2011 Formula NIPPON
2010年 最終戦
いよいよ5月14、15日に開幕する2011年の全日本選手権フォーミュラ・ニッポン。その舞台となるのは、これまで数々の名勝負が繰り広げられてきた三重県、鈴鹿サーキット。昨年のチャンピオンであるNo.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)をはじめ、No.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)、No.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)の有力タイトル候補、そしてNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)など期待の新鋭、もちろんNo.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)ら初勝利を狙う若手の活躍は…。ファン待望の開幕戦は、もう間もなくだ。
No.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
鈴鹿は、世界でも屈指のテクニカルコースとして、F1ドライバーからの評価も非常に高い場所。低速から中速、高速とあらゆるタイプのコーナーがちりばめられており、チームの総合力が試されるサーキットと言われている。鈴鹿は大きく2つに分けられ、東コースは1〜2コーナーから始まり、S字、逆バンク、ダンロップ、さらにはデグナー1&2と、コーナーが連続している区間。後半とも言える西コースは、ヘアピンを立ち上がってから、スプーンコーナーを経て、バックストレート、130Rと続き、高速区間と呼ばれている。この鈴鹿でハイレベルなラップタイムを出すためには、マシンのセットアップが決まっていなければならない。中でもポイントとなるのは、S字コーナー。この区間を速く走れるマシンを仕上げられれば、他のコーナーでもいいペースを保てるというのがセオリーだ。一方、後半セクションで重要になってくるのは、やはりストレートスピード。トヨタとホンダによるエンジン対決も見所のひとつとなっている現在のフォーミュラ・ニッポンでは、スプーン立ち上がりからのピックアップと最高速もポイントのひとつと言っていいだろう。
No.36 アンドレ・ロッテラー
もちろん、この点はシケインからメインストレートにかけても同じことが言える。さらに、オーバーテイクポイントが複数あるというのも、鈴鹿の魅力だ。よく見られるオーバーテイクシーンとしては、まず1コーナー。もちろん状況によって異なってくるが、ここではセオリー通りのイン側から、あるいは“大外狩り”と呼ばれるアウト側からの豪快なオーバーテイクがたびたび演じられる。
さらに、ヘアピンやシケインなどもオーバーテイクポイント。高速コーナーでは、どのクルマもそれほど大きなスピード差が出ることはなく、オーバーテイクも非常に難しいが、低速コーナーの場合には、“ブレーキングで刺す”というシーンがよく見られる。鈴鹿で言えば、それがヘアピンとシケインに当たるのだ。特に、シケインに関しては、ドライバーによって得意・不得意が分かれる場所なので、その分、オーバーテイクシーンも多く見られる。
No.32 小暮 卓史
さて、そんな鈴鹿の初戦を制するのは、誰なのか。鈴鹿でのテストは震災の影響で、3月11日の1日だけで終わった。このテストで他を圧倒したのは小暮卓史だったが、その好調を維持したまま、開幕戦でも韋駄天ぶりを見せるのか。あるいは、5月に入って気温が高くなってきたことで、ライバルたちがこれに肉薄してくるのか。
そのあたりは、開幕戦の公式日程を前にした、5月11日(水)〜12日(木)の2日間に行われる合同テストがひとつの目安となる。また、レースフォーマットもポイントのひとつ。タイヤ交換(4輪同時)の義務付けはあるものの、給油義務付けはなし。レース距離は220kmだが、これは満タンで走り切れるかどうかという微妙な距離でもある。ここでタンクを軽くしてラップタイムを上げ、給油する作戦を選ぶのか。あるいは無給油を選ぶのか。この点も、レースの行方を左右することになるだろう。
とにかくシリーズを制するためには、ここで勝って勢いを付けたいというのが、どのドライバーにとっても本音であり、目指すところでもある。その分、火花がバチバチ散るような激しいバトルを見られるのは、間違いないだろう。
No.37 中嶋 一貴
No.40 伊沢 拓也