フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第4戦の決勝(17周)は、5月17日(日)の午前8時30分過ぎに全18台の車両が参加して始まった。昨夜までの雨でコースの路面はまだ乾ききっていなかったものの、新装なった鈴鹿サーキットには薄い雲をとおして日も差しており、全ドライバーがスリックタイヤを装着してコースへ出て行った。
レッドシグナルが消灯すると、予選2番手のNo.3 金井亮忠が抜群のダッシュで首位に立ち、ポールシッターのNo.12 松本武士、予選3番手のNo.11 元嶋亮二、予選5番手のNo.4 佐々木大樹、予選4番手のNo.9 野尻智紀を引き連れて第1コーナーへ進入した。その後続集団には早くも混乱が発生。予選6番手のNo.15 服部竜也が第1コーナーでNo.13 川村和希と接触してスピン、これにNo.1 中山雄一とNo.6 イゴール・スシュコが巻き込まれ、中山以外の3台はリタイヤ。130RではNo.2 石井一也がコースオフ、1周目で早くも4台が戦列を離れた。一方、再スタートした中山もフロントノーズにダメージを負い、ピットに戻ってノーズ交換を余儀なくされる。
上位争いに目を向けると、金井は前日のレース同様に2番手以降をじりじりと引き離しつつあった。ところがやはり前日のレース同様、5周目をすぎた頃から2番手以降の追撃を金井は受け始める。松本と元嶋は2番手争いを演じながら、佐々木と野尻は4番手争いを演じながら、いずれも首位を行く金井とのギャップをみるみるうちに縮め始めた。さらには、予選17番手のNo.16 蒲生尚弥と予選18番手のNo.5 銘苅翼が最後列からのごぼう抜きで、上位集団に接近し始めた。
11周終了時点の順位は金井、松本、元嶋、佐々木、野尻、No.18 大谷涼、蒲生、銘苅。しかも、首位の金井から8番手の銘苅までは10秒以内の差しかない接近戦となっていた。そして12周目からレースがにわかに動き始めた。まず、5番手の野尻がペースの上がらない4番手の佐々木を、300Rからスプーンにかけてのサイドバイドサイドの末に攻略。2番手の松本はシケインの突っ込みで首位の金井に仕掛けるも、これは失敗に終わって3番手の元嶋にいったんは先行を許した。しかし、13周目のヘアピンで松本は元嶋から2番手の座を奪還し、再び金井を追撃する態勢に持ち込んだ。
このままレースはチェッカードフラッグを迎えるかという雰囲気の中で迎えた16周目、3番手を走りFCJ初表彰台獲得も目前にあった元嶋が、デグナーでコースアウト。そのままリタイアとなり、野尻が3番手に浮上した。また、その背後で6番手争いを激しく繰り広げていた銘苅と蒲生が、17周目の第2コーナーで接触。蒲生はその場で車両を止め、銘苅は順位を落としながらも再び戦列に復帰した。
金井と松本の接近戦は最終周まで続いたが、0.973秒差で金井が逃げ切り、第3戦に続く連勝を飾った。松本は2位となりFCJ初の表彰台獲得。野尻が第3戦に続いて3位となった。以降、4位は佐々木、5位は大谷涼、6位はNo.10 朱戴維となった。
なお、第3大会(第5戦&第6戦)は、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンや全日本F3選手権とともに、5月30〜31日に栃木県のツインリンクもてぎで開催される。
優勝:金井亮忠
「今日は路面が濡れていて滑りやすいグリッドでレースを迎えましたが、得意のスタートダッシュで首位に立てました。序盤の数周で逃げられたのが、このレースの勝因だったと思います。ただし、その後のペースはあまり上がりませんでした。スタート(だけ)の金井と言われないように、次のレース以降を戦いたいと思います」
2位:松本武士(東京中日スポーツ賞受賞)
「ポールポジションを獲得していたにもかかわらず、スタートでは金井選手に前へ行かれてしまいました。レース終盤にはペースの落ちていた金井選手に追いつき、シケインで仕掛けたのですが、そこで抜けずに逆に離されてしまったことが敗因だと思います。元嶋選手に背後から迫られていたので、早く前の金井選手を抜いて楽になっておきたいと、焦ってしまった結果です」
3位:野尻智紀
「自分自身のペースはよかったと思います。しかし、今日は運よく3位になれただけでしたし、第3戦もこの第4戦も本来なら勝てるレースだったので、とても悔しく思います。次のレースまでに金井選手からスタートを教えてもらおうと思います(苦笑)」