2011 Formula NIPPON
2010年 第6戦
開幕戦鈴鹿での興奮もまだ残る中、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第2戦オートポリス(大分県, 6/4-5)が間近に迫ってきた。衝撃の初ポールを手にしたNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)、そして白熱のトップ争いを演じたNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)。決勝で実力を垣間見せたNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)。悔しい開幕戦となった2010チャンピオン、No.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)。彼らがハイスピードコーナーの連続するオートポリスで、どんなバトルを見せてくれるだろうか?
No.32 小暮卓史
オートポリスは九州唯一の国際サーキット。阿蘇山麓に位置し、近隣には牧場や見晴らしの良い高原などがあり、風光明媚なロケーションだ。さてコースレイアウトだが、全長は4.674kmと長め。中高速で回り込むチャレンジングなコーナーが多く、パワフルな走りを好むドライバーには好まれる。また、山間のコースだけに高低差があり、特に下ってのコーナリング、中でも第2ヘアピンから“ジェットコースター”ストレートを経て挑む右60R、90Rは歴戦のドライバーにとっても度胸とテクニックが必要な、そして観客から見れば迫力の走りを味わえる。
オートポリスのもうひとつの特徴と言えば、独特な路面だ。『ヨーロッパのサーキットに似ている』とドライバーが口を揃えるように、粘り着くような鈴鹿、富士とは違い、ややスリッピーでタイヤの摩耗も激しい。つまり“タイヤに厳しい”コースである。ドライバーや彼らをサポートするエンジニアには嫌な部分だが、タイヤを使うテクニック、そしてピットインのタイミングなど勝負を左右する面でもあるだけに、ここにも注目するとレースがよりおもしろくなるだろう。
No.37 中嶋一貴
オートポリスは抜きどころが多いコースだと言われる。その中でも一番のパッシングポイントと言えば、やはり1コーナー。もう少し詳しく言うと、1コーナーの突っ込みと、次の2コーナーへのアプローチ。ここも下りながら、加速しながら、という腕を問われるポイントである。
パッシングポイントではないが、後半の上りセクションのライン取りを見るのもおもしろい。峠のワインディングロードのように右左へとテクニカルなコーナーが続くだけに、ここはドライバーやセッティングによって走るラインが変わってくる。そしてバトルとなれば最終コーナー後のメインストレートで、スリップストリーム(前を行くマシンの背後に入って、風圧を減らし、追い抜きし易くする)やオーバーテイクシステムをより良く使うための位置取りの駆け引きも見られるだろう。
昨年のオートポリス戦を制したのはアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)だが、今大会は欠場する。しかし、一昨年の勝者、No.32 小暮卓史やディフェンディングチャンピオンのNo.1 デ・オリベイラ、そしてオートポリスを得意とするNo.2 平手晃平(TEAM IMPUL)、No.8 石浦宏明(Team KYGNUS SUNOCO)などが中心となっておもしろいレースを展開してくれるだろう。
そして、開幕戦で活躍したNo.16 山本尚貴や欧州で鍛えられたNo.37 中嶋一貴もフォーミュラ・ニッポン初優勝を狙い挑んでくるはず。今回、ロッテラーの代わりに36号車をドライブする井口卓人(PETRONAS TEAM TOM'S)も、今季はレギュラーシートを失しているだけに、ここでアピールをと意を決してくるはずだ。
No.16 山本尚貴
No.2 平手晃平
今大会はレース距離250km。タイヤ交換は義務づけだが燃料給油は無くてもいい。コースレイアウトから無給油は難しいだろうが、予選で下位に甘んじたチームはギャンブルに出ることもあるかもしれない。また、鈴鹿の中嶋一貴のように早めのピットインという作戦は十分あり得る。ただ、タイヤに厳しいコースだけに、路面温度が高くなるなど状況によっては裏目に出る可能性も。何にせよ、ドライバーのテクニックはもちろん、レース戦略、ピットワークなどチームの総合力が問われる一戦となるはずだ。
そしてチャンピオンシップを考えた場合、序盤戦での勝利、上位入賞はタイトル争いを優位に進めるためにも必須だけに、各ドライバーも意欲的に挑むだろう。この第2戦オートポリス。まさにフォーミュラ・ニッポンのおもしろさが存分に詰まったレースなのだ。