2011 Formula NIPPON
No.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
8月7日(日)、ツインリンクもてぎ(栃木県)で2011年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第4戦の決勝レースが行われた。No.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)が、ポールポジションから今季初勝利を挙げた。2位はNo.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)、3位にはNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が入賞した。
No.36 アンドレ・ロッテラー
ピットウォークが終わる頃までは強い陽射しが出ていた、この日のもてぎ。だが、フォーミュラ・ニッポンのマシンがダミーグリッドに着く頃になると、空は厚い雲に覆われた。それでも、気温は33℃、路面温度は43℃と、非常に暑いコンディションに変わりなく、ムッとするほど湿度が高かった。そんなコンディションの中、午後2時30分に、フォーメーションラップがスタート。1周の隊列走行を終えると、いよいよ正式スタートが切られる。ここで若干動き出しが鈍ったのは、ポールポジションのNo.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)。1コーナーの入り口までには2番手スタートのNo.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)がイン側から並びかけようとするが、デ・オリベイラもブレーキを最大限遅らせて、その攻略を阻止した。このフロントロウの2台以上に、今回いいスタートを決めたのは、予選3番手のNo.41 塚越広大(DOCOMO DANDELION RACING)。塚越はデ・オリベイラの攻略をできなかったロッテラーに、1〜2コーナーでアウトから並びかける。しかし、やはり攻略はならず、3番手で2コーナーに入っていくことになった。
中団から後方のマシンは、レース序盤からピットに入るマシンがちらほら。オープニングラップを終えると、No.8 石浦宏明(Team KYGNUS SUNOCO)がまずタイヤ交換のためにピットイン。その翌周には、No.33 国本雄資(Project μ/cerumo・INGING)がやはりピットに入った。その後、6周を終えたところでNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)、7周を終えたところではNo.31 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)、8周を終えたところでNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)がピットイン。山本は右リヤタイヤがなかなか外れず、ここで大きくタイムをロスすることになった。これに対して、タイヤ交換後に好タイムを連発して見えないギャップを削っていったのが、中嶋一貴だった。
No.No.37 中嶋一貴
一方、トップの2台は、スタート直後から飛ばしに飛ばし、1分38秒台前半のタイムを連発。お互いに一歩も引かないバトルを展開した。そこから少しずつギャップを築いていったのは、デ・オリベイラ。その差は、17周を終えたところで5秒余りまで開いた。そして、18周を終えたところでまずは2番手を走行していたロッテラーがピットイン。タイヤ交換だけでなく、給油を行ってコースに戻る。ピットでの静止時間は14秒5。これを見て、翌周にはトップのデ・オリベイラもピットイン。やはりタイヤ交換と給油を行なった。静止時間はロッテラーと全く同じ14秒5。その結果、デ・オリベイラはトップの座を守ることになった。この2台のピットインを見て、さらに塚越がピットイン。やはりタイヤ交換と給油を行ったが、それまでのラップタイムが中嶋一貴よりも遅かったことが影響し、ここで中嶋一貴の先行を許すことになった。
この時点で、暫定トップの位置にいたのはNo.2 平手晃平(TEAM IMPUL)。平手は、ピット作業を終えた後、上手くポジションを上げるために、最初のスティントを引っ張る。そして、レースが折り返した27周終了時にようやくピットイン。タイヤ交換と給油を行ない、6番手でコースに戻ったが、まもなく目の前にいた石浦をオーバーテイク。5番手にポジションを上げた。
セカンドスティントに入ると、トップ2台はさらに予選のような猛プッシュ。1分37秒台前半から38秒台前半で周回を重ねて行く。その差は一時3秒以内までに縮まったが、やはりデ・オリベイラがジワジワとロッテラーを引き離していった。
そして、35周を終えたところで、1回目と同じくロッテラーが先にピットイン。ここでもタイヤ交換と給油を行い、15秒2のストップ時間でコースに戻った。これを見て、セオリー通り、翌周にピットインしたのはデ・オリベイラ。彼も同じくタイヤ交換と給油を行なう。だが、左フロントタイヤの交換に若干手間取り、ストップ時間は17秒7。ロッテラーよりは2秒半ほど時間がかかった。それでも、ピットイン前に6秒近くまでマージンを稼いでいたため、トップでコースに戻ることに成功している。
その後の16周は、ロッテラーのペースがデ・オリベイラをやや上回る。デ・オリベイラは次第にブレーキが深くなってきており、それまでほどはプッシュできなくなっていた。しかし、ロッテラーもその差を約2秒まで縮めるのがやっと。52周の過酷なバトルを経て、デ・オリベイラが今季初優勝を飾った。2位にはロッテラー、3位には今回も最適なタイミングでのピットインを行なった中嶋一貴が入賞している。以下、No.41 塚越 広大(DOCOMO DANDELION RACING)、No.2 平手晃平(TEAM IMPUL)、No.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と続いた。
今回のレースの結果、28ポイントでシリーズランキングトップに立ったのは、ロッテラー。同ポイントながら優勝回数の差で中嶋一貴が2位。ポール・トゥ・ウィンを達成したデ・オリベイラが一気に25ポイントまで伸ばし、ランキングでも上位2台に詰め寄ってきた。さらに、塚越も18ポイントとタイトルが見える位置。いよいよシリーズは残り3戦となったが、チャンピオン争いはますます激しさを増しそうだ。本来なら、この争いに加わらなければならないはずのNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)は、予選9番手スタートから、他のドライバーのピットインなどもあり、序盤一時5番手まで浮上するが、21周目の90度コーナー先で、No.7 大嶋和也(Team LeMans)と接触。コースアウトして、そのままレースを終えてしまった。
2位 No.36 アンドレ・ロッテラー ・ 優勝 No.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ ・ 3位 No.37 中嶋一貴 / 星野一義優勝チーム監督
第4戦 決勝レースダイジェスト [VIDEO LIBRARY]