SUPER FORMULA Logo

SUPER FORMULA Official Website

JapaneseEnglish

2015 SUPER FORMULA

Round4 Twin Ring Motegi

  • Twin Ring Motegi
  • 公式予選 8月22日(土) / 決勝レース 8月23日(日)
    ツインリンクもてぎ : 4.801 km

Race

Result Review

ポール・トゥ・ウインで石浦宏明が今季2勝目!
終盤の猛追も実らず一貴が2位。3位にはデ・オリベイラで、3人が連続表彰台に

image

No.38 石浦宏明

8月23日(日)、ツインリンクもてぎ(栃木県)で2015年全日本選手権スーパーフォーミュラ第4戦の決勝レースが行われた。ポールポジションからスタートしたNo.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)がトップを譲ることなくレースを走り切り、今季2勝目を挙げた。2位は前戦に続きNo.1 中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)、3位はNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)と、前戦と同じ顔ぶれが表彰台を占めた。

2015-08-23 15:00-16:32 天候:曇 コース:ドライ

photo

フォーメーションのスタートでヒヤリとさせた石浦

 午前中のフリー走行が終わって1時間ほど経った頃、もてぎの空からは突如激しい雨が降ってきた。この雨は、しばらく降り続いたが、スーパーフォーミュラのスタート進行が始まる頃にはすっかり止み、路面は次第に乾き始めた。8分間のウォームアップ走行は、全車がレインタイヤでコースに出たが、間もなく半分ほどのドライバーがスリックにスイッチ。結局、決勝レースには、全車がスリックタイヤをチョイスした。
 午後3時05分、気温26℃、路面温度31℃というコンディションの下、フォーメーションラップがスタート。ところが、ポールポジションのNo.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)がなかなか動き出さないというハプニングが発生。ギヤのスイッチが入っていなかったということで、動き出しに手間取ったのだが、その後、石浦は走り出して隊列の定位置に戻り、事なきを得た。

photo
No.1 中嶋一貴

予選5位の中嶋一貴が好スタート切って2番手に浮上

 そして、全車が正規グリッドに着くと、シグナルオールレッドからブラックアウト。一斉にスタートが切られた。しかし、ウェットから乾きかけのコンディションということで、アウト側グリッド(予選奇数順位)に並んだドライバーが非常に有利。ポールポジションの石浦がそのままポジションを守り、予選5番手のNo.1 中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)が今回もジャンプアップ。第1コーナーではNo.8 小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)とのポジション争いをアウト側から制して2番手に浮上する。これに可夢偉、イン側スタートながら何とかこらえたNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)、スタートで出遅れる結果となったNo.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40S SF14)、No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)と続く。一方、その後方では、No.34 小暮卓史(DRAGO CORSE SF14)とNo.10 塚越広大(REAL SF14)が1コーナーで接触。小暮はコースに復帰したが、塚越はクルマにダメージを負い、第3コーナーでコースアウトすると、そのままレースを終えた。
 オープニングラップから、石浦は好ペースを維持。序盤から一貴を引き離して行く。また、一貴も可夢偉とのギャップを次第に広げて行った。その後方につけるデ・オリベイラは、可夢偉まで僅差に迫っていたが、路面にはライン外にまだ濡れている所もあり、オーバーテイクを仕掛けるまでにはいたらない。ロッテラーも、なかなかペースが上がらない野尻に行く手を遮られるような状態での周回が続いた。
 そこで、デ・オリベイラとロッテラーの2人は、52周のレース中11周を終えようかというところで、早くもピットイン。デ・オリベイラは給油と4本のタイヤ交換、ロッテラーは給油とリヤタイヤのみの交換を行ってコースへと戻った。これを見て、翌周にはNo.20 アンドレア・カルダレッリ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)もピットイン。給油のみでコースに戻る。その他、後方から何とか挽回したい考えのドライバーたちも序盤からピットに入ることとなった。ちょうどレース折り返しまでに、半分以上のドライバーはピット作業を終えている。

photo
No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ

ピット作業で悪夢。ポジションを大きく下げた可夢偉

 これに対して、後半まで作業を引っ張ったのは、トップ3を走っていた石浦、一貴、可夢偉。その3人の中で、まずピットに入ったのは、可夢偉。32周を終えようかというところでピットに戻った可夢偉は、序盤3番手を争っていたデ・オリベイラのギリギリ前に出られる計算だった。ところが、タイヤ交換の際、右リヤのホイールナットが噛んでしまい、作業時間には40秒近くを要する。その結果、可夢偉は大きくポジションを落とすことになった。次にピットに戻ってきたのは、一貴。一貴は、34周を終えようかというところでピットイン。左フロントタイヤ交換に少し手間取る様子も見えたが、2番手のポジションは盤石で、余裕を持ってコースに戻った。

