SUPER FORMULA Logo

SUPER FORMULA Official Website

JapaneseEnglish

2016 SUPER FORMULA

Round1 Suzuka Circuit

  • Suzuka Circuit
  • 公式予選 4月23日(土) / 決勝レース 4月24日(日)  [43 Laps : 249.701 km]
    鈴鹿サーキット : 5.807 km

Preview

image

新たなる潮流 2016年シーズンは世界が注目する

葉桜が鮮やかさを増し、春本番を迎える4月後半。いよいよ来週末、4月23日(土)〜24日(日)には、三重県・鈴鹿サーキットで2016年の全日本スーパーフォーミュラ選手権が開幕する。シーズンオフから話題の多かった今季はまた、“ヨコハマタイヤ元年”。その初戦を制するのは誰なのか。開幕戦の、そして今シーズンの注目点を確認しておこう。

 今季、シリーズに参戦するのは、昨年と同様、11チーム・19台。日本国内では、このスーパーフォーミュラでしか見ることができないトップドライバー達が名を連ねており、そこが最大の魅力のひとつだ。なんと言ってもまず注目なのは、今季のF1第2戦・バーレーンGPで、急遽フェルナンド・アロンソの代役としてシリーズデビューを果たし、8位入賞を果たしたストフェル・バンドーンの参戦。昨年、F1直下のGP2で圧倒的な強さを見せてチャンピオンタイトルを獲得したバンドーンは、その直後から“今F1に最も近い男”と言われていた。その彼が、F1フル出場前のフィールドとして選んだのがスーパーフォーミュラ。実戦でのレース勘を鈍らせないというのも、その理由のひとつだが、バンドーン自身、昨年末からのテストを通じて、このシリーズのレベルの高さを認めている。
 「ここでは全員がプロドライバーだし、テストで見ていてもタイムが非常に拮抗している。予選でも決勝でも、本当に僅差の戦いになるだろう。コンマ2〜3秒ロスしただけで、グリッドはトップ10以下に落ちてしまうし、すべてを完璧にやらなければ結果は残せない。とにかく今から開幕戦が楽しみで仕方がないよ」。
 すでにF1デビューを果たし、そのデビュー戦でマクラーレン・ホンダにポイントをもたらしたバンドーン。ルーキーとしてフル参戦を果たすスーパーフォーミュラで、噂どおりの力を発揮できるのか、大注目の開幕戦となる。

photo
No.41 ストフェル・バンドーン

 しかしその前に立ちはだかるのが、シリーズでの経験豊富な実力派トップドライバーたちだ。中でも最も経験豊富なのは、2003年、改称前のフォーミュラ・ニッポンにデビューし、今年14年目のシーズンを迎えるアンドレ・ロッテラー。ロッテラーは、2012年に復活したWEC・世界耐久選手権で初年度のチャンピオンとなっただけでなく、世界3大レースのひとつと言われるル・マン24時間レースで3度の総合優勝を誇るドライバー。20歳の頃には、将来のF1ドライバー候補として嘱望され、ジャガーF1チームのテストドライバーを務めていたこともある。彼は、日本でのトップフォーミュラデビュー戦から表彰台に上がり、2年目には初優勝。その後は、毎年のようにタイトル争いを演じてきた。2011年には念願のチャンピオンを獲得。その頃すでに、欧州メーカーのワークスドライバーとして確固たる地位を確立していたが、フォーミュラ・ニッポン、そしてスーパーフォーミュラに対する意欲は全く衰えていない。今年もテストから好調を維持しており、多くのライバルたちにとってベンチマークと言っていいだろう。また、ロッテラーのチームメイトであり、元F1ドライバーの中嶋一貴も、バンドーンにとって超えるべき壁のひとつ。一貴は、国内復帰後、すでにシリーズを2度制しているが、そのスタイルは“静と動”。アグレッシブさとクレバーさを併せ持つスタイルで、窮地に追い込まれた時でも、打開する強さがある。そのため、上位入賞率、ポイント獲得率が高く、参戦開始以降、常にタイトルに絡んできた。今季も、ロッテラーと同様、WEC・世界耐久選手権にトヨタGAZOOレーシングからフル参戦すると同時に、スーパーフォーミュラで3度目のタイトルを狙うチャンピオン候補最右翼だ。

photo
No.36 アンドレ・ロッテラー
photo
No.37 中嶋一貴

 さらに、昨年からこのシリーズに参戦している小林可夢偉も注目すべき存在。周知の通り、可夢偉も一貴と同様、元F1ドライバー。しかも、ザウパー時代には、鈴鹿の日本GPで華麗なオーバーテイクの数々を演じ、表彰台を獲得してみせた実力派だ。スーパーフォーミュラでも去年、優勝こそ果たせなかったが、随所で見せ場を作った。その強さは、レーシングカートからF1までを戦う自身のキャリアの中で培われた適応力と、類まれなるオーバーテイクの才能だ。昨年の場合、多くの国内コースが可夢偉にとって未経験。しかも予選前の走行がわずか1時間ということで、フリー走行では下位に沈むこともあった。だが、可夢偉は予選までに、クルマのセットアップを含めた見直しを行い、多くの大会でQ3まで駒を進めている。こうしたことができるドライバーは、コンマ数秒で戦われる近年のスーパーフォーミュラの中では極めて稀な存在。また、昨年最終戦鈴鹿のレース2では、最後方から追い上げる展開となったが、シケインで“ズバズバ”と前のドライバーたちをオーバーテイク。『近代フォーミュラカーは、スリップに入るとダウンフォースが抜けて、前走車を抜けない』という常識を覆して見せた。もちろん、可夢偉のフォーミュラでの走りが見られるのは、スーパーフォーミュラだけ。一貴と同様、今年からトヨタGAZOOレーシングの一員となり、WEC・世界耐久選手権にも参加することになったが、可夢偉本来の闘志あふれる戦いぶりを堪能するなら、スーパーフォーミュラは絶対にハズせない。

photo
No.8 小林可夢偉

 その他にも、バンドーンと同じホンダエンジンユーザーの中で、2013年にはチャンピオンタイトルを獲得し、今年も常に総合トップタイムを争う存在である山本尚貴や、昨年名だたる実力者たちを真っ向勝負で倒して初の栄冠をもぎ取った石浦宏明、2009年にタイトルを獲得しているジョアオ・パオロ・デ・オリベイラなどのチャンピオン経験者をはじめ、強者がズラリと居並んでいる。これほど実力者が揃ったカテゴリーは、世界でも稀だと言っていいだろう。
 それらのドライバーたちが、ワンメイクのシャシー、タイヤを使用して戦うガチンコ勝負がスーパーフォーミュラ。トヨタ、ホンダで、多少エンジン特性の違いはあるが、その力もほぼ同等と見ていい。そこが、各チームそれぞれ違うシャシー&パワーユニットを使うF1とは、大きく異なる点。スーパーフォーミュラでは、勝利に対してドライバーが占める割合が大きく、まさに実力勝負なのだ。

photo
No.15 山本尚貴
photo
No.1 石浦宏明

 今季の注目ルーキーであるバンドーンのヨーロッパでの評価は、「ミスがなく速い」ということだが、スーパーフォーミュラのトップドライバーたちも同様に、ミスせず速い。その中で、本物の速さ、強さを見せるのが誰になるのか。ハード面ばかりでなく、ドライバー個々の魅力もひとつのポイントとして、開幕戦を楽しんでいただきたい。“コーナーの中ではF1をしのぐ”と言われるそのスピードを体感するためにも、是非サーキットでの観戦をお勧めしたい。

photo