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2015 SUPER FORMULA

Round2 Okayama International Circuit

  • Okayama International Circuit
  • 公式予選 5月23日(土) / 決勝レース 5月24日(日)  [68 Laps : 251.804 km]
    岡山国際サーキット : 3.703 km

Race

Result Review

石浦宏明がポール・トゥ・ウインで見事な初優勝!!
2位は可夢偉で初表彰台。3位に野尻が入る。石浦はランキングでもトップに立つ

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No.38 石浦宏明

5月24日(日)、岡山国際サーキット(岡山県)で2015年全日本選手権スーパーフォーミュラ第2戦の決勝レースが行われた。ポールポジションを獲得したNo.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)が好スタートを切り、終始レースをリード。自らの初勝利をポール・トゥ・ウインで飾った。2位はNo.8 小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)で、初の表彰台。3位にはNo.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40S SF14)が入った。

2015-05-24 15:00-16:33 天候:晴れ コース:ドライ 気温:29度 路面温度:47度

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絶妙のスタートで予選5番手のデ・オリベイラが2番手に

 一時は雨の予報も出されていた今日の岡山国際サーキット。しかし、この日は真夏のような太陽が照りつける1日となった。グリッド上での気温は29℃、路面温度47℃。そのコンディションのもと、午後3時にフォーメーションラップがスタート。全車が正規グリッドに着くと、シグナルオールレッドからブラックアウトし、19台のクルマが一斉に1コーナーめがけて加速して行った。
 ここで好スタートを決めたのは、ポールポジションのNo.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)。さらに、それを上回るスーパースタートを切ったのは、予選5番手のNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)。デ・オリベイラは、予選2番手のNo.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40S SF14)、予選3番手のNo.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)の中央を突破する形で、一気にポジションを上げ、石浦の後方に付けた。同様に、スタートでデ・オリベイラに続いて、野尻と山本をかわし、3番手に上がってきたのは、予選4番手のNo.8 小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)だった。
 これに対して、スタートで大きくポジションを下げる形となったのは、予選8番手のNo.4 ウィリアム・ブラー(FUJI×D'station KONDO SF14)、予選10番手のNo.20 アンドレア・カルダレッリ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)ら。さらにその後方では、No.18 中山雄一(KCMG Elyse SF14)が前方集団の混乱を避けようとしたところ、ブレーキをロックして直進。その影響で行き場を無くしたNo.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING SF14)とともに、コースアウトし、リタイヤを余儀なくされている。

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 レース序盤は、トップの石浦がデ・オリベイラ、可夢偉を引き離す展開に。その後方では、野尻、山本、No.3 ジェームス・ロシター(FUJI×D'station KONDO SF14)、No.7 平川亮(ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14)が僅差の走行を続けていた。この中から、脱落したのはロシター。スタート後、2周目からステアリングの表示がおかしくなり、シフト操作などに問題が出始めたというロシターだが、その症状は徐々に悪化。ピットインして、ステアリングを交換しようとした矢先に表示がすべて消えてしまった。そのため、コース脇にクルマを止めるとここでリタイヤ。2戦連続リタイヤという結果になる。一方、この直前、15周を終えたところで真っ先にピット作業を行ったのは、スタートで大きくドロップしたカルダレッリ。カルダレッリは、鈴鹿での開幕戦に続き、ここでもタイヤ無交換作戦を選択。給油のみを行って、コースへと戻った。そして、後にこの作戦が活きてくることになる。
 この後、No.11 伊沢拓也(REAL SF14)が給油と4輪タイヤ交換、ブラーが給油とリヤタイヤのみ交換、No.10 塚越広大(REAL SF14)が給油と4輪タイヤ交換、No.41 ナレイン・カーティケヤン(DOCOMO DANDELION M41Y SF14)が給油と4輪タイヤ交換という風にピット作業を行っているが、カルダレッリはこれらのドライバーたちの前に出ることになったからだ。