photo
No.2 アンドレ・ロッテラー

一貴が終盤に猛チャージ! しかし石浦が逃げ切り

 その2周後、いよいよトップの石浦がピットイン。前半、一貴に対して10秒以上のマージンを稼いでいた石浦も、十分なマージンを保ったままコースへと戻った。しかし、ピットアウト後は、一貴のペースが石浦を上回る。レース終盤に入ると、毎周コンマ5〜1秒ほども差を詰め、石浦にプレッシャーをかけた。だが、残り周回数が少なくなっていたため、追いつくまでには至らず。石浦が逃げ切って、今季2勝目を挙げた。
 一貴は、前戦富士に続き、今回も2位表彰台を獲得。可夢偉が遅れたことによって、デ・オリベイラが3位表彰台を獲得している。4位はロッテラー。5位にはNo.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING SF14)が入り、Honda勢最上位となった。6〜8位には野尻、No.7 平川亮(ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14)、No.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)が入り、以上の8名がチャンピオンシップのポイントを獲得した。
 ピット作業で遅れた可夢偉は、終盤に10番手のNo.11 伊沢拓也(REAL SF14)を追い上げていたが、最終ラップでスピン。マシンは縁石に乗り上げて後輪が空回り。さらに14番手を走行していたNo.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING SF14)も最終ラップにマシンをコースサイドに出してストップ。結局、この2台はゴールすることができなかった。

 これで、チャンピオンシップポイントでは、石浦が32点でドライバーズ・ランキングのトップをキープ。デ・オリベイラが25点で2位、一貴が24点で3位となった。現状では石浦がデ・オリベイラに7点の差をつけ、一歩抜け出した形となった。

photo
No.64 中嶋大祐


photo

photo


photo
2位 No.1 中嶋一貴 / 優勝 No.38 石浦宏明 / 立川祐路 優勝チーム監督 / 3位 No.19 J.P.デ・オリベイラ


記者会見

photo

レース人生でこれほど順調にいったことはない

優勝
No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO · INGING SF14)

自分のレース人生でこれほど順調にいったことがなかったですね。昨日(予選後)の記者会見で「逃げるレースがしたい」と言っていましたが、スタート後はどんどん後ろを離し、前回勝ったとき(第2戦岡山)とは違って1人でレースをしている感じでした。正直、後半の(中嶋)一貴選手のペースにはびっくりして、毎周サインボードで後ろとのタイム差を見ていました。結構プッシュしてもどんどん追い付いてきたので「序盤での差は何なんだろう?」など、いろんなことを考えつつプッシュしていました。
(フォーメーションラップのスタート時に出遅れたのは)フォーメーションラップに行く15秒前(の表示)が出てからギアを1速に入れようとしたら、なんの反応もなかったんです。クラッチのパドルを握り、1速に入れてもまったく動かなかったので、何か噛み合わせが悪いのかと思いました。焦りましたが一旦冷静になって考えたところ、ギア周りをコントロールしているスイッチがオフになっていたんです。いつもなら乗った状態で(スタッフに)オンにしてもらっていたのですが、今回はそうじゃなかったんです。自分で(スイッチを)オンにしたときには他のクルマがもう(グリッドを離れて)動き出していました。スイッチはオンにしてからすぐには動かず、2、3度やってようやく反応して、動き出したのでとりあえず元のポジションに戻ることができました。でも動揺したし(スタートに向けて)、いろんなことを考えていたのも飛んじゃいました。無心でスタートはしましたが、(フォーメーションで出遅れた)ポジションを戻したことでペナルティが出たら…という気持ちもあったので、とりあえず必死でプッシュしようと思いました。
あと何周かあれば(一貴に)完全に追い付かれていたと思います。最初は“楽したいなぁ(独走したい)”と思って走っていたのですが、もてぎはブレーキングポイントで飛び込み過ぎたりするとコースアウトするリスクも結構あるし、毎周毎周プッシュしつつ安定して走らせるのは難しいので、集中力を途切らさないようにと思いながら最後まで走りました。
(後ろから着実に一貴が差を詰めてきたが)追い付かれると動揺しますが、自分のコントロールができていれば抜かれないとは思います。でも、もてぎの場合は”最後の90度コーナーで一発勝負! ”みたいなタイミングで勝負に出られる可能性もあるので、トラクションをかけるのを少し失敗しただけでもブレーキング勝負になるし、そうなるとこっちの方が後半はペースが悪かったので、分が悪かったかなと思います。追い付かれたら『(抜きづらい)もてぎだから大丈夫、抜かれない』と自分に言い聞かせるでしょうが、本当にそれがうまく行くかどうかはわからないですね。
いいレースができたので、残り3戦に繋がった

