No.32 小暮 卓史
鈴鹿サーキットを舞台に行われたフォーミュラ・ニッポン開幕戦は、各所でバトルが起こる見応えたっぷりの1戦となった。このレースを制したのは、スタートで2番手となりながら、ピットストップで再逆転を果たした№32小暮卓史(NAKAJIMA RACING)。2位にはジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Mobil 1 TEAM IMPUL)、3位には№36アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)。以下、№20平手晃平(Mobil 1 TEAM IMPUL)、№2伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、№1ロイック・デュバル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が続いた。
No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
決勝のフォーメーションラップがスタートしたのは、午後1時45分。朝から続いた好天で気温が18℃、路面温度が32℃まで上昇する中、いよいよ正式スタートに向けての序奏が始まる。しかし、ここで痛恨のエンジンストールを喫してしまったのが、9番手グリッドについていた№37大嶋和也 (PETRONAS TOM’S)。大嶋は押しがけで再スタートしたが、隊列の最後尾に着くこととなった。そして、全車が正規グリッドに整列すると、シグナルレッドからブラックアウト。ここでホールショットを奪ったのは、2番グリッドからスタートしたオリベイラ。小暮は若干遅れて2番手で1コーナーに入る。さらに、伊沢、ロッテラー、№10塚越広大(HFDP RACING)、デュバルと続いた。№8石浦宏明(Team LeMans)もピットからスタート。またスタート直後にS字コーナーのひとつ目で№7ケイ・コッツォリーノ(Team LeMans)がバランスを失い、№18平中克幸(KCMG)に接触。両者ともマシンにダメージを負い、オープニングラップでリタイヤすることとなった。
No.36 アンドレ・ロッテラー
トップ争いは序盤からオリベイラが小暮を突き放す展開。その後方では、伊沢がロッテラーを抑え込む形となるが、前の2台と比べると伊沢のペースは若干遅く、ジワジワとギャップが広がっていく。ペース的に伊沢を上回るロッテラーは、再三オーバーテイクしようと試みるが、「後ろにつくとダウンフォースを失ってしまう」ということで、なかなか攻略はならなかった。その間に、塚越もこの2台に追いつき、ロッテラーに迫った。またその後方では、スタートで7番手に躍り出た№16井出有治(MOTUL TEAM 無限)と№31山本尚貴(NAKAJIMA RACING)、平手がやはり僅差でのバトルとなる。この7番手集団から抜け出してきたのは、平手だった。平手は5周目の1コーナーで山本をかわすと、 12周目には井出もオーバーテイク。さらに、レースが13周目に差し掛かったところで、塚越がパドルシフトの問題からスローダウンすると、5番手まで浮上した。
一方、上位を争うドライバーの中では、伊沢攻略に苦しんでいたロッテラーが13周を終えたところでピットイン。タイヤ交換と給油を終えてコースに戻る。これを見て、翌周には伊沢もピットイン。伊沢はここで再び、ロッテラーの前に出ることに成功した。しかし、伊沢はアウトラップでタイヤが冷えていたこともあり、スプーンコーナー1つ目の入り口でロッテラーにイン側から並ばれ、再々逆転。ロッテラーは1分43秒台のタイムを連発し、猛烈な勢いで前を追うこととなった。
No.2 伊沢 拓也
この頃、トップ争いの2台は約3秒余りのギャップで周回を重ねていたが、そこからさらにオリベイラがジワジワとギャップを広げ、25周を終えたところでは 4秒余りの差に。そして、26周を終えたところでオリベイラは満を持してピットイン。ところが、ここでチーム内のコミュニケーションに混乱が発生した。オリベイラはスタート前から給油に加え、タイヤ4輪交換と2輪交換、2種類の作戦を考えており、チームは最後の最後にリヤのみの2本タイヤ交換を選択する。だが、ここでの指示が若干遅れたためか、作業にもわずかなロスが発生した。一方、オリベイラがピットに入ったのを見て、その翌周、27周を終えたところでピットインしたのが小暮。給油を行なうとともに、ここで迷うことなくリヤタイヤのみを交換する。小暮がピットアウトした時には、オリベイラの前に出ることに成功した。また、小暮と同じ周にピットインしたのが、平手。平手は給油とともに、タイヤを4本交換。デュバルの後ろでコースに戻っている。
ここからは小暮が逃げる展開。オリベイラが1秒差でそれを追う。さらに、この2人を上回るペースでロッテラーが後方から迫った。しかし、最後までこの順位は入れ代わることなく、37周のレースを終えて、小暮は今季嬉しい初優勝。オリベイラが復帰初戦で2位表彰台、ロッテラーが3位表彰台を獲得している。その後方では、平手がファステストラップを叩き出す猛プッシュで前を追い、32周目の130Rでデュバルをインからオーバーテイク。さらに36周目のダンロップでは伊沢も攻略し、4番手に浮上した。この迫力あるオーバーテイクに場内も大興奮。平手がチェッカーフラッグをくぐった時には、温かい拍手が送られた。以下、伊沢、デュバル、山本、塚越までが入賞という結果になっている。
2位 No.19 J.P・デ・オリベイラ/優勝 No.32 小暮 卓史 /3位 No.36 アンドレ・ロッテラー