2016 SUPER FORMULA
Round4 Twin Ring Motegi
- Twin Ring Motegi
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公式予選 8月20日(土) /
決勝レース 8月21日(日)
ツインリンクもてぎ : 4.801 km
Race
No.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がブッちぎりで自身初優勝!!
No.20 関口雄飛
予選日は時折雨が降るような不安定な天候となったツインリンクもてぎ。決勝日となる8月21日(日)も前日までは同様の天気予報が出されていたが、いざ夜が明けてみると、朝から夏空が広がり、終日ドライコンディションとなった。汗ばむコンディションの中で決勝レースは行われ、予選で自身初のPPを獲得したNo.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が見事なスタートを決め、そのまま独走優勝。激しいポジション争いを制して、No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)が今季初の2位表彰台を獲得、スタートで大きく出遅れたNo.1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が3位表彰台を獲得した。
気温33℃、路面温度40℃というコンディションの下、午後3時にフォーメーションラップがスタート。今回はミディアムとソフト、両スペックのタイヤを使用しなければならないルールだったが、スタート時には3分の2ほどのクルマがソフトを選択。10番手グリッドのNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、11番グリッドのNo.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)、12番手グリッドのNo.10 塚越広大(REAL RACING)、13番手グリッドのNo.4 ウィリアム・ブラー(KONDO RACING)、14番手グリッドのNo.8 小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)、15番手グリッドのNo.65 ベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)の6台だけが、ミディアムタイヤでのスタートを選択した。
1周の隊列走行を終えて、全車が正規グリッドに付くと、いよいよシグナルレッドからブラックアウト。正式スタートが切られる。ここで最高の蹴り出しを見せたのがPPの関口。“練習ではなかなか上手くいかなくて不安もあった”という関口だが、本番のスタートでは抜群のクラッチミートを見せた。これに対して、スタートに定評がある石浦は、出遅れる。それを後方からかわしたのが、No.40 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とロッテラーだった。だが、野尻は1コーナーへのアプローチでブレーキをロックさせる。そこを突いて、ロッテラーが2番手に浮上した。これに野尻、石浦、No.2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、No.3 ジェームス・ロシター(KONDO RACING)、No.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)、さらに、今回もスタートでポジションを上げた一貴と続く。予選8番手だったNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)は、スタートこそ決まったものの、前方のクルマに突っかかる形となり、若干減速しようとした時にステアリングのピットロードリミッターに指が当たって急減速。それを解除して前に追いつこうとした際に、頑張り過ぎて1コーナーでコースアウトしてしまった。
No.36 アンドレ・ロッテラー
トップに立った関口は、1周目から2番手以下を突き放す。オープニングラップを終えたところで、ロッテラーに対して2秒4余りの差をつけると、そこからはどんどんギャップを築き、10周を過ぎるとすでに5秒以上のマージンを稼いでいた。その後方では、わずか5周目に波乱が発生。3番手を走行中だった野尻が、突然スローダウンしピットに入る。電気系の問題から、シフトチェンジができなくなったためだ。また、8周目にはオリベイラも全く同じ症状に見舞われ、ピットイン。ステアリングを交換したが、症状は改善されず、そのままマシンを下りた。一方、前方集団では、野尻がピットに入ったことで、石浦が3番手に浮上。ここから、石浦は4秒余りあったロッテラーとの差をジワジワと詰めて行く。15周を過ぎたところで、その差はいよいよ1秒を切ってきた。
