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2012 Formula NIPPON

Round4富士スピードウェイ

  • 富士スピードウェイ
  • 公式予選
    決  勝
  • :2012年7月14日(土)
    :2012年7月15日(日)
  • 富士スピードウェイ:4.563 km
    決勝レース:55 Laps [250.965 km]

Race

滑りやすい路面で前年王者が実力を発揮
アンドレ・ロッテラーが大逆転で今季2勝目を挙げる
中嶋一貴は2位となりランキングトップに返り咲く。3位には大嶋が入る。

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No.1 アンドレ・ロッテラー

7月15日(日)、富士スピードウェイ(静岡県)で2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第4戦の決勝レースが行われた。雨が降ったり止んだりという難しいレースで、No.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が今季2勝目を挙げた。2位にも同じチームのNo.2 中嶋一貴が入り、ワン・ツー・フィニッシュを果たし、中嶋はドライバーズ・ランキングでトップに立った。

2012-07-15 14:00-15:32 天候:曇り時々雨 コース:ドライ&セミウェット 気温:26℃ 路面温度:31℃

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絶妙なスタートでロッテラーが大躍進

photo  梅雨特有の不安定な天候となった第4戦の決勝日。この日は、朝から雨が降ったり止んだりというハッキリしない天候となった。全車がダミーグリッドについた時点では雨は上がっており、路面も完全なドライだった。だが、湿度は高く、気温は26℃、路面温度は33℃と蒸し暑いコンディションとなった。その後、フォーメーションスタートが近づくと、再び雨が舞い始める。ここで唯一タイヤをレインに交換したのは、No.3 安田裕信(KONDO RACING)。その他の17台は午後2時、スリックタイヤのまま1周の隊列走行に向かった。
 正式スタートが切られると、好ダッシュを見せたのは2番手スタートのNo.7 大嶋和也(Team LeMans)。ポールポジションのNo.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)も、スタートはまずまずだったが大嶋に先行を許し、2番手に後退する。予選3番手のNo.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はスタート直後の混乱の中で、6番手にドロップ。4番手グリッドのNo.39 国本雄資(Projectμ/cerumo・INGING)が3番手に浮上した。この国本に続いたのは、8番手グリッドからスタートしたNo.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)。得意のロケットスタートを決めると、1コーナーでは一番イン側のラインをキープ。前方の選手たちがブレーキングを遅らせて、ラインがワイドになったところで小回りすると、そこからの加速を生かして4番手に浮上する。さらにオープニングラップで、国本のテールに食らいつくと、ストレートでオーバーテイクし、早くも3番手まで浮上してきた。その翌周の1コーナーでは、2番手の一貴がオーバーテイクボタンを使って、大嶋の攻略を試み、一旦前に出る。だが、ブレーキングで一貴は若干オーバーラン。大嶋がトップを守った。これにロッテラーが肉薄する形でレースが進行していく。その後方では、3周目のコカ・コーラコーナーで、No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)が国本をオーバーテイク。さらに4周目の1コーナーで塚越、12周目の1コーナーで国本をかわしたNo.20 松田次生(TEAM IMPUL)が5番手まで浮上し、そこからチームメイトのデ・オリベイラを追う展開となっている。
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No.7 大嶋和也
 レースが一旦スタートすると、雨は小康状態になっていたが、時折セクター3方向から雨が舞ってくる状況。その影響で、各ドライバーのギャップも広がったり縮まったりを繰り返していた。特に、レース折り返しの25周過ぎからは一気に雨脚が強まり、セクター2の途中からセクター3にかけては、水飛沫が上がる状態となる。そこで前半、なかなかペースを上げられなかった国本と塚越は、29周を終えたところでピットイン。給油と同時に、レインタイヤに交換して一発逆転に掛けた。一方、トップ集団はこの濡れた路面の中でも、スリックタイヤのまま我慢の走行。一時はレインタイヤ組の方が、1周あたり4〜5秒も速いという状況となったが、天気予報で「雨は止む方向」と言われていたため、コース上に留まった。この中で突然ペースが落ちたのはロッテラー。エンジンの調子に問題を抱えたロッテラーは、30周を終えたところから少しずつ引き離され、一時は一貴から6秒近く遅れることとなった。このため、最後は大嶋と一貴の一騎打ちになるかと思われた。

