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　劇的な幕切れとなった最終戦から2週間。11月23日（土）〜24日（日）に、静岡県・富士スピードウェイでは「JAFグランプリ SUPER GT & SUPER FORMULA “富士スプリントカップ 2013”」が開催された。その初日となる23日は、秋晴れの天候の下、明日のレースに向けてのグリッドを決定する予選が行われた。
　今回は、これまでのシーズンで行われてきたノックアウト予選とは違い、計時予選の方式が採用された。午前11時55分に、25分間で始まった予選の中で、それぞれが2セットのニュータイヤを使用して、タイムアタックを行う。そこで大切になるのは、コースインのタイミング。19台いるため、クリアラップを上手く取れるかどうかがポイントだ。

No.8 ロイック・デュバル

　セッションが始まると、ロッテラーやNo.40 伊沢拓也（DOCOMO TEAM DANDELION RACING）、No.15 佐藤琢磨（TEAM 無限）ら、何台かのクルマは、朝のフリー走行で使っていたユーズドタイヤでセットアップの状態をチェック。その後、ニュータイヤでのアタックに入る。しかし、その他のドライバーは最初からニュータイヤを装着して、各々のタイミングでコースイン。最初のアタックに入った。ここでまずトップに立ったのは、チャンピオンのNo.16 山本尚貴（TEAM 無限）。しかし、No.1 中嶋一貴（PETRONAS TEAM TOM'S）がそれを上回り、最初のアタックではトップを奪った。これにNo.20 松田次生（Lenovo TEAM IMPUL）が続いている。
　その後、各ドライバーはピットイン。2セット目のニュータイヤを装着して、残り時間が7分となったあたりからコースに出た。ゆっくり間合いを計りながらタイヤを温め、各車がアタックに入ったのは、残り3分となったあたりから。ここでまず1分22秒台に突入したのは、No.8 ロイック・デュバル（KYGNUS SUNOCO Team LeMans）。デュバルは1分22秒810を叩き出すと、一気にトップに立った。これに続いて山本、一貴らも自己ベストは更新してくるが、23秒の壁は破れず、デュバルには届かなかった。さらに、No.38 平手晃平（P.MU/CERUMO・INGING）も1分22秒台には入れて来たものの、デュバルにはわずかに100分の2秒ほど及ばず。このままデュバルがポールポジションを獲得するのかと思われた。ところが、チェッカーと同時に、これを上回ってきたのが国本。国本は「完璧に1周決まった」というアタックで、コースレコードを更新。嬉しい初ポールポジションを獲得している。
　予選2位はデュバルで、今回も富士での速さを見せた。そして平手が3位。以下、No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ（Lenovo TEAM IMPUL）、No.20 松田次生（Lenovo TEAM IMPUL）、一貴と続き、トヨタエンジン勢がトップ6を独占。Hondaエンジン勢では、No.32 小暮卓史（NAKAJIMA RACING）の7位が最上位となった。今季のチャンピオン山本は、アタック中のプリウスコーナーでバランスを崩して9位。今季も2勝を挙げる活躍を見せ、山本と同ポイントのランキング2位で1年を終えたNo.2 アンドレ・ロッテラー（PETRONAS TEAM TOM'S）は、クリアラップでのアタックが出来ず、まさかの14位に留まった。

No.38 平手晃平
No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ

　明日の決勝レース。スプリントだけに国本が有利なのは間違いない。ただ、これまでを見る限り国本がスタートを得意としていないも確か。それを覆して初優勝を果たすのか。あるいはデュバルやデ・オリベイラといった外国人ドライバーたちが、スタートと序盤のプッシュで逆転するのか。あるいは、後輩にポールを奪われた平手がやり返すのか。決勝は非常におもしろい展開となりそうだ。