ちょうどその頃、中団のドライバーたちはルーティンのピット作業を開始。まず12周を終えるところで最初にピットに入ってきたのは、No.7 ナレイン・カーティムヤン(SUNOCO TEAM LEMANS)だったが、左フロントタイヤのナットがなかなか外れず、大きなタイムロスを強いられることになった。この翌周、ピットに入ったのは一貴、塚越、No.34 小暮卓史(DRAGO CORSE)。一貴と塚越はミディアムからソフトへ、小暮はソフトからミディアムへとタイヤ交換してコースへと戻って行く。ピットイン前、一貴はミディアムで最も速いラップを刻みながらの走行。ここからソフトで追い上げて上位に進出する作戦だった。その作戦通り、コースに戻った一貴は好タイムを連発。だが、間もなく前方の集団につかまる形となり、思い通りの追い上げは叶わなかった。
No.1 石浦宏明
レースを折り返すと、27周を終えようというところで、山本がピットイン。山本はスタート直後のコースアウトからコース上での挽回を見せていたが、チームのピット作業も秀逸。わずか12秒3のストップで給油とミディアムタイヤへの交換を終えてコースに戻る。この結果、入賞圏内まで戻って来ることに成功した。 そして、30周を終えると、いよいよ上位陣もピットイン。まずは34周を終えようかというところでトップの関口がピットロードに滑り込む。すでに2番手のロッテラーに対して10秒以上のマージンを持っていたため、チームは確実な作業でタイヤをミディアムに交換。関口を再び送り出した。さらに、36周を終えるところでロッテラーとロシターがピットイン。ロシターは左リヤタイヤの交換に手間取ってタイムロスし、No.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の先行を許す。その翌周には石浦がピットへ。ここでロッテラーを逆転する作戦だった。ところが、ロッテラーはアウトラップで怒涛のプッシュ。通常であれば、前でピットアウトできるはずの石浦よりも前にコントロールラインを通過し、石浦の目論見は崩れることとなった。一方、一旦バンドーンの先行を許したロシターも39周目の1~2コーナーでバンドーンを抜き返して、5番手に浮上した。
一度も首位を譲り渡すことなく、大きなギャップを築いた関口は、終盤に入ると若干ペースダウン。タイヤやブレーキを労わりながら、クルマをゴールへと運ぶ。それでも最終ラップのバックストレートエンドでは、勝利を確信したのか、観客席に手を振る場面も。その後も危なげなく走り切り、シリーズデビューからわずか4戦目にして自身初優勝を飾った。これに続いたのは、終盤再び追い詰められながらもポジションを守り切ったロッテラー。さらに石浦と続いた。4位には国本、5位にはロシター。ここまではトヨタエンジンユーザーとなり、ホンダエンジンユーザートップは6位となったバンドーン。さらに、作戦通りにポジションを上げられなかった一貴、大きく挽回を果たした山本までがポイントを獲得した。
今日のレースの結果、関口はPPと優勝の11ポイントを加えて、シリーズランキングでもトップに躍り出る。だが、ここに僅差でロッテラー、石浦、国本、山本と続いており、チャンピオンシップ争いは、この後も激しい戦いとなりそうだ。
No.20 関口雄飛
記者会見
2位 No.36 アンドレ・ロッテラー / 星野一義 優勝チーム監督 / 優勝 No.20 関口雄飛 / 3位 No.1 石浦宏明
- イージーに勝てました。本当にチームに感謝しています
優勝
昨日の予選から引き続き、チームに助けられました。予選では戦略、クルマとも最高で、ポールポジションを獲ることができました。今日のレースですが、僕はスタートが苦手なので、まずそれだけ決めれば前回の富士でお見せしたように、たとえ(後続より)1秒遅くても抜かれないという自信がありました。なので、絶対1コーナーだけは前に行きたいと思っていました。実際そのとおりになったし、あとはクルマがすごく速かったし、何の心配もなく、イージーに勝てました。本当にチームに感謝しています。
No.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
週末をとおして多くスタート練習をやっていたのは、そこを重点的にやらないと他の人に追いつけないと思っていたからです。シリーズランキングのことを考えると、相手次第ではありますが、ここで勝ったらランキング1位になれるだろうと思ったんです。ここで失敗したらいつもの自分になってしまうし、勝つことで自分のレース人生を大きく変えられる1戦になると思ったので、今回は男を見せないと! と、自分に言い聞かせました。いいスタートを切らなくてもいいから、普通のスタートを切ろうと。隣が石浦選手だったのですが、(スタートで)並ばれてもいいから普通にスタートを切ろうと思いました。でも実際は意外と良かったですね(笑)。
