2016 SUPER FORMULA
Round7 Suzuka Circuit 15th JAF GRAND PRIX SUZUKA
- Suzuka Circuit
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公式予選10月29日(土) /
決勝レース10月30日(日)
鈴鹿サーキット : 5.807 km
Preview
近年まれに見る大混戦!勝利の女神は誰に微笑むのか!?
第7戦 鈴鹿サーキット・プレビュー
4月に開幕した今年度の全日本スーパーフォーミュラ選手権もいよいよ最終戦。近年まれに見るほど混戦となっているタイトル争いも、10月29日(土)~30日(日)、“モータースポーツの聖地”と呼ばれる鈴鹿サーキットで決着の時を迎える。
今年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は、“ヨコハマタイヤ元年”。その結果、これまでとは勢力図がかなり変わっている。この中で、やはり一気に注目を浴びる存在となったのは、現在のポイントリーダーであるルーキーの関口雄飛だ。開幕戦では予選3番手を獲得しながらスタートで出遅れたが、第3戦・富士では初の表彰台を獲得。続く第4戦・もてぎではポール・トゥ・ウィン、さらに前戦のスポーツランド菅生では、国内トップフォーミュラの歴史に残る感動的な走りを展開した。セーフティーカーの導入で、築いたマージンを全部吐き出し、一旦は諦めかけた勝利。だが、コース上でマージンを再び築いた関口は、結局一度もトップを譲ることなくポール・トゥ・ウィンで2勝目を挙げたのだ。その結果、現在28ポイントでランキングトップとなっている。その関口が、このままリードを守って、ルーキーイヤーにして初タイトルを獲得するのか。今回の最終戦で第一の見所となるのは、彼の走りだ。だが、これまでの歴史を振り返っても、ルーキーイヤーにタイトルを獲得したドライバーはほとんどいない。圧し掛かってくるタイトル争いのプレッシャーが、知らぬ間にドライバーの緊張を呼ぶということもあるからだ。関口は、プレッシャーには強いタイプのドライバーだが、最終戦ではライバルと戦う前に、自分との戦いに打ち克たなければならない。
No.20 関口 雄飛
No.20 関口 雄飛
これに続いて最終戦での注目ポイントとなるのは、やはりルーキーのストフェル・バンドーン。バンドーンは、開幕戦で早くも表彰台に上がり、第3戦富士ではポールポジションを獲得。来季から、F1マクラーレン・ホンダのレースドライバーになることが発表された翌週の第5戦岡山ではレース1で優勝を果たした。現在でも関口とは9ポイント差のランキング6位につけている。本人は「タイトル争い以上に、スーパーフォーミュラ最後のレースだから、楽しみたい」とも言うが、やはり1年を勝利で締めくくりたいところ。何も失うものがない彼が、鈴鹿でどんな走りを見せて去って行くのか。日本のファンの皆さんには、目に焼き付けておいてもらいたい。
No.41 ストフェル・バンドーン
さて、こうしたフレッシュな顔ぶれに対して、“ストップ”をかけようと狙っているのは、タイトル経験者の面々。特に、ランキング3位につけているアンドレ・ロッテラーと、4位につけている中嶋一貴は、不気味といってもいい存在だ。今季、ヨコハマタイヤになってから、チーム・トムスはニュータイヤ装着時にこれまでほどの速さを見せていない。予選ポジションが大きく物を言うスーパーフォーミュラにおいて、つまり非常に難しい状態で戦ってきた。2人とも今季ここまで未勝利という結果を見ても、彼らがいかに予選で苦労してきたかが分かる(もちろん岡山では一貴がポールを獲得しているが、それをフイにしてしまった)。だが、それでもランキング3位、4位につけているというのは、いかにチームとして強いか、ドライバーがレースに強いかということを表している。前戦スポーツランド菅生終了後に、一貴は「まだトップと8ポイント差だったら、引っ繰り返すことも可能ですね」と、サラッと言ってのけたが、それだけ自分たちに自信を持っているということだ。もしチーム・トムスが最終戦の予選で高パフォーマンスを見せれば、関口にとっては怖い存在となるだろう。