 一方、上位集団では、33周を終えたところで、5番手を走っていた山本がピットイン。給油とリヤのみのタイヤ交換でコースに戻る。これを見て、その翌周には、4番手を走っていた野尻がピットイン。同様に給油とリヤタイヤのみの交換でコースに戻った。そこからの3周、野尻はハイペースでトップ3台との差を削って行く。それを見たLENOVO TEAM IMPULとKYGNUS SUNOCO Team LeMansは、38周を終えたところで、それぞれデ・オリベイラと可夢偉をピットに呼んだ。ここで両者は給油と4輪タイヤ交換。だが、デ・オリベイラのクルーは、左フロントタイヤのナットを落下させてしまい、交換に時間が掛かった。この間に、可夢偉は先にピットアウト。デ・オリベイラはコースに戻ると、野尻、山本にも先行を許してしまう。可夢偉は、辛くもこの2台の前でコースイン。アウトラップのヘアピンでは、野尻に後方から迫られていたが、可夢偉はイン側のラインを譲らず、ここでポジションを守り切った。だが、タイヤにフラットスポットを作ってしまった。

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No.8 小林可夢偉

オーバーテイクボタンを使った息詰まる石浦と可夢偉のバトル

 一方、デ・オリベイラと可夢偉がピットに入る数周前まで、トップ3台の差は、グッと縮まっていたが、ここでP.MU/CERUMO・INGINGからはトップの石浦に“プッシュ“の指示が飛ぶ。ペースを上げた石浦は、デ・オリベイラとの差を再び2秒あまりに広げている状況だった。そして、先にデ・オリベイラと可夢偉が動いた翌周、石浦はピットイン。やはり給油と4輪タイヤ交換を行って、トップを守ったままコースへと戻った。フラットスポットを作ってしまった可夢偉は、早目に仕掛けるため、ピットアウトすると石浦との差を詰めて行く。そして、47周目、48周目にオーバーテイクボタンを連続で使いながら、石浦の背後に迫った。
 しかし、48周目には石浦も同様にオーバーテイクボタンを使って、ディフェンス。可夢偉のアタックを寄せ付けなかった。そこからも2台のタイム差は一進一退。最後まで神経戦の様相を呈した。オーバーテイクボタンを最後まで3回分残していた石浦は、66周目にそのうちの1回を使用して、可夢偉を引き離しにかかる。だが、ヘアピンのブレーキで止り切れず、一旦差を詰められるシーンも。だが、その後は落ち着いて、オーバーテイクボタンを使用。ファイナルラップの段階で、1秒246まで差を広げることに成功した。
 そして、ファイナルラップでは、2台が揃って最後のオーバーテイクボタンを使用しての攻防となったが、石浦は余裕を持ってポジションを守り切った。

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No.40 野尻智紀

 その結果、68周を走り切った石浦は、国内トップフォーミュラ初優勝。INGINGとしては2007年フォーミュラ・ニッポン第4戦岡山のロニー・クインタレッリ以来8年ぶり、CERUMOとしては1995年全日本F3000選手権第3戦・MINEサーキットのトム・クリステンセン以来、何と20年ぶりの勝利となった。可夢偉も参戦2戦目にして、初の表彰台を獲得した。まだ2戦終了ではあるが、石浦はドライバーズランキングでもロッテラーを抜いてトップに立った。そして、今やトップを脅かす存在となった野尻が3位。以下、山本、デ・オリベイラ、序盤のタイヤ無交換ピットインが奏功したカルダレッリが6位に入賞している。さらに、伊沢が7位、終盤カーティケヤンをオーバーテイクすることに成功したNo.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)が8位。開幕を制しているロッテラーは、意地で1ポイントをもぎ取ってレースを終えた。

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No.16 山本尚貴
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No.19 J.P.デ・オリベイラ


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2位 No.8 小林可夢偉 / 立川祐路 優勝チーム監督 / 優勝 No.38 石浦宏明 / 3位 No.40 野尻智紀


記者会見

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よろこびというより、良かったという安心感でした

優勝
No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO · INGING SF14)

