2012 Formula NIPPON
2011年第3戦
塚越広大の初優勝で湧いた第3戦オートポリス。続く全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第4戦は7月14日(土)、15日(日)に首都圏からほど近い富士スピードウェイ(静岡県)で開催される。ここまですべての勝者が違う激戦の今季。全7戦で行われるだけに、次の第4戦は折り返し点となる。チャンピオンを狙う各選手にとって、極めて重要な一戦と言えよう。世界に知られる高速コース、富士での戦いは要注目となるはずだ。
リーダーズレッドを背負うNo.41 塚越広大 今期の開幕戦鈴鹿では、中嶋一貴が優勝。続く第2戦もてぎでは昨年チャンピオンのアンドレ・ロッテラーが優勝し、今季もPETRONAS TEAM TOM'Sが強いと思われた。しかし、第3戦オートポリスではNo.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が悲願の初優勝を決めポイントリーダーとなり、この第4戦富士ではリーダーズレッド(赤いオーバーテイク・ランプ)を背負って走ることになる。
今シーズンはホンダ勢の巻き返しもあり、僅差で塚越がポイントリーダーになっているものの、まさに混戦状態だ。全7戦で行われる今季で、第4戦はちょうどターニングポイント。ここからの1戦1戦はチャンピオンシップのサバイバルになる。勝てば優位な位置に付け、ノーポイントで終われば苦しい立場に立つ。それだけに、この第4戦の1勝は誰もが欲しい価値がある。
さて、この富士を得意とするドライバーと言えば、まずロッテラーだ。昨年を含め3勝を挙げ、現在フォーミュラ・ニッポンに参戦するドライバーでは最多を誇る。この他、この5年で富士の勝利(1勝)を掴んでいるのは、No.8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)、No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ、No.20 松田次生(共にTEAM IMPUL)とチャンピオン経験者が並んでいる。その中に食い込み富士で勝利(2010年第3戦)しているのが、No.38 平手晃平(Project μ/cerumo・INGING)だ。フォーミュラ・ニッポンでは塚越の1年先輩にあたるだけに、彼が優勝しポイントリーダーになったことは大いに刺激となっただろう。同様に塚越の僚友、No.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)も負けてはいられないはず。ベテランと次世代のニューリーダーたちの対決が、富士では見られそうだ。
No.8 ロイック・デュバル
No.1 アンドレ・ロッテラー
No.20 松田次生
No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
ここ数年、富士大会は日曜に予選と決勝を行うワンディ開催のレースが行われてきたが、今年は土曜(14日)に予選、日曜(15日)に決勝とオーソドックスな日程となった。しかもファンにとっては、月曜(17日)も休日で観戦、富士周辺の観光にと格好であろう。
それはさておき、2日間の開催となると何が変わるのか。1日で予選、決勝を行うワンディでは、どうしても一発勝負になりがちなのだ。また予選でトラブルが生じると、ほとんど合間無く行われる決勝にもかなりの影響を落とすことになる。この点、2日間の日程なら練習走行もその予選、決勝に向けて集中できるし、トラブルに対しても一晩の猶予があり思い切った走りができる。それだけにワンディはベテランに有利、ツーディは新鋭にもチャンスありと言われる。富士は勢いに乗れば予選ポジションが少々後ろでも、勝機を見いだせるコース。それだけに今大会、第4の勝者が生まれる可能性は十分ある。
そして、今年は決勝距離も増えた。昨年は44周、約200km。今年は55周、約250kmのと20%増となる。舞台となる富士スピードウェイは、世界的にも珍しい約1.5kmものストレートを持ち、中高速コーナーの攻略が鍵を握る高速サーキット。まして7月の半ばとなれば、気温がかなり高くなることも予想され、かなり体力的にハードなレースとなるだろう。GTなどツーリングカー系のマシンと違い、フォーミュラ・ニッポンにはクールスーツやエアコンなどドライバーの身体を冷やす補助システムはない。ドライバーの基礎体力はもちろん、疲れてからの判断力、決断力も勝敗を分ける重要なポイントとなるだろう。
また暑くなれば、タイヤのマネージメントも重要だ。路面の温度が上昇すれば、それだけタイヤは早く消耗する。タイヤを傷めず、速く走ることができれば、タイヤ作戦をフレキシブルに行えて大きなアドバンテージになる。当然、終盤でのスパートも可能だ。
まさに知力、体力を振り絞らねば勝機を見いだせないのが、第4戦富士となるだろう。世界に知られる超高速コースでの、熱き戦いは見応えあるものになりそうだ。
真夏の高速決戦が幕を開ける