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2013 SUPER FORMULA

Round2 Autopolis

  • Autopolis
  • 公式予選
    決  勝
  • : 2013年6月1日(土)
    : 2013年6月2日(日)
  • オートポリス : 4.674 km

Race

Result Review

難しい状況をNo.2 アンドレ・ロッテラーが快走を見せて逆転勝利!
ギャンブルに出たデュバルは2位。山本が初の3位表彰台。平川は自己ベストの7位

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No.2 アンドレ・ロッテラー

6月2日(日)、オートポリス(大分県)で2013年全日本選手権スーパーフォーミュラ第2戦の決勝レースが行われた。No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が、一部が濡れた路面という難しい状況下を、素晴らしいスピードで走り、今季初出場で優勝を果たした。2位はNo.8 ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)3位にはNo.16 山本尚貴が入賞した。

2013-06-02 14:45-16:09 天候:曇り コース:セミウェット 気温:15度 路面温度:16度

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自由民主党モータースポーツ議員連盟
衛藤征士郎会長が「エンジンスタートコール」を行った。
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微妙な路面状況でギャンブルに出たデュバル

 朝の予選が終わり、一旦雨が上がり、路面も乾き始めたオートポリス。しかし、スーパーフォーミュラのスタート進行が始まる午後2時を前に、再び霧雨が降り始めた。そのため、乾き始めていたラインは、再びセミウェットに。スタートに向けて、レインタイヤを装着するのか、スリックタイヤを装着するのか、各チームが頭を悩ますこととなった。ダミーグリッド上では、完全に雨が上がっていたため、コースインする際には何台かのマシンがスリックタイヤを装着。その後、各チームがスリックとレイン、両方のタイヤを用意していたが、フォーメーションラップ開始5分前の作業禁止時間が迫ってくる。そこで18台がレインタイヤを装着。唯一、予選6位のNo.8 ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)だけがスリックタイヤを装着した。

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 そして、午後2時45分にフォーメーションラップがスタート。1周の隊列走行を終え、全車が正規グリッドに着くと、54周先のゴールに向けて正式スタートが切られた。ここで好スタートを切ったのは、ポールポジションのNo.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)。予選2番手のNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM OMPUL)は若干出遅れ、No.16 山本尚貴(TEAM 無限)の先行を許す。予選4番手のNo.20 松田次生(Lenovo TEAM IMPUL)は、いい動き出しを見せたが、出遅れたデ・オリベイラの牽制を受け、ポジションを上げることはできなかった。この4台にNo.1 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)、No.38 平手晃平(P.MU/CERUMO・INGING)が続いた。
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No.8 ロイック・デュバル

 一方、スリックタイヤを装着したデュバルは、まだ路面が濡れていたこともあり、スタートから大きくポジションダウン。オープニングラップで14番手、2周を終えたところでは17番手となる。しかし、タイヤが温まり始めると、デュバルは急激にタイムアップ。5周目には、トップを走るレインタイヤのロッテラーとほぼ同等のタイムをマークした。
 これを見て、多くのチームがドライバーたちをピットに呼び戻す。まず6周目を終えたところで、ロッテラーと一貴、No.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らがピットイン。給油をした上で、スリックタイヤに交換してコースに戻る。一貴はロッテラーの作業終了を待つ形となった上、作業自体にも手間取り、ここで大きくタイムをロスしてしまう。その翌周、7周を終えたところでは、山本と松田、No.10 塚越広大(HP REAL RACING)、平手、No.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)をはじめ、多くのマシンがピットへと入り、やはり給油とともにスリックへのタイヤ交換を行った。さらに8周を終えたところでオリベイラやNo.31 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)、No.11 中山友貴(HP REAL RACING)、No.15 小林崇志(TEAM 無限)などがピットに入り、これで全車がスリックタイヤでの走行となる。
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No.16 山本尚貴

