2011 Formula NIPPON
2011年 開幕戦
2011年シーズンも後半戦に突入。第5戦鈴鹿サーキット(9/3,4)はチャンピオンシップを見極める上でも重要な一戦となる。残るレースもこの鈴鹿、そして第6戦SUGO、最終戦もてぎのみ。タイトルを狙う選手、チームにとってはまさに正念場だ。そして鈴鹿でのフォーミュラ・ニッポンは、開幕戦に続いて2度目となる。前回のデータや感触を得ているだけに、開幕戦以上に熾烈な戦いとなるはず。加えて残暑も予想され、体力勝負もありうるだろう。今季を語る上で、見逃せないレースとなりそうだ。
No.36 アンドレ・ロッテラー
前回の鈴鹿戦は、5月14、15日に行われた。予選では、フォーミュラ・ニッポン2年目のNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)が、鈴鹿を得意とするNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)を抑えて、初のポールポジションを獲得。予選3位には3年目のNo.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入るなど、若手の活躍が目立った。
しかし、決勝では予選6位のNo.37 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)がスタートでジャンプアップ。トップに立った小暮を背後で追う展開となった。ポールの山本はスタートで失敗。2コーナーで後続に追突されてコースアウト。優勝争いから脱落した。小暮をコース上で抜けなかったロッテラーだったが、ピットワークでトップに立つと、小暮の追随を許さず、優勝した。また、このレースがフォーミュラ・ニッポンのデビュー戦となったNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)は、予選Q1で脱落するという散々なスタート。しかし、決勝では早めのピットイン作戦を採り、終盤に粘りの走りを見せて、終わってみれば3位表彰台。“さすが”と周囲をうならせた。
No.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
前回の鈴鹿は、開幕戦だっただけに走る機会が少ないルーキー勢は苦労が多かったことだろう。だが、今回は2回目だけに自分の持ち味も存分に発揮し、レースに挑めるはずだ。中でも前回は予選13位ながら、決勝3位と健闘した中嶋一貴は、ポール・トゥ・ウインを狙う気持ちも大きいだろう。そして、鈴鹿のレーシングスクールで育ったルーキーNo.10 小林崇志にも期待したい。この他、開幕戦でポールを獲りながら決勝ではアンラッキーに泣いた山本も、今度は決勝でも結果を残すことが最大の目標となるだろう。
そして、優勝、タイトル争いでは、好調のロッテラーと中嶋一貴、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)が本命視される。これに鈴鹿を得意とする小暮卓史が割り込んでくるか? ここで選手権ポイントの差を詰めないと、小暮はタイトル争いの脱落もあえるだけに、正念場だろう。また、彼よりランキング上位には塚越やNo.2 平手晃平(TEAM IMPUL)、No.7 大嶋和也がおり、さらに開幕戦鈴鹿ポールの山本など、20代前半の選手が元気だ。彼らの躍進は、ここ数年誰もが認める日本人最速ドライバーとして、フォーミュラ・ニッポンを戦ってきた小暮にとって、大きなプレッシャーとなるかもしれない。
No.37 中嶋一貴
No.32 小暮卓史
前戦もてぎ戦と同様に、第5戦鈴鹿の決勝レースもタイヤ交換(4本)を伴うピットイン2回が義務付けられている。このピットインをどのタイミングで行うかもレースの見どころになる。
また、2度のタイヤ交換は、都合3つのスティント(走行機会)すべてをフレッシュなタイヤで走れるだけに、非常にスピードが速いレース展開になる。前戦もてぎでトップ争いを続けたロッテラーとデ・オリベイラは、派手なバトルこそ無かったが、レース後は精根尽きたように消耗していた。そういった意味では、まだ暑さの残る時期だけに、ドライバーの体力面も勝負を分けるレースとなるかもしれない。
No.2 平手晃平
No.16 山本尚貴
鈴鹿サーキットは、多くのトップドライバーから“チャレンジング”と賞される日本を代表するレーシングコースだ。中でもメインストレートからハードなブレーキングで突っ込む第1コーナー、そしてバックストレッチからやはり急減速で突入するシケインは迫力十分で、見応えあるパッシングポイントだ。また1コーナーからS字へと続く超テクニカルセクションは、アクセルとハンドリング勝負であり、ドライバーの腕の見せ所だ。
レース写真を撮りたい皆さんにお勧めは、シケイン、最終コーナー、そしてヘアピン。この3個所はマシンのスピードがグッと落ちるので、マシンの構図が取りやすい。中でもシケインはバトルシーンも多いので、ぜひ2台が重なるチャンスを狙ってみたい。スピード感を味わうなら、130Rだ。超高速コーナーでありながら、時にサイド・バイ・サイド、パッシングもある。日本最高峰のスピード感にシビれたいなら、ぜひここへ足を運んで欲しい。