2位
No.1 中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)

今週の流れとしては、決して悪くはなかったです。予選の最終コーナー(のミス)が悔やまれるかなという感じです。あそこで失敗しなければ、予選2番だったかもしれないし。そういう意味では何がどう転ぶのかわからないな、というのが今週の印象でした。
スタートは(前に出ることを)狙っていました。ただ狙ってたとはいえ、1コーナーまでの距離が短いのでどこまで行けるかなと思っていました。幸い(ランキングで競っているデ・オリベイラのグリッドである)内側も濡れていたし、割と物事が思うように行ったのかな。一方で、(小林)可夢偉を1コーナーのクリッピングで外からうまく抜けたのは大きかった(いい結果につながった)と思います。そのあとは、(先頭の石浦に)ちょっと離されてしまいましたが、前回2戦(鈴鹿、富士)と比べれば最後に巻き返すこともできました。去年、もてぎは非常によろしくなかった(いい結果が残せなかった)し、あまり得意なイメージもなかったところでいいレースができたので、今後残り3戦に繋がったかなと思います。
最後のほうは(トップの石浦と)明らかに差が詰まっていったので、僕は(石浦の)トラブルか燃費(によるハプニング)を期待したんです。でもそうではなかったし、そうでもなければもてぎは抜けませんね。相手が失敗しないかぎり、難しいですね。
勝つためにレースをしているので勝ちたかった

3位
No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)

正直なところ、今回はあまりうまくいったとはいえない週末でした。確かに3位の結果を残して表彰台には上がりましたが、僕たちは勝ちを狙っていたので、やはり勝ちたかったですね。
そもそも予選で2度ほどミスをして、いいポジションを取ることができなかった。今日のレースでも同じようにチャンスを逃してしまった感じがします。特にスタートでのグリッドがそうでした。(ウェット宣言が出る中で迎えたスタートでは)右側よりも左側の路面が乾いており、僕のグリッドである右側からのスタートは辛くなるだろうなと思っていました。事実、右側からのスタートではトラクションがあまりかからず、なんとか(予選順位である)4位のポジションをキープできたので、その後は、(小林)可夢偉の後ろにつけて走りました。でも最初の10周ほど走って、「これは作戦を変えないと、表彰台にも上がれなくなる」と感じたんです。すぐさま作戦変更して早めにピットに戻りました。ちょうどアンドレ(ロッテラー)も同じ戦略に変えたようで、同じ周にピットインをすることになりました。ピットでアンドレがタイヤを換えず(実際はリアタイヤ2本交換)、僕は4本交換したのですが、タイミングよくアンドレよりも先にコース復帰できました。その後は自分のペースをキープして走り続けることを意識していました。
チェッカーまで残り5周くらいからペースを落としたのは、燃費のことを考慮したからです。ガソリン(残量)のことがちょっと気がかりでもあったので、走行中はずっとミラーで後方を確認していたので後ろにつけるアンドレとの差は充分確保できているというのがわかりました。ポジションキープが可能な状態で落とせしても大丈夫だというペースにして走っていました。

こんなにすぐに2勝目が来るとは思わなかった

優勝チーム監督
立川祐路 監督(P.MU/CERUMO · INGING)

本当にうれしいです。第2戦岡山で優勝し、チームも石浦(宏明)選手も初めて勝って喜んでいたわけですが、こんなにすぐに2勝目が来るとは思わなかったです。僕自身、(優勝チーム)監督としてここ(記者会見)に来るのは2度目になりましたが、少しは慣れたのかなという気持ちです(笑)。
石浦選手が絶好調で、常に速いし、フォーミュラだけでなく(他の参戦カテゴリーでも含め)“乗れているな”という印象なので、安心して(レースを)任せることができます。あとは石浦の走りを可能にしてくれているチームスタッフみんなのがんばりのおかげだし、(応援してくれる)みんなの力だとも思うので感謝しています。
フォーメーションラップでの事(石浦がスタートに手間取った)は、こちらとしても状況把握ができていませんでした。エンジンストールでもしたかと焦りましたが、無事にスタートが切れたので安心しました。レース終盤は、中嶋(一貴)選手のペースが速かったのですが、様子を見ていて石浦に余裕があると思ったので、残り周回数を見て、そのままいけると思っていました。トラブルさえなければいける(勝てる)という確信があったので、僕もエンジニアも無線も入れず、見守っていました。


photo