2015 SUPER FORMULA
Round6 SPORTSLAND SUGO
- SPORTSLAND SUGO
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公式予選 10月17日(土) /
決勝レース 10月18日(日)
スポーツランドSUGO : 3.704 km
Race
アンドレ・ロッテラーが独走で今季2勝目を獲得!
山本が2位で今季初表彰台。3位は野尻。石浦は5位でランキング首位を守る。
No.2 アンドレ・ロッテラー
10月18日(日)、スポーツランドSUGO(宮城県)で2015年全日本選手権スーパーフォーミュラ第6戦の決勝レースが行われた。ポールポジションのNo.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)が、スタートこそ2番手に下がったもののレース中盤以降は独走状態を築き、今季2勝目を挙げた。2位にはNo.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)が、3位にはNo.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40S SF14)と、Hondaエンジンユーザーの2人が表彰台に上った。また、ドライバーズチャンピオンの争いでは、ランキングリーダーのNo.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)が5位になり、そのポジションを守って最終戦鈴鹿(11/7、8)に臨むことになった。
スタートを決めた一貴がロッテラーを抜きトップに
10月18日(日)美しい青空の下、スポーツランドSUGO(宮城県)で全日本選手権スーパーフォーミュラ第6戦の決勝が行われた。気温22℃、路面温度33℃というコンディションの中、フォーメーションラップがスタートしたのは午後2時30分。19台のマシンが1周の隊列走行を終えて正規グリッドに着くと、いよいよ決勝のスタートが切られた。
ここで好ダッシュを見せたのは、予選2番手のNo.1 中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)。ポールポジションのNo.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)は、動き出しこそ悪くなかったものの、「クラッチのスリップが少し多過ぎたね」ということで、一貴の先行を許す。これに続いたのは、No.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)。No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)もまずまずのスタートを切ったが、山本の先行を許して4番手にポジションを落とした。さらに、No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40S SF14)、No.8 小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)が1コーナーでサイド・バイ・サイドの戦いとなったが、野尻がポジションを守ることに成功した。一方、ほぼ毎戦スーパースタートを決めて、ポジションを上げてくるNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)は、山本と野尻に行く手を阻まれる形となり、1周目を終えたところで7番手と、ひとつポジションダウンしている。デ・オリベイラは、3周目に一度、可夢偉の前に出ることに成功。さらに、5周目の1コーナーでは野尻にオーバーテイクを仕掛けたが、オーバーランしてしまい、逆に可夢偉にも抜き返され、やはり7位での走行となった。
その後、今回はチーム、ドライバーによって戦略が分かれることになる。レース中のどこかでセーフティーカーが入ることを期待して、早目にルーティンを終わらせるチームと、逆に引っ張るチームが出てきたからだ。
その中でも、真っ先にピットインしたのは、予選最後尾となってしまったNo.3 ジェームス・ロシター(FUJI×D'station KONDO SF14)。わずか5周を終えたところでピットに入ったロシターは、6秒5という給油のみでコースに戻る。その4周後、9周を終えたところでは、No.7 平川亮(ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14)とNo.4 ウィリアム・ブラー(FUJI×D'station KONDO SF14)、10周を終えたところでは可夢偉と、スタート直後にNo.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING SF14)に追突してフロントノーズにダメージを負ったNo.20 アンドレア・カルダレッリ(LENOVO TEAM IMPUL SF14)がピットに入った。
No.16 山本 尚貴
ロッテラーが一貴の一瞬の隙を突きトップ奪還
この頃、白熱してきたのはトップ争い。ペースとしては2番手を走行していたロッテラーの方が速く、トップの一貴を追い詰めて行く。そして、「抜ける場所を探していた」というロッテラーが、14周目の最終コーナーで一貴のテールに着くと、すかさずオーバーテイクボタンを使ってスリップに入り、15周目の1コーナーで攻略に成功。「少し距離を見誤りましたね」という一貴は、抵抗することが叶わなかった。そこからロッテラーは逃げの態勢を築いて行った。抜かれた一貴は、その後も余りペースを上げられず、後方から来る山本、石浦に差を詰められる展開となった。