残り3周でチームメイト同士の息詰まるバトル

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No.2 中嶋一貴の後ろに迫るチームメイトのNo.1 アンドレ・ロッテラー
 そのトップ集団が、ようやくピットに入ったのは、55周のレースも残り15周あまりとなった時点。まず最初に動いたのは2番手を走行していた一貴。39周を終えたところでピットに入った一貴は、タイヤ交換は行わず、給油作業だけを行ってコースに戻る。これを見て、大嶋が翌周ピットイン。同じく給油作業だけでコースに戻るが、コースイン直前に問題が発生。ピットロードリミッターのスイッチが解除されず、大きくタイムロスし、一貴の先行を許すことになった。さらに、この翌周にピットに入ったのは、ロッテラー。ロッテラーも給油だけ終えると、大嶋の後ろでコースに戻った。
 この頃、路面は再び乾き始めていたが、このコンディションの中でロッテラーのエンジンが復調。ここから激しい追撃が始まった。「まだ少しポケットの中に隠している部分があったんだ」というロッテラーは、最終盤、またしても雨がパラつきはじめると、抜群のマシンコントロールを見せて、48周目には大嶋とテール・トゥ・ノーズ状態に。逃げる大嶋は、オーバーテイクボタンを利用してポジションを守ろうとしていたが、49周目の1コーナーでは、ブレーキングで若干オーバーラン。そこを見逃さず、ロッテラーが2番手浮上に成功する。これで前が開けると、ロッテラーはさらに猛プッシュ。特にセクター2で大きくタイムを伸ばして、トップの一貴に迫った。

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No.8 ロイック・デュバル
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No.20 松田次生

 そして、残り3周というところで、2台はやはりテール・トゥ・ノーズに。この周のダンロップコーナーに入るところのブレーキングで、一貴がわずかにミスすると、ロッテラーはやはりチャンスを見逃さず、13コーナーでインに飛び込むと、いよいよトップに浮上した。この翌周には、そのロッテラーもダンロップコーナーでブレーキングミスを犯すが、一貴が再逆転するまでには至らず。そのままロッテラーは逃げ切り、劇的な展開で今季2勝目を挙げた。一貴は2位フィニッシュながら、昨日のポールポジションと合わせて、9ポイントを獲得。ランキングではトップに返り咲いている。  3位には大嶋が入る。4位は終盤に松田とNo.8 ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)が激しいバトルを繰り広げ、ラスト3周で松田を抜いたデュバルとなった。


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2位 No.2 中嶋一貴 / 優勝 No.1 アンドレ・ロッテラー / 優勝チーム 舘 信秀監督 / 3位 No.7 大嶋和也

決勝レースダイジェスト [VIDEO LIBRARY]
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記者会見

ネバー・ギブアップでがんばった
優勝
No.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)
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 朝のフリー走行でウェットコンディションでのスリックタイヤのチェックをしたときに、いい感触があったので自信を持っていました。レースでもスタートがうまくいって、1コーナーでいいラインを取れたので、最初のラップで数台抜いてポジションアップもできたんだ。しばらく集団についていくこと、燃料もセーブして走ることを心がけた。
 ところが、途中、エンジントラブルが急に発生して、トラクションが急になくなったんだ。特に最終セクターはパワーを出せなかった。ところが、ピットストップのあと、路面が乾いてくるとエンジンの調子も戻って、プッシュできるようになった。残り周回数は少ない状態だったけれど、ネバー・ギブアップでがんばって、(No.2 中嶋)一貴に追い付いてバトルをするチャンスが巡ってきて、サイド・バイ・サイドの接戦になったけれど、いい結果を残すことができたと思います。

