No.31 小暮卓史
春めいた陽射しが降り注いだ4月17日(土)、2010年の全日本選手権フォーミュラ・ニッポン開幕戦は、いよいよ鈴鹿サーキットで公式予選の時を迎えた。14台中10台のマシンが従来のコースレコード(1’40.560)を更新するという激戦となった予選。その中で、今年最初のポールポジションを獲得したのは、テストからの好調ぶりをここでも維持した№31小暮卓史(NAKAJIMA)。2番手には№19 J.P.デ・オリベイラ(Mobil 1 TEAM IMPUL)、3番手には№36アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)と続いた。ディフェンディング・チャンピオンの№1ロイック・デュバル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、Q3のアタックラップ中に最終コーナーでクラッシュ。明日のレースを7番手からスタートすることとなった。
No.31 小暮卓史
晴天ながら、メインストレートに強い風が吹くコンディションとなったノックアウト予選。まずは午後1時30分から20分間のQ1が行なわれる。ここでは3 台のマシンが脱落し、11台がQ2に進む。セッションが開始されると、間もなく全車、ユーズドタイヤを履いてコースイン。アタックに向けてのマシンの感触を確かめた。ここで、ユーズドながら1分39秒713を叩き出したのが小暮。小暮はピットに戻ると、Q1ではその後、コースに入らなかった。一方、その他のドライバーは残り時間が8分を切ったあたりからニュータイヤを装着してコースイン。タイムアタックへと向かった。ここで、小暮のマークしたタイムを上回ってきたのが、ロッテラーと石浦宏明(Team LeMans)の2人。また、小暮に僅差で続いたのが、オリベイラと№10塚越広大(HFDP RACING)、デュバル。ここまでがQ1で1分39秒台に突入している。一方ここで脱落したのは、ルーキーの№7ケイ・コッツォリーノ(Team LeMans)と№29井口卓人(DELIZIEFOLLIE /CERUMO・INGING)、復帰組の№18平中克幸(KCMG)の3人だった。
No.36 アンドレ・ロッテラー
Q1終了後、10分間のインターバルを経て、Q2が始まったのは、午後2時。このセッションではさらに3台が脱落し、8台がQ3へと進むことになる。しかも、ここからは10分間のセッションということで、まさに一発勝負だ。このセッションでは、開始直後、石浦がフロントタイヤだけをスクラブするために、コースイン。1周してピットに戻る。その後、開始から3分余りというところで、全車次々にニュータイヤを装着してピットアウト。タイヤのウォームアップに 2周掛かるという状況だったため、3周目にフルアタックに入った。ここで、Q1の自己ベストタイムをさらにコンマ3秒縮めて、トップタイムを叩き出したのは、ロッテラー。塚越、石浦がこれに続き、小暮は4番手。以下、10位までが従来のコースレコードを更新するという、激しい内容となる。そんな中、ここで脱落してしまったのは、№20平手晃平(Mobil 1 TEAM IMPUL)、№37大嶋和也(PETRONAS TOM’S)、№16井出有治(MOTUL無限)。平手と大嶋はレコードタイムを記録しながらも脱落という, 厳しい内容となった。
No.19 J.P.デ・オリベイラ
さらに10分間のインターバルを経て、ポールポジションを決定づけるQ3が開始されたのは、午後2時20分。このセッションでは、開始から3分という時点で、真っ先に小暮が動く。これを見て、全車ほぼ同時にピットアウト。最後のタイムアタックへと向かった。このセッションでも、気温は15℃、路面温度は 27℃と、コンディション的にはQ2とほぼ同じ。そのため、ここでも各ドライバーは、2周タイヤを温めてからフルアタックに入った。ここでまずタイムを刻んだのは、オリベイラ。アウトラップで小暮をかわしたオリベイラは、まずトップに立つ。しかし、間もなく他を圧倒するタイムを叩き出したのは、小暮。小暮は1分38秒917と、唯一、1分38秒台に突入してきた。これに迫るタイムでアタックしていたのは、Q1、Q2でトップタイムだったロッテラー。しかしロッテラーは、№31山本尚貴(NAKAJIMA RACING)に引っ掛かる形となり、コース後半でタイムを伸ばせなかった。一方、小暮に続く2番手につけたのは、石浦。アタック直前、ハーフスピンした影響もあったというが、石浦は堂々のフロントロウを獲得した。一方このセッションでは2台のマシンを不運が襲う。まず、小暮以上のセクタータイムを刻んでいた塚越が、駆動系トラブルのため、バックストレートでストップ。ほぼ同時に、デュバルが最終コーナーでバランスを崩し、コースアウト、クラッシュしてしまう。ここでセッションは赤旗中断。そのまま終了となった。その結果、小暮が幸先の良いポールポジションを獲得。以下、石浦、オリベイラ、ロッテラー、№2伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、山本、塚越、デュバルと続くことになったが、セッション後の再車検で石浦のマシンが「スキッドブロック最低厚み規定不適合」(2010国内競技車輌規則 13章2条2.13.1) d)違反)のために、不合格となった。石浦は訓戒処分を受けると同時に、明日のレースではピットスタートというペナルティーを受けることになった。テストから常に速さを見せてきた石浦が、どこまで追い上げられるかは、明日の見所のひとつ。一方小暮VSオリベイラ&ロッテラーという実力派外国人ドライバーの戦いも、激しいものとなりそうだ。