2012 Formula NIPPON
No.41 塚越広大
初夏というよりも、夏と言っていいような好天に恵まれた5月27日(日)、オートポリス(大分県)で2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第3戦の決勝レースが行われた。このレースで、No.41 塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がポール・トゥ・ウィンで初優勝を飾った。2位にも同じチームのNo.41 伊沢拓也が入り、チーム初のワン・ツー・フィニッシュを果たした。
No.40 伊沢拓也
フォーメーションラップがスタートした午後2時30分の段階で、気温が26℃、路面温度が49℃まで上昇した決勝日のオートポリス。1周の隊列走行を終えて、正式スタートが切られると、ホールショットを決めたのは、ポールポジションスタートの塚越。今季自己ベストの2番手グリッドからスタートしたNo.20 松田次生(TEAM IMPUL)はホイールスピンで出遅れる。一方、ここで抜群のスタートを決めたのは、伊沢。伊沢は1コーナーに入るまでに、2番手に浮上すると、チームメイトの塚越と1-2フォーメーションを確立した。
これに続いたのは松田。松田は出遅れのミスを取り返すかのように、1〜2コーナーまでにNo.7 大嶋和也(Team LeMans)をかわして、3番手を守ったが、第1ヘアピンでは大嶋が差し返した。この時、接触を避けようと、松田はアクセルオフ。その間に、後続のマシンにかわされ、8番手まで後退してしまった。
一方、その後方では、クラッシュも発生。予選8番手からスタートしたNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)は、2コーナーでアウト側からポジションアップを狙ったが、突然グリップを失ったということでコースアウト、クラッシュ。No.1 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)も、スタートでポジションは上げていたものの、同じ場所で軽くコースアウトし、再び13番手までドロップした。さらに、同コーナーでは、No.62 嵯峨宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsport)がNo.18 折目遼(SGC by KCMG)に追突する形となり、2台揃ってコースアウト、リタイアとなっている。その後、12周目には、ロッテラーが左リアサスペンションにダメージを負ってコースアウト。ピットに戻ると、そのままリタイアとなった。
トップ争いは、オープニングラップから塚越が逃げる展開。伊沢がそれに必死に食らいついていく。しかし、その差は20周を終えたところで6秒以上まで開いた。とは言うものの、伊沢が逆に詰め寄って行く場面もあり、外から見ている以上に緊迫した一進一退の攻防が繰り広げられていた。一方、スタートで思ったようなポジションまで上げられなかったドライバーたちは、早目のタイミングでピットインを開始する。まず序盤7番手につけていたNo.2 中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が、15周を終えたところでピットイン。燃料補給とリヤタイヤのみ交換して、11秒余りという素早い作業でコースに戻る。その翌周には、9番手を走行していたNo.32 小暮卓史(NAKAJIMA RACING)がピットイン。さらに、その翌周には、一貴を意識したのか、3番手を走っていた大嶋と、最後尾スタートながら上手いポジション取りで一気に6番手まで浮上していたNo.16 山本尚貴(TEAM 無限)がピットイン。大嶋は、一貴の前でコースに戻ったが、山本は一貴に先行を許してしまった。
しかし、トップ集団は、なかなかピットに入ろうとしない。この時点でも、彼らのラップタイムは、タイヤ交換をしたドライバーたちよりも速かったためだ。ようやく上位陣がピットに入ったのは、35周を過ぎてから。まず2番手を走っていた伊沢が37周を終えたところでピットイン。給油とタイヤ4本を交換して、13秒3のストップでコースに戻る。その翌周には、大嶋のピットストップ後、3番手に浮上していたNo.8 ロイック・デュバル(TEAM KYGNUS SUNOCO)がピットイン。さらに、その翌周にはトップの塚越がようやくピットに入る。この塚越も、給油とタイヤ4本交換を12秒5という短いストップで終え、一度も首位を明け渡すことなく、コースに戻った。
No.8 ロイック・デュバル 結局、ここでのポジションの入れ替わりはなく、塚越、伊沢は見事なワン・ツー・フィニッシュを果たす。4年目にしての初優勝ということで、ウィニングランを終えた塚越の眼には、涙がにじんでいた。彼らに続いたのは、デュバル。最後まで3位を守り切ったデュバルにとっては、新チームでの初表彰台となった。
以下、レース終盤、大嶋をかわした松田が4位、同じく大嶋をかわしてきた一貴が5位。6位には大嶋、7位にはNo.38 平手晃平(Projectμ/cerumo・INGING)、8位にはNo.39 国本雄資(Projectμ/cerumo・INGING)。ここまでが入賞している。中嶋一貴は昨年開幕戦でありデビュー戦から続いていた連続表彰台が、残念ながらこの一戦で途切れてしまった。ただ、連続ポイント獲得はまだ途切れなかった。
このレースの結果、ドライバーズランキングでは塚越が23ポイントで首位に浮上。一貴が20ポイントで2番手、伊沢が17ポイントで3番手まで上がってきた。今回、いずれもリタイヤに終わったロッテラーは4位、デ・オリベイラは5位に後退している。またチームランキングでも、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが38ポイントで、トップ浮上。これを4ポイント差でPETRONAS TEAM TOM'Sが追う展開となっている。
No.20 松田次生
No.2 中嶋一貴
フォーミュラ・ニッポンは、少し間が空き、第4戦富士スピードウェイが行われるのは、7月14日(土)〜15日(日)。それまでに、このレースで負けたチームは、さまざまな対策をしてくるはずだ。一方、勝ったチームも、兜の尾を引き締めてくることだろう。その真剣勝負をお待ちいただきたい。
2位 No.40 伊沢拓也 / 優勝チーム 村岡 潔監督 / 優勝 No.41 塚越広大 / 3位 No.8 ロイック・デュバル