

FCJの理念
フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)は、2006年にトヨタ、ニッサン、ホンダの自動車メーカー3社が協力して創設した新しいジュニア・フォーミュラカーレースである。
その理念は「世界で活躍する有能な若手ドライバーの発掘と育成」および「日本のモータースポーツの裾野を広げ将来を支える人材の育成」という点に置かれている。
世界のトップレベルで活躍する選手は、若いうちに数多くの経験を積んで成長している。その成長を助けるのが自動車メーカーを中心に設けられている各種のレーシングスクールとスカラシップ制度である。日本でもメーカー別にドライバーの育成システムが設けられてきたが、FCJはそのメーカーの枠を超え、実戦を通してより高度な育成を行なうために実現したカテゴリーだ。
FCJでは、あくまでもドライビングスキルの向上に焦点を置いたトレーニングを行なうため、参加車輌はワンメイクであるばかりか、独自の改造を一切禁じた管理下に置かれる。モーターレーシングにおいて、道具であるレーシングカーの性能はセッティングの差も含め勝敗を決する大きな要因だ。しかしFCJでは敢えてその差をなくしてレースを行なうことにより、ドライバーテクニックの優劣を浮かび上がらせ、効率良くドライビングスキル向上のアドバイスを行なう。
これまでにシリーズを通して優秀な成績を収めた選手がステップアップを果たしており、2013年は松下信治選手(2012年シリーズチャンピオン)、高星明誠選手(2010〜2012年参戦、2012年シリーズ3位)の2名が新たに全日本F3選手権にステップアップ。さらに清原章大選手(2011〜2012年参戦、2012年シリーズ4位)、ナニン・インドラ・パユーング選手(2012年参戦)の2名は、今期FCJに継続参戦しながら全日本F3にも参戦する。また今年のスーパーフォーミュラには、FCJ卒業生の中から、山本尚貴選手(2007年シリーズ2位)、国本雄資選手(2007〜2008年参戦、2008年シリーズチャンピオン)、中嶋大祐選手(2007年シリーズ5位)、安田裕信選手(2006年シリーズ3位)、中山友貴選手(2006年シリーズ4位)、小林崇志選手(2006〜2008年参戦、2007年シリーズ8位)が参戦。さらに昨年惜しくもトップと同点でシリーズ2位となった平川亮選手が、ルーキーとしてスーパーフォーミュラに参戦する。
FCJは若いレーシングドライバーが腕を磨き、その才能を証明しトップカテゴリーへ進出する為の近道なのである。
FCJのシステム

| 順 位 | 優勝 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | PP | FL | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ポイント | 10pt. | 7pt. | 5pt. | 3pt. | 2pt. | 1pt. | 1pt. | 1pt. |
PP:ポールポジション獲得者 1ポイント
FL:決勝レースのファステストラップタイム記録者 1ポイント
FCJに用いるマシン

| 全長 | 4,125mm |
|---|---|
| 全高 (ロールバー含む) | 954mm |
| 最大幅 | 1,674mm |
| ホイールベース | 2,645mm |
| 乾燥重量 | 490kg |
| エンジン | FCJ専用エンジン(直列4気筒) |
| 排気量 | 2,000cc |
| 最大出力 | 200hp/7,200rpm(キャタライザー付き) |
| タイヤメーカー | ダンロップ |
| タイヤサイズ | F:180/530 R13、R:240/570 R13 |
| ホイールメーカー | エンケイ |
| ホイールサイズ | F:13×8.0J、R:13×10.0J |
FCJドライバーを支えるアドバイザー

畑川 治 Osamu Hatagawa
1947年9月2日生まれ/京都府出身
FL500のチャンピオンを獲得後FJ1300クラスにステップアップ。その後英国F3選手権にシリーズ参戦し、引退。現在は後継者育成に力を注ぐ。

影山 正美 Masami Kageyama
1967年5月2日生まれ/神奈川県出身
87年富士フレッシュマンレースでレースデビュー。98年全日本GT選手権GT500クラスのシリーズチャンピオン。フォーミュラ・ニッポンは96年から参戦し、98年にはシリーズ2位となる。

武藤 英紀 Hideki Mutoh
1982年10月6日生まれ/東京都出身
03年にフォーミュラドリームのチャンピオンを獲得。その後、全日本F3選手権やフォーミュラ・ニッポン、SUPER GTに参戦。07〜10年には米国インディカー・シリーズに参戦。08年には日本人最高位(2位)入賞を果たし、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。11年からはSUPER GTに参戦。13年はスーパーフォーミュラにも参戦。

石浦 宏明 Hiroaki Ishiura
1981年4月23日生まれ/東京都県出身
99年カートデビューレースで優勝。05年フォーミュラ・トヨタで2勝しランキング3位となり、トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム(TDP)契約ドライバーとして07年には全日本F3で2勝。08年〜11年にはフォーミュラ・ニッポンにも参戦。12年にはニュルブルクリンク24時間レースでクラス優勝を飾っている。

川口 里巳 Satomi Kawaguchi
1953年4月19日生まれ/三重県出身
株式会社オスカー在籍中に、FJ1600、SJ、RS、F3などを設計。代表作には86年の全日本F3選手権で優勝を飾ったSK-86Fや88年の FJ1600マシンSK88DANGANなどがある。02年に有限会社SKデザインを設立。ミドルフォーミュラ・コンストラクターの第一人者。