 この間にトップに立ったのは、最初からスリックだったデュバル。デュバルは燃料も若干軽めでスタートしており、ここから飛ばしに飛ばす。その後方では、ピット作業後に山本が2番手に浮上。若干作業が長かったためか、ロッテラーが3番手につけた。その後方では、9番手争いの中で多重クラッシュが発生。作業後にポジションを上げていた中山に追い付いた平手、小暮、伊沢、一貴の争いの中で、接触が起こり、小暮と伊沢はマシンにダメージを負ってコースアウト。その場でマシンを止める結果となる。またやはりダメージを負っていた平手と一貴は、再び走り始めたものの、そのままピットへ。ここで修復作業が行われることとなり、大きく遅れてしまう結果になった。
 トップを快走するデュバルは、全車ピットインを終え、山本が2番手に浮上した時点で、25秒のマージンを持っていたが、そこからギャップを広げて行く。12周目には、山本を捉えたロッテラーが2位に浮上してくるが、ロッテラーはまだ燃料が重く、デュバルに差を広げられた。その差は20周を終えたところで35秒あまり。しかし、後半になってからピットに入ると見られていたデュバルに対し、ロッテラーが優位称するためにはこれ以上のマージンを与えられない。そのため、燃料が軽くなり始めると、ロッテラーも猛プッシュ。デュバルもそれを突き放そうとする。その中で、2人がかわるがわるファステストラップを更新するという白熱の展開となる。この攻防は15周あまりに渡って繰り広げられた。

優勝を賭けデュバルとロッテラーがデッドヒート

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No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ

 そして、36周を終えたところで、いよいよデュバルがピットイン。チームはタイヤも表に出してはいたが、コールドタイヤのアウトラップでのタイムロスを避けるため、給油だけを行って、デュバルをコースに送り出す。デュバルは、ロッテラーの前で戻ることに成功。タイヤも温まった状態のため、このまま逃げ切るかと思われた。しかし、ピットに入る少し前から、デュバルのクルマには異変が発生。毎ラップではないが、時折シフトダウンでギヤが入らないという症状が表れていた。そこにロッテラーが追い付いてくる。デュバルがピットを出た翌周、2台の差は1秒398。しかし、シフトの問題と、フロントタイヤが厳しくなってきていた影響で、デュバルは思うようにペースを上げられず、間もなく2台はテール・トゥ・ノーズの争いとなった。そして44周目の最終上りセクター、立体交差手前の右コーナーでロッテラーがデュバル攻略に成功。再びトップの座を奪い返した。トップに出た後も、ロッテラーはまったくペースを緩めず、デュバルを突き放す展開。しかし、この頃、最終コーナー方面から深い霧が下り始め、視界が悪くなっていく。そのため、トップが51周を消化した直後、レースは赤旗により中断。規定周回を消化していたため、ここで打ち切り、終了となった。
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No.20 松田次生

 その結果、開幕戦を欠場したロッテラーが、今年の初レースで初優勝。同じく開幕を欠場したデュバルが2位に入賞。前の2台にはついていけなかったものの、山本が3位に入り、スーパーフォーミュラ(フォーミュラ・ニッポン含むシリーズ戦)で初表彰台を獲得した。
 4、5位はデ・オリベイラと松田のIMPULコンビ。松田はこの入賞でランキングトップに立った。6位には塚越。この塚越を脅かす7位は参戦2戦目のルーキー、No.7 平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)。開幕戦の8位入賞に続き、レースでは初めて走るオートポリスで自己ベスト順位を更新。また、8位に入った中山も自己最高位で初ポイントを手にした。
 接触でマシンにトラブルを負いピットで長い修復をしたため、入賞は不可能となった中嶋一貴は、それでもコースに戻りロッテラーやデュバルをしのぐファステストラップ1分31秒763を記録して、チャンピオンの意地を見せた。

 次回、全日本選手権スーパーフォーミュラ、第3戦の舞台となるのは、富士スピードウェイ。期日は7月13、14日。毎年、トヨタエンジン勢が得意としているこのコースで、ロッテラーやデュバルは再び速さ&強さを見せるのか。ポイントランキング争いでトップに立った松田、それに続く伊沢、山本が、粘りを見せるのか。あるいは、今回ノーポイントに終わった一貴が巻き返すのか。ルーキーの平川はホームコースでどんな活躍を見せるか。見どころの多い1戦となるのは間違いない。

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2位 No.8 ロイック・デュバル /優勝 No.2 アンドレ・ロッテラー / 3位 No.16 山本尚貴   舘信秀 優勝チーム監督

記者会見

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鈴鹿を欠場したあとの一戦で優勝できたのは、とてもうれしい

優勝
No.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)

