2012 Formula NIPPON
No.2 中嶋一貴
4月15日(日)、鈴鹿サーキット(三重県)で2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン開幕戦の決勝レースが行われた。No.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が、予選3位から逆転で勝利を挙げた。2位はNo.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、3位にはNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)が入賞した。
この日の鈴鹿サーキットは、朝から春の陽気に恵まれ、大勢の観客がスタンドを埋めた。そして、250㎞、43周に距離が伸びた今回のレース。フォーメーションラップがスタートした午後2時半の時点で、気温は19度、路面温度は27度と温かなコンディションになった。2万8千人の観客が見守る中、17台のマシンは1周の隊列走行へ。正規グリッドに着くと、いよいよスタートが切られる。
ここでホールショットを奪ったのは、No.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。ポールポジションのNo.40 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、クラッチミートに失敗し、出遅れる。それを見逃さず、スタートで伊沢を攻略して2番手に浮上したのはNo.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)。これに伊沢、No.7 大嶋和也(Team LeMans)、No.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)、No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)、No.20 松田次生(TEAM IMPUL)と続いた。
トップに立った塚越は、オープニングラップからハイペースで周回。唯一1分43秒台後半のタイムを連発し、2番手の中嶋一貴との差を広げて行く。対する一貴は、1分44秒台前半のペース。3番手の伊沢は44秒台中盤から後半のペースで、やはり一貴とは差が開いていく。その伊沢を先頭に、4台の集団が形成されるが、誰もコース上でのオーバーテイクにまでは至らなかった。その後方では、オープニングラップから松田とNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)が激しくバトル。スプーン1つ目の進入で山本が松田のインに飛び込んだが、2台は軽く接触しながらコースをはみだす。そこからポジションを守って、コースに戻ったが、続くバックストレートから130Rにかけて、再びサイド・バイ・サイドとなり、山本が松田の前に出ることに成功している。
No.41 塚越広大
レースが3分の1を消化したあたりで、トップの塚越と2番手の一貴は、ほぼ一人旅状態。塚越は一貴に対して5秒あまり、一貴は伊沢に対して8秒近いマージンを稼いでいた。ところが、快調にレースをリードしていた塚越のエンジン音が突如おかしくなる。エギゾースト(排気管)が割れたためだ。それでも塚越は全くタイムを落とすことなく、周回を重ねて行った。ちょうどこの頃から、上位陣はピットインし始める。まず15周を終えたところで4番手を走行していた大嶋と5番手を走行していたロッテラーが同時にピットへ。いずれも給油とタイヤ交換を行って、コースへと戻るが、ポジションの入れ替わりはなかった。その翌周には、3番手を走行していた伊沢がピットイン。しかし、伊沢のピット作業は、前の周に入った大嶋やロッテラーよりも若干遅く、この2台の先行を許してしまった。さらに、17周を終えた時点で、4番手まで浮上していた山本がピットに入るが、戻った場所は伊沢の後ろ。後方から松田が迫る形となった。前半、伊沢、大嶋、ロッテラーに抑えられる形となっていたデ・オリベイラは、ライバルがピットインした後も、コースに留まり猛プッシュ。ここで見えない差を削り取って行く。そして、20周まで引っ張ってからピットイン。この作戦が奏功し、デ・オリベイラは大嶋の前に出ることに成功した。
No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
そして、トップが動いたのは23周終了時。ちょうど塚越の前に、周回遅れのマシンが現れ始めたため、チームはタイムロスを嫌い、塚越をピットへと呼び戻した。この塚越のピット作業には、22秒6という時間がかかっている。一方、塚越を追っていた一貴は、そこから3周猛プッシュ。1分43秒台前半のタイムを連発し、26周を終えたところでピットに入った。一貴のピット作業は、塚越より4秒5ほど早い18秒1。その結果、一貴はピットアウトしたところで、塚越の前に出ることに成功する。塚越は、何とかアウトラップの一貴を攻略しようと、オーバーテイクボタンを使用して追いかけるが、あと一歩のところでオーバーテイクには至らず。ここがレースの決め手となった。
後半は、逆に一貴が塚越を上回るペースで周回。マージンを稼いでいく。終盤に入ると、その差は5秒あまりまで開いた。一方、2番手の塚越を後半必死で追ったのはデ・オリベイラ。ピット作業を終えた段階で、10秒近い差があった両者だが、デ・オリベイラはジワジワと差を詰め、終盤には3.4秒差まで持ち込んだ。しかし、最終盤に入って、デ・オリベイラのエンジンにミスファイアが発生。ペースを落とさざるを得ず、3位キープの走りとなった。
結果、中嶋一貴は昨年第2戦のオートポリスに続く、自身2勝目。幸先のいい開幕戦優勝を飾った。2位には塚越、3位にはデ・オリベイラ。以下、大嶋、ロッテラー、伊沢、山本、松田までが入賞し、ポイントを獲得した。
No.7 大嶋和也
No.1 アンドレ・ロッテラー
2位 No.41 塚越広大 / 優勝 No.2 中嶋一貴/舘 信秀優勝チーム監督 / 3位 No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