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2009 Champion "Loic Duval" Interview -Part 2
今年こそタイトルを獲る最善の機会だと思っていた

チャンピオン・インタビュー 第2回

 2009年の全日本選手権フォーミュラ・ニッポンのチャンピオンとなったロイック・デュバル(No.31 NAKAJIMA RACING)。前回はチャンピオンへの戦いについて語ってもらったが、今回は、今シーズンのフォーミュラ・ニッポンについて聞いてみた。

どんな時も冷静さを保って、強さを持ち続けることが一番重要

Q:ところで、今年一番プレッシャーが掛かったのはいつですか?

ロイック・デュバル(以下、LD):それはもちろんオートポリス(第7戦)だよ。チャンピオンのタイトルに段々近づいていたし、回りの人たちもタイトルのことを意識し始めるから。でも、レースでは最悪のスタートを切ってしまって。あの時に感じたプレッシャーが今までで一番大きかったね。
 だけど、今年最悪の瞬間は、第3戦もてぎでミス(決勝1周目に他車と接触しスピンし、リタイヤした)をしてしまった時。あの時、僕は(ランキングトップの)ブノワ(No.2 トレルイエ/LAWSON IMPUL)を追う立場だったのに、リタイヤしてしまって、その結果10ポイント以上の差がついてしまった。だから、僕は『こんなにポイント差がついてしまったら、戻ってくるのは大変だ』と思ったよ。最終的には、僕が22ポイント差をつけてタイトルを獲得したけど、あの時の気分は最悪だったね。

Q:改めてシーズンを振り返って、チャンピオン獲得の鍵となったのは何だったと思いますか?

LD:さっきも言ったけど(前回のインタビュー序盤を参照)、いつも一番重要なのはパッケージだよね。もちろんクルマが良くなければ、勝つのが難しいっていうのは当たり前のこと。だから、僕にとってクルマは最も重要なファクターだよ。
 でも、最終的に、僕のチームメイトの小暮選手(No.32 小暮卓史)はシリーズ4位だった。僕と同じようにいいクルマを持っていたのに。でも、僕はタイトルを獲った。ということは、ほんのちょっとしたことが大切だっていうことなんだよね。安定感というのも大切だし、たとえどんなにプレッシャーが掛かっていても、冷静さを保って、強さを持ち続けるっていうことも。それが一番重要だと思うよ。

Q:今年のフォーミュラ・ニッポンは、全体的にオーバーテイクシーンが多かったと思いますが、あなたにとってバトルをする中で一番手強い相手は誰でしたか?

LD:僕にとって、そういう相手は3人いるね。小暮選手とブノワとアンドレ(No.36 ロッテラー/PETRONAS TOM'S)。彼らは全員フェアだし、クラッシュしたりすることがない。それに彼らは全員、とてもいいドライバーで、どこのポイントを抑えていればいいか、どういう風にブレーキを遅らせればいいか、抜かれないようにするにはどうすればいいかということをよく知っている。逆にどう攻撃を仕掛ければいいかっていうことも。みんな、とてもいいドライバーだからね。
 だから、彼らと戦うのは難しいんだけど、僕はこの3人と戦うのが大好きなんだ。彼らとの戦いは、レースの中で最も楽しめる部分だね。サイド・バイ・サイドになって、時にはちょっとだけ接触したりというのは、ものすごく緊張もするけど、それこそがレースをやっている理由だから。

Q:じゃあ、バトルしていて一番楽しめる相手は誰ですか?

LD:やっぱりブノワとアンドレだね。この2人と戦うのは楽しい。僕らはみんな外国人だし、ヨーロッパでレースをしてきて、日本人ドライバーとは少しレースに対する考え方が違うと思うんだ。もともとレースの中で受けてきた教育が日本人ドライバーとは違うから、オーバーテイクに関しても、お互いにより分かり合える部分があると思う。

塚越選手には天性のものがあると感じるんだ

Q:今年は塚越広大選手(No.10 HFDP RACING)、大嶋和也選手(No.37 PETRONAS TOM'S、国本京佑選手(No.7 Team LeMans)と、海外でもレース経験がある3人のルーキードライバーがシリーズに参戦しました。彼らに対しては、どんな印象を持ちましたか?

LD:彼らとはあまり一緒にレースしていないから、その質問に答えるのは難しいけど、僕の印象として塚越選手はとてもいいドライバーだと思う。彼には天性のものがあると感じるんだ。
 大嶋選手もヨーロッパでの成績はそれほど良くなかったけど、日本での過去の戦績はいいよね。ただ、余り一緒に走っていないから、よく分からない。国本選手に関しても、すごく才能があると思うよ。だけど、彼はもっと体力が必要なんじゃないかと思う。

Q:今年は、あなたにとってフォーミュラ・ニッポン参戦4年目でした。過去3年もタイトル争いには絡んでいましたが、獲ることができませんでしたよね。そういう部分で焦りとか不安はありましたか?

LD:僕は、自分のセンスを信じていたし、自分がチャンピオンを獲れると思っていた。だから、今まで本当にチャンピオンを獲りたいと思っていたんだ。だから、ずっと“勝たなくちゃ、勝たなくちゃ”って思っていた。
 今年は本当にいいクルマを手に入れて、僕自身も含めてすべてか正しい方向に進んでいた時には、“絶対にこれを逃すことはできない、勝たなければいけない”という風に、自分にプレッシャーをかけていた。今年こそタイトルを獲る最善の機会だと思っていたからね。

フォーミュラ・ニッポンは重要なレースと世界で知られている

Q:デュバル選手はフランス出身ですが、フランスやヨーロッパのレース界では、フォーミュラ・ニッポンのことは知られていますか? 今回のチャンピオン獲得の反響はどうでしたか?

LD:うん。よく知られているよ。チャンピオンを獲った後、僕はものすごくたくさんのお祝いのメールを受け取ったからね。フランス自動車連盟の会長からも、連盟のすべての人がこのタイトルを喜んでいるというメールが届いた。
 だから、世界中のレース界の人たちは、このレースのことを知っているし、僕を祝福してくれたんだけど、フォーミュラ・ニッポンにはGP2とかそういうシリーズほどインパクトがないのが問題だね。でも、インパクトはないかも知れないけど、それは政治面に関してのことで、チームやドライバーに関してのことじゃない。
 フォーミュラ・ニッポンはとてもレベルが高くて、重要なシリーズだということはレース界の人間なら、世界中みんな知っている。このシリーズでタイトルを獲った場合、望めば(F1参戦可能な)スーパーライセンスが発行されるからね。そういう意味で、とても重要なシリーズなんだよ。

Q:今年タイトルを獲りましたが、来年以降のあなたの目標は?

LD:もし来年も日本でレースをすることになった場合、というか多分日本でレースすることになると思うんだけど、そうなったら僕の次の目標はSUPER GTでもタイトルを獲ること。できればフォーミュラ・ニッポンとのWタイトルだね。
 フォーミュラ・ニッポンも続けるとは思うけど、それに関しては、今はノーアイデアだね。ひょっとしたら、新しい経験をしたいと思うかも知れないし、もっと難しいチャレンジをしたいと思うかも知れない。それに関しては、将来的にどんなことが起こるか、待たないといけないだろうね。

 このインタビューでは、ロイック・デュバルがいかにクールに、そしてアグレッシブに2009年を戦い、チャンピオンを獲得できたのかが分かったのではないだろうか。
 忙しい中、このインタビューのために時間を割いてくれた新チャンピオンに改めて、お礼と『おめでとう』を言わせていただこう。

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