SUPER FORMULA Logo

SUPER FORMULA Official Website

JapaneseEnglish

2014 SUPER FORMULA

Round4 Twin Ring Motegi

  • Twin Ring Motegi
  • 公式予選 8月23日(土) / 決勝レース 8月24日(日)  [52 Laps : 249.652 km]
    ツインリンクもてぎ : 4.801 km

Race

Result Review

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラがポール・トゥ・ウインで今季2勝目!
2位は石浦、3位は自身最高位のカルダレッリ。武藤がHonda最上位の5位となる

image

No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ

8月24日(日)、ツインリンクもてぎ(栃木県)で2014年全日本選手権スーパーフォーミュラ第4戦の決勝レースが行われた。レース終盤に急な強雨となったが、ポールポジションからスタートしたNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)が、そのハードルを見事に乗り越えて今季2勝目を挙げた。2位には今季3度目の表彰台となるNo.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)が、3位には第4戦を欠場したアンドレ・ロッテラーに代わって出場したNo.36 アンドレア・カルダレッリ(PETRONAS TOM'S SF14)が入賞した。

2014-08-24 15:00-16:40 天候:曇りのち雨 コース:ドライ/ウェット 気温:33度 路面温度:45度(スタート時)


photo

photo
スタート宣言を務めたのは、栃木県の福田富一知事

レースの大半はデ・オリベイラを石浦が追う展開に

 この日のツインリンクもてぎは金曜日ほど暑くならず、風も吹いていたため、それほどハードなコンディションとはならなかった。午後になり、スーパーフォーミュラの決勝が近づいてくると、空には雲が広がり、最終コーナーから1コーナー方向に強めの風が吹き、空気に少し冷たさが混じる。午後4時過ぎには一時的に雨が降るんじゃないかという予報も出されていた。
 それでも、気温33℃、路面温度45℃というコンディション。そんな中、午後3時にフォーメーションラップがスタート。パドルシフトのトラブルによって、ピットスタートとなったNo.62 嵯峨宏紀(DENSO Le Beausset SF14)以外の18台が1周の隊列走行を終えると、正規グリッドに着き、いよいよ正式スタートが切られた。

photo

 ここでホールショットを奪ったのは、ポールポジションのNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)。これに2番手スタートのNo.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40T SF14)と4番手スタートのNo.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が続く。2台はサイド・バイ・サイドで1〜2コーナーへ入って行くが、アウト側のラインを取った石浦が、2コーナー立ち上がりで野尻の前に出ることに成功した。予選3番手のNo.8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)は、スタートの動き出しが遅れ、予選5番手のNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)が先行。それにスポット参戦のNo.36 アンドレア・カルダレッリ(PETRONAS TOM’S SF14)、No.41 武藤英紀(DOCOMO DANDELION M41Y SF14)、No.11 ヴィタントニオ・リウッツィ(HP SF14)と続くことになった。
 トップに立ったデ・オリベイラは、オープニングラップから猛プッシュ。2番手の石浦をジワジワと引き離して行き、まさに一人旅状態を作り上げる。その後方では、序盤こそ石浦と野尻がテール・トゥ・ノーズの戦いを展開していたが、そこから少しずつ石浦が抜け出した。その後ろでも、一貴、デュバルが序盤は火花散るバトル。中団でも、リウッツィとNo.39 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、No.20 ナレイン・カーティケヤン(Lenovo TEAM IMPUL SF14)が僅差の争い。中でも、カーティケヤンはブレーキをできる限り遅らせ、国本の攻略を試みていたが、国本は全く動じることなく、ポジションを明け渡すことはなかった。

