、今回のレースの結果、やはり権利を失った。
 ちなみに、最終戦に出場する中で唯一権利を残す山本が、ロッテラーを逆転して、タイトルを獲得するためには、最低でも13ポイントを獲得する必要がある。この課題をクリアできるのか。鈴鹿ではその点が最大の注目ポイントとなるだろう。

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2位 No.2 アンドレ・ロッテラー /優勝 No.8 ロイック・デュバル,  土沼広芳 優勝チーム監督 / 3位 No.16 山本尚貴

記者会見

今までのフォーミュラレースで一番タフな戦いになった

優勝
No.8 ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)

photo  今朝のフリー走行ではコースコンディションがあまり良くなくて、クルマのセットを変更したところ、ポテンシャルは確保することができましたが、一瞬的な速さある一方、コンスタントな速さをキープすることが難しい状況でした。
 レースでは、序盤の30周くらいまでいいペースで走ることができたのですが、その後はリアタイヤが滑りはじめ、オーバーステアになり、ラクションもかからなくなりました。僕たちのクルマはタイヤへの攻撃性が高い状態になりやすく、この点の見直しは必要になると思います。
 また今回の作戦についても納得のいかないところがありましたね。セーフティーカー(SC)ランのあと、小暮選手が僕の前を走る可能性があるとわかりうれしくなかったし、最初のSCランのときはプッシュしたけれど、その後はエンジンマップでペースを落とすことになったけれど、これは間違いだったかもしれないですね。
 総体的にいえば、その後、小暮選手が伊沢選手との接触があって,僕に運が巡ってきて、レースをリードすることができたのですが、僕が今までフォーミュラ・ニッポンやスーパーフォーミュラのレースで戦った中で一番タフな戦いになったと思います。特に今日は僕より速かったアンドレ(ロッテラー)とのバトルはタフなものでした。だからこそ、予選でポールポジションを獲ることが大事なんです。今回、この位置からスタートできたから難しいコンディションの中で自分のポジションを守ることができたんです。本当に難しいレース展開でした。
 1年間日本のフォーミュラレースを離れ、新たにKYGNUS SUNOCO Team LeMansで参戦することになり、まずクルマに慣れるのに数日かかりましたね。無の状態からのスタートみたく、初年度はとてもハードなものでした。セットアップはもちろんコミュニケーションもそうですが、シーズン中盤くらいからだんだん戦闘力をつけることができました。今季は早い段階から勝てるチャンスがありましたが、不運もあってようやくここで勝てました。僕にとってはシーズン最後のレースだったのでとてもうれしいです。それをやり遂げることができたチームにとってもこれまでの苦労が報われて良かったと思います。
チャンピオンタイトルを考えると、今日の2位は良かった

2位
No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)

photo  朝のウォームアップはいい感じでした。セットアップを微調整しいいものが見つかったし、クルマのフィーリングもいいものでした。スタートも良くて、山本選手をすぐ逆転できました。一瞬芝生にタイヤを落としてしまいましたが、そのまま抜くことができました。
 レースそのものは何度もSCが入り、興味深いものになりましたよね。2度目のSCランのとき、チームからのピットインの情報がクリアでなく、混乱したんです。ロイック(デュバル)はチームからピットインの情報を得ていたようで加速していましたが、それで僕との差が開いたんです。僕はフルタンクの状態でスタートしたので、ピットインでの作業時間はロイックよりも短くて済んだので、何とか彼の背後でコースに復帰できましたが、燃料セーブし、ペースも抑えるというフルパワーの状態じゃなかったので、その後には山本選手にもパスされましたがそれでもまた山本選手を抜きかえすことができました。
 一方でクルマの仕上がりは良かったし、クルマも安定した速さがありました。逆にロイックはつらそうでしたね。最後のリスタートではロイックをプッシュして、逆転しようと何度も様子を伺いましたが、あと1周あれば抜けたかと思います。勝てるポテンシャルがあったクルマだっただけに、2位というのはフラストレーションが溜まりますが、チャンピオンタイトルを考えると、今日の2位は良かったと思います。今日はロイックと彼のチームにおめでとうといいたいですね。願わくば(欠場が決まっている)次の鈴鹿で、山本選手にはあまりたくさんポイントを獲らないでもらいたいですね。
 レース終盤、再スタートでは僕のほうがロイックよりもクルマもタイヤもいい状態だったのはわかっていました。それでも彼はいい走りをしていたし、僕が逆転できるのは最終コーナーからスリップストリームについて、1コーナーで勝負するのが唯一のチャンスでした。SUGOはタイトなコースなので他には逆転できる場所がないですからね。逆転を狙ったときは1コーナーのイン側に飛び込んだんですが、スピードを落とすのがとても難しく、汚れたコース上にスペースもありませんでした。アウト側からもいきましたが、ロイックの方にいいラインを獲れる優先権があったので、すべては彼次第でした。フェアなバトルでしたが、もしあと1周あったら良かったな、とも思います。楽しいバトルでした。
一生懸命頑張ってくれたチームやホンダさんに感謝している

3位
No.16 山本尚貴(TEAM 無限)

photo  スタートはまずまずでしたが、ロイック(デュバル)選手に行く手を阻まれ、(3番手の)アンドレ(ロッテラー)選手のスタートも良かったので、3番手に落ちてしまったんですが、そこからはクルマは良かったし、前についていけました。ただセーフティカーランも多くて…。チームとのやりとりで前とのギャップが開いてしまった、とアンドレ選手も言ってましたが、僕もそのあおりを食らったひとりです。前のふたりで何かやってていたのかと思うほど、前が開いてしまいました。ロイック、アンドレ選手に続いて3台でつながっていければ良かったのですが、それでも2台について行けたし、大きくポジションを落とすことなくピットアウトもできたので良かったです。
 悔しい点として2つあって、このふたり(デュバル、ロッテラー)に負けたというところと、ふたりが居る間に倒すという目標のひとつが結果的には叶わなかったことが一番悔しいですね。
 ただ逆の面で良かったこととして、以前は2台にものすごいギャップで離されていたのですが、今回は速さが少し足りなかった中で同じようなラップタイムでレースもできたし、その点に関してはポジティブに受け止められると思います。今日のレース展開を考えても3位でレースを終えられたのは、チャンピオンシップを考えてもすごく良かったと思います。一生懸命頑張ってくれたチームの皆さんやホンダさんに感謝しています。

レースも相当おもしろいものでした

優勝チーム監督
土沼広芳 監督(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)

今まで私が経験した中でも今日はタフなレースでした。10年ぶりの勝利なので、長かったような短かったようなあっという間だったような気がしますが、諦めないでがんばってきた甲斐があったと思います。スタッフ、スポンサーさん、トヨタさんに感謝します。もちろん、ロイック(デュバル)にも感謝しています。レースも相当おもしろいものでした。


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