富士スプリントカップ2010
先日の最終戦もてぎで2011年のシリーズ戦は終了したが、本当の意味でラストレースは11月11日〜13日に富士スピードウェイで開催される“JAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON FUJI SPRINT CUP 2011”(富士スプリントカップ)となる。このレースは、その名の通り決勝100kmという超スプリントレースだ。また、予選方式もシリーズ戦とは違うものとなるだけに、また別な楽しみ方ができる一戦である。この他に、チーム監督も多数参戦する往年の名ドライバーによる“ENEOS SUSTINA LEGEND CUP 2011”も注目といえよう。
No.36 アンドレ・ロッテラー
まず、3日間の富士スプリントカップの日程だが、11日(金)は60分のフリー走行が行われる。マシンのセッティングなどが行われる走行で、タイムなどの結果は競技結果には響かない。だが、高速コース・富士だからこそのセッティングを決めるのには重要な時間となるだろう。しかも、今大会の予選がいつもと違うものだけに、そこを考えたセッティングをトライするチームもあるかもしれない。
そして、12日(土)に行われる予選だが、シリーズ戦で行われるQ1からQ3のノックアウト方式ではない。国内ではSUPER GTで用いられているスーパーラップ方式で行われる。複数のマシンが同時にタイムアタックするノックアウト方式と違って、スーパーラップでは1台すつが単独でタイムアタックを行う。つまり、アタックラップの極限走行をじっくりと見られるわけだ。また、その時点でのトップタイムをこれから走る選手が更新できるかどうか、その緊張感が楽しい予選方式だ。
さらに今大会では、単純にタイムだけを競うのではなく、アタックラップのタイムとその時の最高速をそれぞれポイント化し、そのポイント合計で予選順位が決まる。高速コースの富士ならではの趣向が採り入れられている。つまり、超高速使用のマシンにセッティングするということもありうるのだ。応援するドライバーがどんなセッティングをして、どんな走りを見せるのか。富士スプリントカップの予選では、ここにも注目してほしい。
No.37 中嶋一貴
13日(日)は決勝レース。100km(22周)の短い距離で、ピットインは不要の一発勝負で行われる。スプリントレースでは、まさに先手必勝。最初から全開で、目の前にライバルがいればすぐ抜かないと、ゴールとなってしまう。それだけに最初から最後まで目の離せないハードなレースとなるであろう。
ドライバーたちにとっては、ここで勝てばJAFグランプリ杯と賞金300万円の獲得となる。JAFグランプリは、JAF(日本自動車連盟)の冠が懸かったビッグタイトル。すなわち日本のモータースポーツ史に残ることになる。名誉と実利、両得がこの大会の凄いところだ。
もちろん、シリーズ戦では7戦(最終戦2レース含む)5勝を挙げ2011年チャンピオンとなったNo.36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)の打倒が各選手の合い言葉になるだろう。逆にロッテラーにとっては、JAFグランプリの連覇を狙うことになる。
No.32 小暮卓史
今季、思うようなレースができなかったNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)や連覇を阻まれたNo.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)、そしてランキング2位だったNo.37 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)にとっては、格好のチャンスと言えよう。また、昨年のこの大会で2位(レース2)となったNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)ら、若手にとっては初優勝のチャンスでもある。彼らも若手らしい果敢な走りを見せてくれるだろう。
No.1 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
No.16 山本尚貴
日本最高峰のFormula NIPPONとSUPER GTを同時に見られることが魅力の富士スプリントカップだが、もうひとつの目玉レースがある。それは“ENEOS SUSTINA LEGEND CUP 2011”だ。日本のモータースポーツ史に名を刻んだ名選手たち18名が参加するこのレース。なんと、マシンは最新鋭のハイブリッドカーである“Honda CR-Z”。歴戦の勇者がこの近未来的なスポーツカーをいかに操るか非常に興味深い。
そして参加する“レーサー”だが、Formula NIPPONで指揮をとる監督たちも出場する。KONDO RACINGの近藤真彦監督、NAKAJIMA RACINGの中嶋悟監督、PETRONAS TEAM TOM'Sの舘信秀監督などだ。この他、長谷見昌弘氏や鈴木亜久里氏、関谷正徳氏、高橋国光氏、黒澤琢弥氏など日本のトップフォーミュラで活躍した名選手がズラリ。今大会は、新たにミスター ル・マンこと寺田陽次郎氏なども参加する。こちらの勝負も見逃せない(12日・予選、13日・決勝)。
レース以外にも、さまざまなイベントやアトラクションが富士スプリントカップには用意されている。今年は東日本大震災があっただけに、その復興支援のための被災地区の物産展や救援活動に活躍した陸上自衛隊の車両展示や写真展なども興味深い。
11月11-13日は、ぜひ富士スピードウェイに行って、残念ながら行けないという方はJ SPORTSで11日から予選、決勝を生中継するので、選手たちの今年最後の激走を楽しんで欲しい。