 一方、予選での車両規定違反で予選のタイム抹消となったNo.3 ジェームス・ロシター(フジコーポレーションKONDO SF14)、No.1 山本尚貴(TEAM 無限SF14)、No.2 中山友貴(TEAM 無限SF14)はスターティンググリッド17番、18番、19番グリッドからスタート。この中で山本は、9周を終え15番手まで上がったところでドライブスルーペナルティーが提示される。山本は正規グリッドに着く際、自分の停車位置を間違えてしまった。燃料タンク軽めでスタートし、追い上げを期した山本だが、これで大きくタイムロスすることになってしまった。
 今回は52周のレースだったが、ピット作業が始まったのは、まだ序盤の段階から。集団の中で走っているとオーバーテイクが難しい状況だったため、早目に入って空いたところでプッシュする作戦を取るドライバーが多かった。上位陣でまずピットに飛び込んできたのは、デュバル。デュバルは、スタートから12周を終えるところでピットに入ると、タイヤ交換と燃料補給を行う。しかし、左フロントタイヤの交換に時間が掛かってしまった。また、同じ周には、中団で争っていた国本とカーティケヤンもピットイン。ここでカーティケヤンが国本の前で戻ることに成功する。さらに、この翌周には、一貴とスタートで3つほどポジションを上げていたロシターもピットイン。一貴もここでピットストップに時間が掛かったが、辛うじてデュバルの前でコースに戻った。だが、まだタイヤが温まっていない一貴をデュバルは3コーナーで捉えてオーバーテイク。ポジションを上げることに成功した。その翌周には、リウッツィ、No.7 平川亮(ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14)がピットイン。リウッツィのピット作業は非常に素早く、コースに出た時は一貴の前。だが、やはりタイヤが冷えている間に、一貴が3コーナーでリウッツィを捉え、ポジションを回復している。
 その他の上位陣では、3番手を走行していた野尻が、20周を終えるところでピットイン。だが、再スタート時にエンジンがストップしてしまい、大きくタイムロス。平川の後ろでコースに戻ることになってしまった。これと対照的だったのは、23周を終えようかというところでピットに入ったカルダレッリ。カルダレッリは一貴と比べて、約10秒も短いピットストップ時間で、コースに戻った時にはデュバルの前に出ることに成功。デュバルとしては、アウトラップ中のカルダレッリを捉えたいところだったが、少し距離が離れており、逆転は叶わなかった。

photo
No.38 石浦宏明

終盤の強雨で快走のデ・オリベイラも一瞬ひやり

 2番手の石浦に対して、11秒以上のギャップを築いていたデ・オリベイラは、31周を終えるところでピットイン。こちらも14秒8という短いピットストップでコースに戻る。その3周後にピットに入った石浦も、作業時間16秒5で復帰。いずれも余裕でポジションを守る形となった。
 ところが、石浦がピット作業を終えた直後あたりから、コース上に雨がパラパラと落ちてくる。各ドライバーのラップタイムも2秒ほど落ち込み、前回の富士と似た展開が予想される状況だった。その雨は、数分後には一旦止み、タイムも元に戻る。ところが、そこから3分後。バックストレート先からメインストレートにかけて、一気に土砂降りとなった。ここでトップので・オリベイラも90度コーナーでコースアウト。幸い大きなロスにはならずトップのままコースに復帰。デ・オリベイラはこのまま最終コーナーを抜け、ピットに駆け込みレインに交換。41周を終えるところでは、No.31 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING SF14)を除く全車がタイヤをレインに交換してコースに戻る。

photo
No.36 アンドレア・カルダレッリ

 それでも、車高がドライのままということで、それでもコースアウトしかけるドライバーが続出した。そして、46周目にはコース上にセーフティーカーが導入される。結局、このセーフティーカーは、最後までピットに戻ることなく、そのままレースは52周を走り切って終了した。
 その結果、デ・オリベイラが第2戦富士のRace1に続き、今季2勝目。ランキングでもトップに立つ。2位には石浦が入賞。そして、スポット参戦のカルダレッリが、前回富士のポールポジションに続き、今回は3位表彰台を獲得と、光る走りを見せた。4位には、ケガから2ヶ月ぶりの復帰戦となったデュバル。以下、ピットストップで順位を上げた武藤がHondaエンジン勢の最上位。そして、No.10 塚越広大(HP SF14)が今季初ポイント。そしてチャンピオンシップにとって貴重な2ポイントを挙げた一貴。さらに、17番手からスタートすることになったロシターが8番手までポジションを上げ、1ポイントを獲得した。

photo
No.8 ロイック・デュバル
photo
No.41 武藤英紀


photo

photo


photo
2位 No.38 石浦宏明 / 優勝 No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ / 3位 No.36 アンドレア・カルダレッリ