No.36 アンドレ・ロッテラー
No.37 中嶋 一貴
また、今や“鈴鹿マイスター”となっている山本尚貴の存在も気になる。開幕戦、同じ鈴鹿でブッちぎりのポール・トゥ・ウィンを決めた山本は、昨年の最終戦レース2でも速さ&強さを見せた。過去を振り返ると、自身初PPを奪ったのも鈴鹿。とにかく鈴鹿では、他のドライバーが持っていない“何か”を持っている。今季は、その他のサーキットで苦戦気味だったが、有終の美で1年を終えたいはず。“ホンダのエース”として、F1に昇格していくバンドーンを下してシーズンエンドを迎えたい気持ちは誰よりも強いはずだ。チームとしても、鈴鹿に向けては充分な自信がある。それだけに、山本のアツい走りが期待される。
No.16 山本 尚貴
No.16 山本尚貴
さらには、現在ランキング2位につけている国本雄資、バンドーンと同じ6位につけているディフェンディング・チャンピオンの石浦宏明も、どう巻き返してくるか注目だ。好調だった岡山に続く前戦菅生では、なぜか2人揃って予選から上位争いに加われなかったが、鈴鹿ではどうなのか? 中でも、昨年大苦戦した国本が、今年は流れを掴んでおり、自身にとって初の優勝も経験。関口とはわずか4.5ポイント差につけているだけに、このチャンスを活かしたい気持ちは強いだろう。彼がこのまま勢いに乗れるかどうかは、金曜日の練習走行を見ればある程度分かるはずだ。
No.2 国本 雄資
No.2 国本 雄資
上述のように多くの役者が揃っている全日本スーパーフォーミュラ選手権最終戦。伝統あるJAFグランプリのタイトルも懸けられているこの大会は、例年のように2レース制で行われる。予選はノックアウト方式で、Q1の結果がRace1のグリッドに、Q3まで戦った結果がRace2のグリッドとなる。そのため、“Q1は通過するだけでいい”という走りは容認されない。誰もが、Q1から全開アタックを演じるはずだ。これはレースウィーク中でも第一の白熱ポイント。中にはQ1にニュータイヤを2セット投入するドライバーもいるだろう。そして、これが番狂わせになる可能性もある。またQ1で番狂わせが起きると、その影響がQ3にまで及ぶ場合も。いずれにせよ、他の大会以上に予選が重要となってくる。特に、両レースのPPに与えられる1ポイントは、タイトル争いの上でも非常に重要なだけに、争いは自ずと激しくなるだろう。
決勝レースは、日曜日の午前中にピット作業がない、スプリントのRace1。午後からタイヤ交換義務付けありのRace2が行われるが、いずれも最大の注目ポイントはスタート。鈴鹿は1コーナーに向けて下り坂となっているため他のサーキットとは勝手が違う。F1でも鈴鹿ではミスするドライバーが見られるが、スーパーフォーミュラでもスタートの良し悪しは重要だ。Race1の場合は、スタートが結果の大部分を占めると言っても過言ではないだろう。だが、Race2はスタート以外の要素もある。ピットインのタイミングと、ピット作業の早さ。あとは、ドライバーたちのインラップとアウトラップの速さだ。第5戦岡山のRace2の国本のように、たとえ上位を走っていたとしても、オープニングラップを終えただけでピットに入るドライバーも出てくる可能性は高いが、その裏を読むチームも出てくるはず。最後は一体どんな結末を迎えるのか。筋書きのないドラマだけに、チェッカーが振られるまで、結果は誰にも分からない。だからこそ、このドキドキとワクワクは、ぜひ現場に足を運んで見ていただきたいものだ。