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2016 SUPER FORMULA

Round3 Fuji Speedway

  • Fuji Speedway
  • 公式予選 7月16日(土) / 決勝レース 7月17日(日)
    富士スピードウェイ : 4.563 km

Preview

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ヨメない天候、ヨメない展開

第3戦 富士スピードウェイ・プレビュー

5月下旬、岡山国際サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦は、生憎の強雨のためにセーフティーカーランだけで終了。レースは成立したものの、入賞したドライバーたちが得たのはハーフポイントとなった。
開幕戦鈴鹿大会と合わせて、選手権ポイントとしてはここまで1.5レースしか行われておらず、まだまだ序盤戦といっても過言ではない状況だ。

 約2ヶ月という長いインターバルを経て、いよいよ来週末、7月16日(土)〜17日(日)には、シリーズ第3戦が富士スピードウェイで開催される。例年、この時期は、まだ梅雨明け前。だが、今年は7月に入ってから、各地で猛暑を観測する一方、急激に冷え込む日もあるなど、非常に不安定な天候が続いている。特に、関東では、急激な暑さになったかと思えば、そこにゲリラ豪雨が襲ってくるという状況なども発生している。1週間後の天候がどうなるか、ハッキリ分からないだけに、レースの行方も予測は難しい。
 ただし、どのような気候だったとしても、鍵となってくるのは、今季から採用されたヨコハマタイヤをいかに上手く使いこなすか。どのドライバーも、気温が高くなった時に、このタイヤを装着して走行したことはまだないため、これまでの富士用セットアップで走った時に、同じフィーリングを得られるかどうかというのは、未知の領域だ。
 もし気温が低くなったとしても、読めない部分は多い。富士スピードウェイでは、シーズンオフのテストが行われていないからだ。これまでテスト、レースが行われてきたのは、ハイダウンフォース仕様で走らせる鈴鹿サーキットと岡山国際サーキット。その2つのサーキットでも、昨年以上にタイヤに上手く荷重を載せなければ、好タイムを刻むことは難しかった。
 そうしたサーキットと比べて、ダウンフォースを削っていく富士では、足回りのセットアップをさらに煮詰めて、タイヤからグリップを引き出さなければならないのだ。テスト時期や春先と比べれば、空気密度が低く、元々ダウンフォースも少なくなるため、短い時間でコンディションに合わせ込むチーム力が求められる。

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No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
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No.37 中嶋一貴

 一方、ドライバーたちにとっては、ようやくフォーミュラカーのコクピットに戻れるということで、心弾む週末でもある。ここまでの2戦で、上位につけているドライバーたちはもちろん、納得の行く成績が出ていないドライバーたちも、“夏場に巻き返しを図る”という強い決意で富士に戻ってくる。
 中でも、開幕戦、第2戦と、余りにも不本意な結果に終わり、勝利に向けての闘志を燃やしているのが、ITOCHU ENEX TEAM IMPULのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラだろう。オリベイラは、開幕戦の決勝で、非常に力強いレースを見せたものの、予選Q1でのスピンによる下位グリッドからのスタートが響いてノーポイント。第2戦では、フロントロウを獲得していたにも関わらず、決勝はセーフティーカーラン中に電気系トラブルに見舞われリタイヤしているのだ。
 その悔しさを跳ね返すためにも、富士では優勝が欲しいところ。ITOCHU ENEX TEAM IMPULは例年、夏場の富士ともてぎで強い。今回もそれと同様の結果が出せるのか、注目だ。

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No.16 山本尚貴
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No.10 塚越広大

 また、オリベイラと同様、ここまで納得の行く結果を出せていないのが、VANTELIN TEAM TOM'Sのアンドレ・ロッテラーと中嶋一貴。これまで何年もタイトル争いの中心人物となってきた2人だが、今季は開幕戦、第2戦ともに、揃って予選Q3に進めないという想像できなかった程の波乱の展開となっている。ドライバー2人の声を聴くと、開幕前のテストでは何も問題がなかったということだが、シーズンが始まってからはニュータイヤでのピークグリップを上手く使い切れていないと言う。今回の富士では、その点を改善できるかどうかに注目だ。
 また、現在使用しているタイヤは、決勝での「安定性」と「持ち」が良い。完全ドライの場合は、タイヤに過酷と言われている富士でも、無交換が主流になると見られている。そうなると、ピット作業での逆転は難しく、予選から上位争いをしなければ、優勝や表彰台獲得は遠のくのだ。ITOCHU ENEX TEAM IMPUL同様、VANTELIN TEAM TOM'Sも富士は得意としているだけに、巻き返しに期待がかかる。
 これは、SUNOCO TEAM LEMANSも同様。特に、開幕からの2戦は、小林可夢偉が苦しい戦いを強いられているが、そろそろ上位進出を果たしたいところだろう。

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No.8 小林可夢偉
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No.1 石浦宏明

 一方、ここまでランキングトップを維持しているのは、開幕戦をポール・トゥ・ウィンで制したTEAM無限の山本尚貴。だが、山本も、第2戦では予選6番手と、抜群の仕上がりだったわけではない。そういう意味では、まだ“余裕がある”という状況ではなく、今回の富士からさらに気を引き締めて臨むことになるだろう。同じホンダエンジンユーザーのDOCOMO TEAM DANDELION RACINGやNAKAJIMA RACINGなども、常に上位を争えるポテンシャルを見せているだけに、侮れない存在だ。また久々に揃って表彰台に立った塚越広大と伊沢拓也のREAL RACINGも然り。この勢いを持続するためにプッシュしてくることは間違いない。

 さらに、今年もいよいよ本調子を発揮してきているのが、ディフェンディング・チャンピオンのP.MU/CERUMO・INGING 石浦宏明。開幕戦では予選の不運もあり、上位進出はならなかったが、第2戦ではキッチリPPをゲット。チームメイトの国本雄資も、開幕からの好調を維持して、ここまでランキング2位につけている。流れや勢いではなく、ここまでの戦いを見る限り、P.MU/CERUMO・INGINGの力は本物。いち早くヨコハマタイヤの特性を掴んだのではないかとも見られている。ホームコースの富士で、ランキングトップの山本に迫れるかどうかというのも、見所のひとつだ。

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No.41 ストフェル・バンドーン
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No.64 中嶋大祐

 首都圏や関東周辺のファンの方々にとっては、今年初めて現場で目にすることになるスーパーフォーミュラ。まずは、その迫力に酔いしれていただきたい。


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