記者会見

photo

ピットインのタイミングがすごく良かった

優勝
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(No.19 Lenovo TEAM IMPUL SF14)

 今朝のフリー走行ではセットアップを試したり、ピットストップの練習などをする中、電気系トラブルなども出たんですが、事前に対処することができました。レース中は、前回のレース同様に同じようなこと(天候の変化による降雨)が起こり、チェッカーまで残り10周くらいですっかり変わってしまいました。
 この状況でレースをどうするのかその判断は難しかったと思います。運を天に任せるという部分もあったんですが、まずそれまでの間に僕は後車とのギャップを16〜17秒ほど大量に稼いでいたし、加えて、ラッキーだったのは雨が降り始めたとき、最終コーナーの手前を走っていたんですが、雨が強くなってきたときで、そのままピットインして、って言われたんです。運が良かったですね。
 『前回の富士のことを思い出したか』って? いや、完全に忘れるためにも今回ここでいい走りがしたい思いました。最初はところどころで雨になったので、最初はこのままの状況でレースが終わってくれれば、という気持ちでしたね。
 でも今回はどこで雨になっているのかわからなかったし、ヘアピンを立ち上がったときに、チームエンジニアが無線で「90度コーナーはすごい雨になっているぞ! ビッグシャワーだ! 気をつけろ!」って言ってきたんだ。気をつけて走っても、コースオフするくらいだったしね。それにピットインのタイミングもすごく良かったです。
 今日のような突然の降雨は、大きな事故に繋がりかねない。クルマはドライセットで出たわけで、5速のままでクルマをコントロールすることができませんでした。僕たちは経験あるドライバーだから良かっただけで、赤旗を出して安全を確認したほうが良かったと思いますね。
ミスなく2位で終われて良かった

2位
石浦宏明(No.38 P.MU/CERUMO・INGING SF14)

 今朝のウォームアップでは他のクルマもそうだと思いますが、走り出しの時点から予想以上のグリップダウンがあって、セッティングをそこから悩み出すことになりました。レース前の8分間走行で試したもののフィーリングも良くなくて。ブレーキも結構悪くて…。急きょグリッド上でスプリングは交換するわ、ブレーキを4輪まるごと変えるわでホントにドタバタしたんですが、チームがすごくいい判断をしてくれました。
 走り始めたらJP(デ・オリベイラ)のペースは速くて追い付くことができませんでしたが、後ろがどんどん離れていくような展開だったので、あとは自分のいいペースをできるだけ刻み続けるように意識しながら走りました。途中からひとり旅状態になってしまったので、バトルなどはなかったんですが、最後は雨になって…。最近は毎回こういう展開なので、またかと思いつつ、冷静に対処することができました。(ピットインを指示されたのは)僕がV字を走っていてヘアピンに向っているときでした。全然雨が降っていなかったので、無線で「入れ」と言われたときは何でかなと思いながら、「降ってないのにどうしてですか」と訊ねました。そしたら「1コーナーのほうは土砂降り」と言われて…。実際90度のコーナーに向って行ったら、(雨で)もう真っ白で…。無線で言われていなければ、ブレーキも普通に踏み込んでコースアウトしていたかもしれない。そういうことも含めて今回はひとつひとつミスなくいけて、2位で終われて良かったと思います。
 SCランのままチェッカーになりましたが、これで良かったと思っています。ドライのセットアップでただレインタイヤを装着すれば、車高が差がってしまうのですが、ドライでもかつかつの状態なのにこのままレインを装着すると、クルマの底を打ちまくることになり、水に乗ってしまうんです。最後の2周になると、もう5速でしか走れなかったんです。水に乗って(クルマが)浮いてしまってました。前に進まない状態でまともに走れなかったので、再開すべきてはないと思っていました。
 今年は2、3、4位と獲って、今日の結果でランキング4位になりました。今年、バテさん(佐藤正幸シニアディレクター)から1回(の優勝)でいいんだからと言われているのに、それができてないですねぇ(苦笑)。SUPER GTでは速さが見せられているのに結果がまだ伴っていなくて、そういうときってドライバーもテンションが下がりがちなんですが、このレースで自信を取り戻せるので良かったと思っています。スタートもうまく出来ているし、チーム全体も強くなってきているし、みんなの雰囲気も良くなっているし、いい意識のもとで仕事をしているし、期待されているので、後半戦でいい結果を残したいですね。
ハラハラしましたが、3位で表彰台に上がれて本当にうれしい