 ポールポジションからのレースですが、(僕は)スタートはいつもいいし、落ち着いて行けば、(トップで)1コーナーを獲れるかなと思ったんです。でもミラーの中でものすごい勢いでJP(デ・オリベイラ)選手が真ん中をかっ飛んでくるのが見えて…。1コーナーはとりあえず大丈夫だろうと思ったんです。それで落ち着いて1周目を終えたら少し離れていたので、そこからは一瞬楽に逃げられるかなと思ったのですが、そんなに甘くなくて…。だんだん詰められてしまいました。その後ろに(小林)可夢偉選手もどんどん近づいてくるのが見えたので、これはレース後半で苦しくなってくるのかなという予想はついてました。
 ピット作業も落ち着いて丁寧にやってもらい、ピットから出たら可夢偉選手が見えて、ブレーキングがものすごく、近づいてくる印象でした。そこで僕もマネしてみようと思ったんですが、全然止まれなくて…(苦笑)。これはミスするなと思い、そこは自分のペースを守って走りました。
 バックストレートエンドだけが勝負になるかと思い、ここに絞って守られればいいなという感じでしたね。落ち着いていたのが半分、かなりいっぱいいっぱいが半分という状況で、ドリンクもまったく飲んでませんでしたね。ラップ数を数えつつミスしないように最後まで走った、という感じです。
 朝のフリー走行では制御系トラブルが出てしっかり走ることができなかったのでとても不安がありました。何もわからず、車高すらどうしていいかわかりませんでした。ガソリンをちゃんと積んで走っていないと、いろんなことが確認できないので。(フリー走行後の)サーキットサファリの最後には走ることができましたが、スタート前チェックの8分間では、わざと距離を走ったタイヤにガソリンを積んで重たくした苦しい感じの状態で走ってみて、そこでのバランスを見たりしました。さらにダミーグリッドでも車高を変えたりしましたが、最終的にはエンジニアにも『あとはわからないから、お願い!』と言われました(苦笑)。
 終盤の接近戦ですが、その前にまずピットイン後に接近戦になり、そのあとは可夢偉選手がちょっとタイヤをクールダウンしている感じがわかりました。一番恐れたのは、そのあともう一度(プッシュして)来るタイミングがいつか、ということでした。僕もタイヤをちょっと労っておかなきゃ、と。あと、オーバーテイクシステムが残り3つあることはわかっていたので、残り3周までがレースかなと考え、そこまでミスしなければ行ける(逃げ切れる)かなと感じで考えていました。オーバーテイクシステムは残り3周でひとつずつ使いました。残り3周からは落ち着いていたのですが、最初のオーバーテイクを使ったときに、ブレーキングで止まり切れなくて…(苦笑)。スピードが伸びるってことはわかっていたんですが、ちょっと早めに踏んだつもりが結構ギリギリだったんで…。次の周からはマージンをもって走りました。ファイナルラップはバックストレートエンドを通過してしまえば大丈夫だなと思ったので、逆にその前の10周くらいが一番ツラかったですね。
 これまでもいろんな方から、「ポールポジションを獲れたらレースでも勝てるよ」と言われてきました。それは本当だったな、と思いました。今後もそこに集中してやっていけば、1度だけじゃなくてまた勝てるのかなと思います。(スーパーフォーミュラ参戦を)途中2年休んで、シーズン6年目なんですが、勝つまでは長かったですね。でも勝てないと言われるままで終わらなくて良かったと思うし、このチャンスをくれたチームのおかげでもあります。2年シートがなかったときに声をかけてくださったチームの方々に恩返しができました。チェッカーを受けたときは、ずっと勝ててなかったこともあり、ホッとしました。よろこび爆発というよりは、良かったぁ、という安心感がありました。レースも長く感じたし、なかなかサインボード見ても周回数が減らなかったし…(笑)。
これで非常にポジティブな気持ちで第3戦に挑める

2位
No.8 小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)