3台での争いとなった2番手争いの中で、まず動いたのは石浦。石浦は26周を終えたところでピットイン。給油だけを終えて10秒9というストップタイムでコースに戻る。これを見て、翌周には山本もピットイン。山本陣営は、ギリギリまで攻めて、給油のみの7秒3というストップタイムで、再び石浦の前でコースに戻った。さらに、その翌周には一貴がピットイン。だが、一貴はここで給油とともにリヤタイヤを交換し、ストップタイムは11秒9。何とか石浦の前ではコースに戻ったが、山本の先行を許すこととなってしまった。このアウトラップ、石浦は一貴をかわそうと猛プッシュ。一貴も必死の防戦を見せる。そして、何とか一貴がポジションを守り切った。
No.40 野尻 智紀
これで目の前が開けたのは、前半5番手を走っていた野尻。野尻はここから1分07秒台の好タイムをたびたびマークして、先にピットに入った3選手との見えない差を削って行く。また、トップに立ったロッテラーも、ファステストラップをたびたび書き換える走りを見せ、リードを広げて行った。
そして、53周を終えたところで、トップを快走していたロッテラーと野尻が同時にピットイン。ロッテラーは悠々トップを守り、野尻は一貴の前でコースにもどることに成功。これを見て、54周を終えたところで3番手まで上がっていたデ・オリベイラもピットイン。しかし、デ・オリベイラはエンジンストールし、8番手でコースに戻ることとなった。また、最終盤までセーフティーカーの可能性にかけて走り、2番手まで浮上していたNo.18 中山雄一(KCMG Elyse SF14)も燃費がギリギリとなった58周でピットイン。これで山本が2位、野尻が3位、一貴が4位、石浦が5位というオーダーができあがった。
No.1 中嶋 一貴
野尻の追い上げを振り切った山本が2位を獲得
トップのロッテラーはピットイン後も、さらに猛プッシュ。そのまま68周を走り切って、今季2勝目をマーク。ブッチギリの、結果としてはポール・トゥ・ウィンだった。表彰台の残る2つは、最後まで僅差となったが順位の入れ代わりはなし。山本が一昨年以来の嬉しい表彰台獲得。野尻も第2戦岡山以来の表彰台となった。
一貴は4位、石浦は5位。デ・オリベイラはチェッカー目前にガス欠症状を起こした平川をかわして最終的に7位入賞となった。
その結果、ドライバーズポイントでは、石浦が45点でトップをキープ。一貴がそれを6ポイント差の39点で追う。さらに、今日勝ったロッテラーとデ・オリベイラが31ポイントで、これに続いている。最終戦鈴鹿でタイトル争いを演じることになるのは、この4人のみ。果たしてどんな結末が鈴鹿で待っているのか。緊張感あふれる1戦となりそうだ。
また、チームタイトルは優勝したロッテラーと4位の一貴のポイントを加えて69点としたPETRONAS TEAM TOM'Sが、2位のP.MU/CERUMO・INGINGに21点の差をつけたことで、最終戦を待たずに決定となった。
No.38 石浦 宏明
2位 No.16 山本尚貴 / 優勝 No.2 アンドレ・ロッテラー / 舘 信秀 優勝チーム監督 / 3位 No.40 野尻智紀
記者会見
- 走りたいようにレースをして楽しい一日でした
優勝
とってもいい気分ですね! 今日のレースはとてもいい展開になりました。スタートは良かったんですが、でもクラッチが滑ってしまって…。逆に(中嶋)一貴のほうがいいスタートを切ったんです。なので、どうやって彼を抜こうかと考えました。彼のスリップストリームについて走っているときに、僕のクルマのほうがいい状態だということがわかったし、彼にも近づくことができました。最終コーナーの状態も僕のほうが良かったようなので、すぐさまオーバーテイクシステムのボタンを押して立ち上がり、メインストレートで逆転することができました。
No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)
今日はクルマの仕上がりが素晴らしく、レースを楽しむことができました。クルマのバランスがとても良かったし、やりたいようにできたし、走りたいようにレースをしたって感じですね。楽しい一日でした。
(タイトル獲得の可能性がある鈴鹿に向けて)この流れで最終戦の鈴鹿も勝ちを狙っていきます。今年は開幕戦(鈴鹿)で優勝してるし、クルマも完璧だったので、次もそれができると思います。今週末と同じようないい週末にしたいですね。- 最終戦につながる戦いができたのかな
2位
今週末は組み立てとしてはいいものができたかなと、チームも僕自身ともにそう思います。ただ、もう少し早いテンポで予選からいいクルマに仕上げることができていたら、と思います。(決勝日)朝のフリー走行で躓いた感じもあるので、そこが唯一悔いの残るところですね。ただ予選2列目をしっかりと維持して課題だったスタートもうまく決めることができたので、そこが2位になれた一番の部分だと思いますね。あとは戦略ですかね。(後ろにつけていた)石浦選手が早めにピットインしたことに合わせる形になってしまいました。そこでタイヤ交換もせず、重いガソリンを積んだクルマの状態で走ることになり、タイヤを傷めることになったので、終盤は厳しかったですね。
No.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)
