No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
好天に恵まれた予選から一転、栃木県・ツインリンクもてぎで行なわれたフォーミュラ・ニッポン第2戦の決勝は、雨の中でのレースとなった。しかも、徐々に雨が多くなる難しいコンディション。その状況の中、まさにブッちぎりと呼ぶにふさわしいポール・トゥ・ウィンを果たしたのは、シリーズに復帰して2戦目の №19 J.P.デ・オリベイラ(Mobil 1 TEAM IMPUL)。予選5番手からバツグンのスタートダッシュを決めた№10塚越広大(HFDP RACING)が、2位入賞。初表彰台を獲得した。3位には予選2番手の№36アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)が入賞。ロッテラーはパドルシフトのトラブルを抱えながら、最後まで力走を見せた。以下、コースアウト続出の荒れた展開の中、№1ロイック・デュバル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、№31山本尚貴(NAKAJIMA RACING)、№32小暮卓史(NAKAJIMA RACING)、№20 平手晃平(Mobil 1 TEAM IMPUL)、№37 大嶋和也(PETRONAS TEAM TOM’S)までが入賞。ポイントを獲得した。
No.36 アンドレ・ロッテラー
ピットウォークが終わる正午前ぐらいから、雨がポツポツと落ち始めたもてぎ。その雨は、フォーミュラ・ニッポンのスタート進行が始まる頃には本降りとなり、レースは完全なウェットコンディションの中で行なわれた。
フォーメーションラップがスタートしたのは、午後2時半。ここで開幕戦に続き、大嶋がエンジンをストールさせる。その他のマシンは、1周の隊列走行へ。大嶋も押しがけで再スタートすると、最後尾についてグリッドへと向かった。そして、いよいよ正式スタート。ここでホールショットを奪ったのは、ポールポジションのオリベイラ。予選3番手の小暮、予選5番手の塚越と、アウト側グリッドについたドライバーたちがいずれも好スタートを切り、オリベイラに続く。フロントロウスタートのロッテラーは、クラッチミートこそ上手く行ったが、その後の加速が鈍る。結果、3台に先行を許して、5番手まで後退してしまった。さらに、この時点でパドルシフトに不具合を抱え、5コーナーでは山本にも先行を許す。また、このスタートでエンジンをストールさせてしまった平手は押しがけで再スタートするが、やはりこの時点からパドルシフトに問題を抱える。エンジンが吹けないという症状にも悩まされていた。
No.2 伊沢 拓也
その後もレースは荒れた展開となる。オープニングラップの5コーナーでは、№18平中克幸(KCMG)と№2伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の2台が接触し、コースアウト。平中は開幕戦に続き、スタート直後にレースを終える。一方の伊沢も、フロントウィングを破損。ピットで修復作業を行なったため、ここで周回遅れとなってしまった。さらに2番手につけていた小暮がブレーキの不具合から、3周目の1コーナーでコースアウトし、7番手まで後退。小暮はその後も7周目の1コーナーでコースアウトした。チームメイトの山本も、今回初めてフォーミュラ・ニッポンでもてぎを走った上、決勝レースになって初めての雨ということで、4周目のヘアピンでオーバーランしただけでなく5周目の5コーナーでもコースアウト。ポジションを落とす。同じくルーキーの№29井口卓人(DELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING)は10周目にコースアウトし、その周を終えるとピットガレージに。平手と同様、パドルに不具合を抱えたうえ、エンジンが吹けないという症状に見舞われ、修復作業に入った。また11周目のヘアピンでは、車高のセットアップを低くし過ぎたということでデュバルがアクアプレーニングに乗り、コースアウト。すぐに復帰はしたものの、これを見逃さなかったのはロッテラーだった。ロッテラーはヘアピン立ち上がりからバックストレートにかけてデュバルに並びかけると、オーバーテイクボタンを使用して、90度コーナーでデュバルをオーバーテイク。3番手までポジションを上げた。一方この間もオリベイラは、何事もなくアドバンテージを築いていく。1周あたり1秒以上速いペースで2番手の塚越を突き放す。だがそんなオリベイラでも、20周目の90度コーナーでは、ブレーキをロックさせて軽くオーバーラン。それほど難しいコンディションの中でのレースだった。
No.1 ロイック・デュバル
52周のレースを3分の1ほど消化したあたりからは、ルーティンのピットインを行なうドライバーがチラホラと出始める。上位グループでは、24周を終えたところで6番手を走っていた山本がピットイン。30秒余りという長い給油を終えてコースに戻る。その後、33周を終えたところで2番手を走行していた塚越、35周を終えたところで6番手までポジションを上げていた平手、37周を終えたところでトップのオリベイラがそれぞれピットに入るが、大きなポジションの入れ代わりはなし。全車ピットストップを終えると、オリベイラが35秒余りのマージンを築いていた。その後方では、塚越にロッテラーが迫っていたが、最後まで攻略はならなかった。さらにロッテラーから遅れること約35秒という差で、デュバルが続いた。
結局チェッカーが振られた時には、オリベイラが7位以下のマシンを周回遅れにする独走優勝。TEAM IMPULに、昨年の開幕戦以来の優勝をもたらした。また、自身にとってもシリーズに復帰して2戦目の勝利。08年、富士での初優勝以来、約2年ぶりの美酒に酔うこととなった。
2位 No.10 塚越 広大/優勝 No.19 J.P・デ・オリベイラ /3位 No.36 アンドレ・ロッテラー