チャンピオンシップではランキング10位からトップに立ったのですが、今年は混戦だし、チャンピオンを狙っていきます。ただ、まだ最終戦までレースはいくつもあるので、最終戦になったらポイントもライバル選手のことも考えてレースをしますが、とりあえずは次のレースで勝つことだけを考えます。意識するのは、最終戦のひとつ前くらいから。もし、結果がついてきていたら(タイトル争いを)意識して戦いたいと思います。- 僕にとって2位の結果は満足できる
2位
まずは関口選手の初優勝におめでとうを言います。彼はすばらしい走りを見せたと思うし、これからも頑張って欲しい。僕にとっての今日のレースは、スタートも良かったし、順位も上げることができました。それに野尻(智紀)選手がロックアップさせたこともあって、2位に上がりました。そのまま順位をキープすることになったので、レースは正直ちょっと見た目退屈だったかもしれません。でも僕にとって2位の結果は満足できるものです。
No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)
レースでは、関口選手のソフトタイヤでのペースが速く、たぶん彼らは1ヶ月前のテストでのデータを活かすことができたんだと思います。レース中はタイヤマネージメントに気を使うことが多かったのですが、ちょっとプッシュしすぎたところもあったかもしれません。ただ、中盤以降はタイヤが安定してきた中、ブルーフラッグにひっかかることもありました。ピットインが予定よりも早くなったものの、装着したミディアムタイヤで順調に走っていたのですが、終盤最後の5周でタイヤグリップはなくなってしまったので、ポジションキープで頑張りました。
チャンピオン争いのことを考えたら、残りのレースすべてを勝つのが理想ですが、そううまくは行かないし、簡単ではないでしょう。僕らはどんどん結果を出せるようになってきているので、これからは速い選手らとタフな選手権になると思いますが、ベストを尽くしていきたいです。- シーズンを考えるとすごく前向きな結果に終わって良かった
3位
スタートを決めてトップに立ちたかったのですが、練習ではうまくいっていたスタートが、本番で動き出しが悪く、(グリッドの)イン側もあまりグリップ感がなくて、その影響で何台か前に出られてしまったことは大失敗でした。
No. 1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)
ただクルマはすごく速かったし、前にクルマがいなければもっと速いペースで走れたと思います。最後、(ルーティンワークで)ピットに入ったあとは前のアンドレとの差が開いてしまいましたが、その後は1分36秒の真ん中でラップを重ねることができたので、ポテンシャル自体は高かったと思います。金曜日の走行時には、トップとの大きな差を感じていたんですが、チームでその差をどうやって詰めようかとやっていき、着実に差を詰めていけたという自信があったし、決勝前のウォームアップでの手応えで追いついたというか、戦えるという自信を持ちました。今回、僕らはうまくタイヤを使いこなせてなかった部分があったのですが、それもうまくいって、やっている方向が正しいということを確認できただけでもシーズンを考えるとすごく前向きな結果に終わって良かったなと思います。
去年はシリーズのことを考えながら1戦1戦やってきたので、結構苦しかったのですが、今年は一切考えず、楽しいレースをしています。なので、ノープランで戦っていくことになると思います。それよりもチーム毎にクルマの仕上がりなどで差が出てきているので、まずは負けないように仕上げて自分がミスしないレースをして、勝ちを狙っていけばチャンスが増えるのかなと思います。- 最高のパフォーマンスを引き出してくれた
優勝チーム監督
本当にありがとうございます。チームミーティングでは、“七三(しちさん)”(7対3の割合)位で、スタートでは関口がトップで入れないんじゃないかっていう話になったんです(笑)。だからなにかあればフォローできるようにと、ピットワークの練習をものすごくしました。もしそうなった場合は、(アンドレ・)ロッテラー選手と石浦(宏明)選手の後ろについて、(ピットインは)ふたりの前に絶対入らないように、ってしていたんですが、全然裏切られたね。スタートがうまくいって、びっくりしています。
星野一義 監督(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
(スタートでは)石浦選手が多分行くと思ってたんですが、本番で失敗したようだし。レースってツキもあるんですが、その中で最高のパフォーマンスを引き出してくれたので、ホッとしています。