3位
アンドレア・カルダレッリ(No.36 PETRONAS TOM'S SF14)

 朝のフリー走行はまずまずという感じでした。昨日の予選でちょっとしたトラブルがあったんです。ニュータイヤでの状態が良くなかったので、朝のセッションに向けて大きな変更をしました。トップ3入りを目指すには何かを変えていかないと、というチームの考えもあったんです。結果、セッションでトップタイムをマークすることができたし、ロングランでもいいペースで安定したタイムを刻むことができました。レースでもその感じをキープできましたね。
 スタート直後、ニュータイヤでの走行はちょっとキツいことがわかっていたし、それから後は本当にいいペースを刻むことができました。ピットインのタイミングを遅めにするのも僕らの戦略でした。結果、ロイック(デュバル)の前でレースに戻ることもできてうまくいったと思います。ペースも良かったし、後続車に差をつけることもできました。終盤は、前回の富士戦同様に大変な展開になりましたよね。僕はこの36号車で初めてひどい雨を走ることになったので、ちょっとハラハラしましたね。でも3位で表彰台に上がれて本当にうれしいです。僕にとってはとても重要な意味を持つものですよね。というのも前回はTeam LeMans、そして今回はTOM'Sの両チームのクルマで良い仕事ができたから。来シーズンが楽しみですね。
 今回、表彰台に上がることができてうれしいし、このチャンスを待っていました。日本でフォーミュラカーを走ることになり、1年目はいい結果が出ず、2年目は走っていないし、去年は鈴鹿での2レースだけだったので、やっと僕らしい走りができるようになりました。前回、今回と良い結果を残すことができたけれど、次の何か(参戦)が決まったわけじゃなく、“待ち”の状態です。でも速く走る自信はありますよ。とはいえ、シートも限りがあるし期待しすぎてもいけないので、来年に向けて楽しみにしています。

今日のレースはドライバーに尽きる

優勝チーム監督
星野一義 監督(Lenovo TEAM IMPUL)

 今日は僕にとってもハッピーです。レースを見て頂いたらわかることだけど、今日のレースはドライバー(のがんばり)に尽きるよね。朝、レースでエンストしないようもう一度練習するように言ったら、時間がないってスタッフが言ったんですよ。だから怒鳴ったんです。そしたらエンストしたの。やっておいて良かったですよ。怒るときは怒ったほうがいいね。
 レースではJP(デ・オリベイラ)があまりにも速くて、タイヤのことも心配せず、ほっとけばいいとこまでいけると思ってました。雨が降ったときは富士のこと(トップ添走行中にスピンを喫した)を思い出したんです。「そんなこと考えたらいけない!」って(笑)。こういう結果(優勝)になってホッとしています。今日はドライバーに100%賞金をやろう、って思います(笑)。今日は本当に良かった。
 一方で終盤の酷い雨に関しては、もっと早くに赤旗を出すべきでしたね。明らかに赤旗の状態でしたよ。僕はひとりで怒鳴ってたんです。SCランのままチェッカーになったので、レースとしては盛り上がりに欠けてしまうことになったかもしれないけれど、危なかったから。対処の方法は今後の課題になるでしょうね。


photo