 今日で17勝目を挙げたってことだけど、ハッピーだね。毎戦こんなレースウィークになればいいなと思うよ。常に上位で走ることができたし、今日は何も考えず、ただドライブすればいいだけのすばらしいクルマを作ってくれたトヨタさんやチームに感謝したいですね。
 今日のレースはとてもエキサイトできるものでした。タイヤを交換するのにベストなタイミングを見計らうことが必要でしたが、僕らのピット作業はちょっと時間がかかってしまって…。結果的に、前に出ていた山本選手を抜く必要があったんです。(トップにいた)ロイック(デュバル)も終盤までいい走りをしていたので、プッシュしなきゃいけなくて、簡単なレースではなかったですね。
 ロイックがスリックタイヤでスタートしたわけですが、彼の位置ならその作戦もあり得ると思いました。僕はポールからスタートしたので、そういうギャンブルをする必要はなかったですね。常に無線でラップタイムを教えてもらい、できる限りプッシュして走りました。時折渋滞に引っ掛かりましたが、周りも同じような状況でしたね。結果としては、開幕戦の鈴鹿を欠場したあとの一戦で優勝できたのは、とてもうれしいことです。これからのレースも今日のように勝利できれば最高なんですが、多分難しいでしょうね。
次のレースではしっかりリベンジを果たしたい

2位
No.8 ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)

 タフなレースでした。スリックタイヤでスタートとすることを決めましたが、周りのクルマがみんな同じような作戦(ウェットタイヤでのスタート)を選択していたので、他車が(ピット作業のために)ピットインしたらできる限りプッシュして走らなければいけなかったし、リスクもあって大変でした。とくに序盤はタイヤが滑りやすく、本当に難しい状況でしたね。後続とは25秒から最終的には40秒くらいの差を開けることができたんですが、十分ではありませんでしたね。
 ピットストップ自体はうまくいきましたが、(タイヤ無交換でピットアウトしたので)結果的にタイヤを長い間使うことになり、最後はペースが上がらなくなりました。アンドレ(ロッテラー)にプッシュされるようになったあたりから、シフトダウンしづらい状態になって、とうとう真後ろに着かれてしまいました。乾いたラインが1本しかなくてそこをキープしたかったんですが、またシフトのトラブルが出てしまい、結果的に濡れたアウト側のラインを走ることになって、抜かれてしまったんです。
 今週末、アンドレが常に速かったことを考えればレースで勝ったのも当然です。願わくば、次のレースではもっとうまくいけばいいなと思います。でも、僕にとって2位もいい結果でした。今シーズン、全戦参戦できない中、トヨタ、チーム、スポンサーのみなさんに参戦のチャンスを与えてもらっているので、次のレースではしっかりリベンジを果たしたいですね。
今度は気持ち良く手を挙げて、ウィニングランをしたい

3位
No.16 山本尚貴(TEAM 無限)

 やっと表彰台に乗れて素直にうれしいです。ここまで長かったな、というのが一番の印象です。スタート自体よく決まり、(予選3番手から)2番手に立つことができました。ピットストップも完璧でしたし、(コース復帰後)アンドレ(ロッテラー)選手の前に出ることができたところまでは良かったです。
 でもその後、すぐ彼とのペースの違いを感じることになり、(2位の座を)守り抜くことはちょっと難しいなと思いました。ドライ方向にクルマのセットも振っていましたが、ちょっとツメが甘くて。なんとかコース上に留まることが精いっぱいな状況の中、ポジションがポジションだったので、ミスなく、攻めることも忘れず、チェッカーまでがんばって走りました。
 個人的にはキチンとチェッカーを受けて、応援してくれた方、チームスタッフの前で手を挙げたかったですね。でも赤旗中断となり、セクター3に上ってきた時点で、やっと“レースが成立した”と聞いたので、(レース後)手を挙げることができませんでした。なので、次なる目標ができました(笑)。今度は気持ち良く手を挙げて、みんなの前でウィニングランをしたいと思いました。

僕が驚くくらい強かった

優勝チーム監督
舘 信秀監督(PETRONAS TEAM TOM'S)

 今週はとにかくアンドレ(ロッテラー)の速さや強さが際立っていました。僕が驚くくらい強かったですね。別格の強さでした。チームとしては、中嶋(一貴)君がああいう結果(12位フィニッシュ)に終わって大変残念でした。


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