 今日はペース的に勝つチャンスがあったかもしれないですが、抜きにくいこのコースで2位というのは満足しなきゃいけないとも思います。全体的にレースは楽しめたし、ペース的にも悪くなかったし、どちらかというと予選が思ったよりも良くなかったと言う点で、このカテゴリーはやはり予選がすごく大事だということを実感しました。
 ただ前回のレースからみると、レースペースが良くなったし、非常にポジティブな気持ちで第3戦に挑めるのかなと思います。
 「No.8」は(亡くなった)松本恵二さんがかつてチームで付けておられたし、そのためにも勝ちたかったので(2位の結果は)悔しいんですが、もし勝ったら(チーム監督の)土沼(広芳)さんが泣きに来るやろうなぁということを期待してがんばったんですが、それができずに残念でした。
 (石浦選手とのバトルでは)最初にオーバーテイクボタンを押してプッシュしました。最初はプレッシャーを与えていったら、どれだけ失敗するかなと思ったんですが全く失敗しなくて。なので、ちょっと仕掛けるつもりで行きました。1発目行ったときは、僕の仕掛けが中途半端だったので、どのくらいの距離のブレーキングで行けるのかちょっとわかってなくて飛び込めませんでした。で、2周目で飛び込んだときにはオーバーテイクボタンを押したことが彼にバレていて…。なかなかこれは攻めようがないなぁ、と。そのときにはもう残りが1つになっていたのに対し、石浦さんは残り3つあったので、なにかしないとアカンなと思いました。そこで一度休んで、普通のペースでプレッシャーをかけて、(温存する)オーバーテイクの数を減らしてもらおうと思ったんです。でも(石浦との差を)1秒切ろうとすると、どうしてもエアロがなくて(空力が上手く掛からないで)、近づけない。結果、自分のタイヤを壊すことになるんです。なかなかそこからがいけませんでしたね。それで残念ながら終わったという感じです。
序盤のペースをもうちょっと改善しなきゃいけない

3位
No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40S SF14)

 2番(グリッド)からスタートしましたが、残念ながらスタートでたくさん前に行かれてしまいました。個人的には朝のスタート練習含め、そこまで悪いスタートじゃなかったと思います。『あそこまで勢いよく来るか?』という感じで来られてしまい、気がついたときにはJP(デ・オリベイラ)が真横にいましたし、防御のしようがなかったですね。
 中盤くらいから上位と同じようなペースで走ることができたんですが、やはり序盤のペースをもうちょっと改善しなきゃいけないですね。一方で、チームは作戦面でも一生懸命やってくれて、良かったので、戦略でJP選手の前に出ることができました。だからこそ3位に来られたとも思います。チームに感謝していますが、まだまだやることもあるのでしっかりチームと話をして、富士に向けてがんばっていきたいと思います。
 (ピットインを終えた小林選手とのバトルに対して)ヘアピンで並びかけたと思うんですが、バックストレートを走っている時点で、可夢偉選手は絶対イン側を守ると思っていました。このままアウト側にいても、ブレーキングで行けるだけ行くけれど、多分抜けないだろうなと思っていました(苦笑)。そういう感覚でいけるようなコーナーでもなかったですしね。

チームのみんなのがんばりが結果に結び付いた

優勝チーム監督
立川祐路 監督(P.MU/CERUMO · INGING)

 チームとして以前、JAFグランプリで勝ったことはあるんですが、シリーズ戦では初めてポールポジションを獲って勝つことができました。一歩一歩ながら毎年レベルアップして、僕が監督になってから目標にしていたことが実現しました。去年くらいからそういう手応えはあったのですが、今回は石浦(宏明)ががんばってくれて、結果を残してくれました。チームのみんなのがんばりが結果に結び付いたと思うので、本当に良かったと思います。
 2年前、チーム側から石浦に乗って欲しいという話になったんですが、開発能力だったり、落ち着いてチーム全体を組み立てていけるドライバーという視点から、お願いすることになりました。とにかく1勝して欲しい、という話は最初からあったので、今回で“ノルマ達成”ということになりますね。今、このレースだけでなく、SUPER GTでも脂の乗ったいい状態なのかな、と思います。高いレベルでレースがやれているので、今回の優勝もあまり驚かないというか…。レースを見ていても、スタートとピットストップだけうまくいけば、という思いでした。そのふたつもうまくやってくれたので、安心して見てられましたね。


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