記者会見

最後1周のアタックに賭けて、すべて上手くいった

ポールポジション
No.39 国本雄資（P.MU/CERUMO・INGING）

　朝のフリー走行では、鈴鹿で良かった感じのセットアップで持ってきたんですけど、それがあんまり良くありませんでした。少しトラブルもありましたし、あまり時間もなかったので、そこでは思ったように走れませんでしたね。でも、前回の夏の富士ではクルマがすごく調子良かったので、その時に近い感じでクルマをリセットして、予選を走りました。
　その予選では、1セット目はタイヤの温め方が上手く行かなくて、前後のバランスが少し悪い感じだったんですけど、それは自分の中でも分かりましたし、2セット目には修正できるなと。2セット目は、ホントに最後の1周だけのアタックに賭けて行って、本当にそれがすべて上手く行き、最高の予選でした。走っていて、最終コーナーを立ち上がった時に「これはだいぶいいタイムが出るな」って分かりました。クルマの調子も良かったですし、自分もミスなくまとめられました。
　クーリングラップで100Rに行った時に、チームから無線で「ポールポジションだよ」って言われて、半信半疑だったので、タワーでもう一回確認して、“ホントにポールだな”って分かったんです。初めてのポールポジションですし、今までずっと苦労してきたので、今はすごくホッとしています。

明日は全力で行く。思い切りリスクを背負っていくよ

予選2位
No.8 ロイック・デュバル（KYGNUS SUNOCO Team LeMans）

　前回の（最終戦）鈴鹿でアンドレア（カルダレッリ）がクラッシュしているから、今回はモノコックを交換しなくちゃいけなかったんだよね。ご存じの通り、モノコックには個体差があるから、僕らの富士でのベースセットアップをしてきたけど、それは完璧じゃなかった。だから、そこから少しアジャストする必要があったんだ。だけど、フリー走行の時間はそれほどないからね。それに、他のドライバーはSUPER GTに乗った後で、ウォームアップが終わっていたけど、僕はまだ身体が温まっていなかった。だから、フリー走行では、それほど上位のタイムじゃなかったんだよ。
　予選でも、クルマに関してはまだパーフェクトじゃなくて、まだ少し煮詰めないとダメだったけど、2セット目のニュータイヤでは、すごくいいラップが刻めた。これでポールを獲れるかもって思ったぐらいね。でも、どこからか国本選手が表れて、トップタイムを出したんだよ。でも、タイムがすごく拮抗していて、いい予選だったと思う。こういう風に、他のドライバーと競うのは大好きだからね。
　それに2番手っていうのは、悪くない結果だった。スプリントカップと言う短いレースでフロントロウにいられるっていうのは大切だから。明日は、全力でいいショーを皆さんに見せられるようにしたい。思い切りリスクを背負っていくよ。SF13で走るのは、ホントにこれで最後だからね。誰もにとって、まず大事なのはスタート。今回はペナルティーなしで（笑）、勝ちに行くし、楽しみたいよね。

SF13最後。集大成になるので表彰台で終わりたい

予選3位
No.38 平手晃平（P.MU/CERUMO・INGING）

　朝のフリー走行はユーズドタイヤだったんですけど、そのタイヤだと少しトラクションが悪い感じでした。そこでウィングをちょっと立てたりして、確認もしたんですけど、それもあまり良くなかった。ただ、あの時点、あのコンディションでクルマを合わせてしまうと、予選ではアンダーステアになってしまうと思って。ニュータイヤにしたら、ちょうどバランスが取れると思っていました。そういう意味では、朝の走り出しから、バランスとしてはいいところにいましたし、予選も1セット目、2セット目とクルマのセットアップの方は全く変更せずにいけるぐらいいい状態でしたね。
　最後のアタックでは、ちょっとヘアピンの入り口で行き過ぎて、ロック気味になってクリップを外すミスをしてしまって。そんなに大きなミスではなかったんですけど、あれがなければもっといいところに行けたと思うんですけど。それでも（P.MU/CERUMO・INGINGの）2台揃って好位置からスタートできますから。ここへ来て、SF13最後のレースにいい状態で臨めるので、チームとしてはハッピーです。ちょっとチームメイトに負けたのは悔しいですけど、決勝はがんばりたいと思います。明日はスタートだけ気をつけて、表彰台に上がりたい。SF13最後のレース、集大成になるので、表彰台で終わりたいですよね。