(2013年に)チャンピオンを獲ってから一度も表彰台に上がってなかったし、速さがありながら結果に結び付けることが、(ここまで)ドライバー自身としてもできなかった。今回は、勝つことはできませんでしたが、2位表彰台に上がることができて、最終戦につながる戦いができたのかなと思います。
スタートで気にしていたのは、後ろにいたJP(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)と視界に入っていた石浦(宏明)選手でした。このふたりしか見えなかったのですが、まず石浦選手がホイルスピンして失速したのがわかったので、なんとか彼の前に出たい、それとJPが来るだろうと思ったので、彼のラインを封じることに徹しました。スタートがうまく決まって良かったです。(ピット作業が7.3秒と比較的短かったことに対して)燃料はかなりギリギリでした。前に出るためにもそうだったのですが、給油量も時間もかなり削りました。あとは細かくエンジニアとやりとりをしてたのですが、「結構ギリギリ」と言われていました。がんばって(燃料を)セーブしました。でも、野尻(智紀)選手がずっと1分7秒4とか5というタイムでずっと走っていたのを知って、ピットイン前の時点で彼に5秒くらい差をつけていたんですが、「このままでは野尻選手に前に出られてしまう」と思いました。あまり燃費のことばかりを考えていると野尻選手にやられる(先行されてしまう)ので、プッシュするときはプッシュし、その中でも燃料をがんばってセーブするドライブをしました。終盤、野尻選手の前に出たときは、向こうもあまりペースが上がらなそうだったので、最後はもう燃費を気にしながら走っていました。
最終戦の鈴鹿に向けてはとても悩むところですね。開幕戦ではポールポジションを獲ったし、スタートもうまく決めることができていたら勝つこともできたと思うんです。そういうクルマが僕たちにはありました。ただそのクルマで(第2戦)岡山以降、まったく歯が立たなかった(結果を残すことができなかった)んです。そこで、前回のオートポリス戦からクルマのセットを大きく変えて、SUGOでうまく行ったので、(最終戦では)「どっちで行く?」って感じですね。僕もエンジニアも悩みどころかなと思います。その辺は鈴鹿に向けてしっかりとメニューを持ち込んで、フリー走行でしっかりと見極めたいし、それが大事な作業になるでしょう。あと個人的には、タイトル争いをしているドライバーたちに「山本、厄介だな」っていう存在になりたいですね。そうやってレースをかき乱したいと思います。- プッシュし続けて表彰台に乗れたのはすごくいいこと
3位
昨日の朝のフリー走行ではすごく好調だったので、このままニュータイヤを履けば(予選で)ポールポジションを狙えるなと思っていました。僕もチームもポールしか狙っていなかったんです。でも、予選に入ると思ったようなグリップ感を得ることができず、僕自身もQ1で(スピンする)ミスをしてしまったので、今あらためてそのミスが流れを少し狂わせてしまったのかなと思います。そこはすごく悔やまれますね。
No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40S SF14)
今日のペースを見る限り、予選でもう少し違った展開になっていたら、決勝でもまた違った走りができてもう少し上位で戦えた、トップを狙える可能性もあったと思うので、そのミスが反省点ですね。ただ最後までこのようにプッシュし続けて表彰台にまた乗れたのはすごくいいことですし、また最終戦でいい戦いをしてなんとか一番に立てるように、最終戦もガンバっていきたいですね。
(レースでのピットアウトで真横に山本がいたが)僕は正直なところ、山本選手と争っているのを知りませんでした。プッシュするだけしか方法がなかったし、一方でチームからは、僕に話しかけるとペースが落ちてしまうだろうと、多分気を遣って何も言わなかったんだと思います。でもピットを出たときは、山本選手がミラーにちょうど映らないところからちょうど横に来たという感じで、それがもしもうちょっと見える位置であれば、もうちょっと違ったライン取りができて、抑えられたのかもしれないですね。そこはもう、隙を突かれた感じですね。気付いたときはもう、イン側に山本選手がいてどうすることもできませんでした。
ここ最近、思ったようなフィーリングを得られず、これまでと同じようなセットアップでもどこか違うっていうことが多かったんです。今回の予選でもそうでしたが、予選での一発の速さを出さないとこのレースは勝負ができないと思うので、これからミーティングを重ね、鈴鹿に向けていいものを用意したいと思います。- タイヤ無交換の作戦が奏功した
優勝チーム監督
アンドレ(ロッテラー)は、土曜日の走り始めから非常に好調でしたね。今回は大きくセッティングを変えるようなこともなく、細かいところばかり(の調整)で、たいへん調子が良かったですね。たぶん、(国際レースにも出て)多忙の身だから身体的には相当疲れているのかもしれないですが、すごく“ノッてた”ような気がしますね。純粋にアンドレの優勝はうれしいです。ただ、(中嶋)一貴を表彰台に乗せて上げられなかったのは、残念です。
舘 信秀 監督(PETRONAS TEAM TOM'S)
今回でチームタイトルが確定したということですが、ありがとうございます。チームタイトルが獲れたのだからオーナーとして喜べばいいんでしょうが、常にドライバーズタイトルのほうを気にしていて…。毎年そうなんですけどね(笑)。でもうれしいです。うちのチームがなぜ強いのか、その理由はよくわかりませんが、少なくともドライバーふたりとエンジニアふたりとのコミュニケーションはいいですよね。ふたりそれぞれが合っているんだと思います。