(上位争いをしていたドライバーはレインタイヤを装着しなかったが)結構、路面が濡れている状態でも熱が残っていたからなのか、スリックタイヤがまだグリップしていたことにびっくりだったんだ。今回持ち込んだレインタイヤはもっと気温が低いコンディションで装着するほうがいいので、このコンディションには向かないことはわかってた。だから最後まで(タイヤを)変えずに行こうと思ったんだ。

(ル・マンでの連勝後のレースで勝利したが)どのレースでも勝つのはうれしいし、どのレースでもモチベーションや集中力をもって挑むということには変わりないよ。いつでも100%の力を出そうと思うし、どのレースだから、という違いははないね。今回は8位からスタートして難しいレースを勝てたので、とても満足してるよ。たしかにル・マンでの勝利はすばらしいものだったけれど、それもひとつの通過点であるし、次のことを考えていこうと思ってるよ。
僕もプッシュしたが、抜かれてしまい悔しい
2位
No.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)
 一番前にいるのでアドバンテージがあるとはいえ、一番最初に自分が(コーナーに)入っていかなきゃいけない状況でもあったので、ちょっと難しいレースになるだろうな、と予測して臨みました。スタート自体悪くなかったのですが、大嶋選手に行かれたということです。先行されたものの、1周目は自分のペースが良かったので、そこで抜けていたらどうなってたかわからない、という気持ちはあります。でも、前(トップ)が見える位置にいればいいと思っていたので、とにかくミスしないよう走っていました。雨が強くなったタイミングなのか、ピットストップ直前で前に追い付くことができたので、ピットインのイン・アウトを含めて、自分としてできる限りプッシュしました。
 向こう(大嶋)のミス(実際はマシントラブル)にも助けられて前に出ることができて、そこからは割と自分の流れでレースができるかと思っていたんですが、残り何周かになってアンドレ(ロッテラー)が大嶋を抜いてきたのが見えました。明らかにアンドレのペースが速かった。タイムをロスするリスクがあることもわかってはいましたが、僕もプッシュし、ギリギリのところを攻めていくようにしました。でも最後、雨もちょっとずつ降ってきて、ダンロップ コーナーなども微妙な状況になっていて、ここで小さなミスをしてしまい、結果としてはそこが(逆転される)引き金になってしまったかな、とは思います。こればかりはしょうがないです。もちろん、悔しいですけどね。ただ、すごく難しいコンディションの中でミスが許されない中でレースができて、最後までいい位置でレースができたということは、今後につながると思います。
今年初めての表彰台なので、全くうれしくないわけではない
3位
No.7 大嶋和也(Team LeMans)
 決勝前の8分間のチェックでクルマの状態がかなり良かったので、これはイケるのかなと思い、自信をもってスタートを切りました。完璧ではなかったですが、まずまずのスタートで、1コーナーでトップに立つことができました。そのあと、ものすごくコンディションが変化していく中で何回かコースアウトもありましたが、大きなロスになることなくトップをキープできていたのは良かったと思います。(ルーティンワークのピットインをして)ピットを出ていくときにリミッターボタンを押したんですが、カットオフできなくなったんです。何回か繰り返したんですがダメなので、1度アクセルを戻してエンジンの回転を落としてみたら解除できたので、そこから加速しました。でも結果的にそこで2、3秒ロスしてしまって…。
 それがなければトップでコースに戻れていたと思いますが、1コーナーには(中嶋選手と)並んで入っていったものの、ライン的に厳しくて、イン側で立ち上がったら加速しなくて、前に行かれました。結局はアンドレ、中嶋両選手には届かない状況だったので、まだまだ僕自身、クルマもレベルアップしていかないと、優勝は遠いのかな、とも思いました。ただ今年初めての表彰台なので、全くうれしくないわけではないですし、これで気持ちを切り替えて後半戦をがんばりたいです。
監督冥利につきる一日だった
優勝チーム監督
舘信秀監督(PETRONAS TEAM TOM'S)
(チームランキングトップに立ったということだが)ポイントは計算もしていませんが、今日はとにかくこんないい日はありませんでした。監督冥利につきる一日だったと思います。アンドレ(ロッテラー)はル・マンでも優勝しているので、それを考えると2連勝ということなので、おめでとうと言いたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

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