2012 Formula NIPPON
2012年第2戦
全7戦で行われる2012年の全日本選手権フォーミュラ・ニッポン。次回の一戦は第5戦となり、白熱のシーズンは後半戦へと突入する。今季も昨年のチャンピオンPETRONAS TEAM TOM'Sが4戦3勝と好調。しかしこの一戦では、初優勝を果たした塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)や2010年チャンプのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)らも逆襲を狙ってくる。さらなる熱戦が期待される第5戦ツインリンクもてぎは、8月4日(土)予選、5日(日)決勝だ。
初優勝後、初の地元凱旋となるNo.41 塚越広大 第5戦の舞台となるツインリンクもてぎはHondaのホームコース。昨シーズンは未勝利だったが、今季は第3戦で優勝し、さらに勝ち星を重ねたいHondaとしては、このもてぎで一層の精魂を込めたエンジンを持ち込みそうだ。そこで注目すべきHondaエンジン・ドライバーは、やはり第3戦オートポリスで初優勝を飾った塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だろう。塚越にとってもてぎは、Hondaのコースと言うだけでなく、生まれ育った栃木県日光市の間近で塚越ファンも大勢やって来るサーキットでもある。彼らに2勝目の、そして1ランク上がった塚越を見せたいところだ。
塚越以外にも彼の僚友である伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、そしてHondaのエース的存在でもある小暮卓史(NAKAJIMA RACING)も、このもてぎで存在感を示したい。またもてぎが地元なのは、塚越だけでなく山本尚貴(TEAM 無限)も同じ。栃木県宇都宮市に今も住む山本には熱烈な地元応援団がやってくる。塚越に続いて、初優勝をこのホームで狙ってくるはずだ。
さて、今季も4戦3勝を上げているトヨタエンジン。その中心は、2011年のチャンピオンチーム、PETRONAS TEAM TOM'Sだ。2011年チャンピオンのアンドレ・ロッテラーが2勝で現在ランキング2位、開幕で勝利しその後も全レースでポイントを獲得している中嶋一貴は赤いリーダーズレッドを手にランキング1位としてもてぎを走る。もてぎで開催された第2戦はロッテラーが勝利しており、彼にとっても得意なコースだけに、ここでチャンピオン連覇に大きく前進したいところだ。
これに対して、TOM'Sの独走許さじと牙を剥くのは、Honda勢だけではない。2010年のチャンピオンのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラと2007、2008年チャンピオンの松田次生を擁するTEAM IMPULも、ここでの勝利を得てタイトル争いにがっちりと食い込みたい。そして、シーズン中盤に来てその力量を垣間見せているロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)や大嶋和也(Team LeMans)にも注目したい。
また、ツインリンクもてぎのある茂木町に本拠を構えるTOCHIGI Le Beausset Motorsportsの嵯峨宏紀にとってももてぎ戦は、他と違う意味を持つレースだ。彼の奮闘にも期待したい。
フォーミュラ・ニッポンは御存知の通り、一人のドライバーがワンメイクのマシンで戦う「ドライバーズレース」だ。チームメイトといえどもレース中は、ただのライバルとなる。ましてほぼ同じレベルにセットされたマシンに乗り、ランキングも接近しているとなれば、なおさらだろう。PETRONAS TEAM TOM'Sの中嶋一貴とロッテラー。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの塚越と伊沢、TEAM IMPULのデ・オリベイラと松田。チーム自体は違うが、メンテナンスガレージが同じ大嶋とデュバル。シーズン序盤ならまだしも、タイトル争いが激化するこれからはチーム内でもピリピリとした空気が流れ出すだろう。
このもてぎ戦、そしてこれからのレース観戦では、そんなチームメイト同士のコンマ
1/1000でせめぎ合うバトルにも、ぜひ注目してほしい。
ツインリンクもてぎはワインディングロードを彷彿させる多彩なコーナーを持つテクニカルコースだ。このため、エンジンやブレーキにかなり負担が掛かる。さらにこの第5戦は夏の盛りでの開催。マシンを労ることや、ドライバー自身の体力も勝利の鍵になりそうだ。
またコーナーが多いもてぎは、決勝でのポジションアップが難しいと言われる。そのため、上位のスターティンググリッドを手に入れることも非常に重要になる。つまり、予選から各選手が激しいアタックを繰り広げていくわけだ。決勝レースとはひと味違う1周だけのスーパーアタック。一瞬のミスも許されないフォーミュラ・ニッポンの切れ味鋭い走りが、さらに冴え渡る予選もぜひ見て欲しい。
グリッド中盤以降のドライバー、チームの逆転の戦術はピットインのタイミングだ。今季は燃料搭載量が減らされ、レース中に必ず1回はピットインする必要がある。ライバルたちのポジショニングを計算しつつ、どのタイミングでピットに呼び戻すのか?またその時の給油の量は? チーム同士の頭脳戦が暑いもてぎをさらに熱くすること間違いなしだ。
決勝当日には「フォーミュラ・ニッポン」に変わる「新名称」も発表される。「フォーミュラ・ニッポン」として、関東エリアでは最後の戦いとなる第5戦は注目度上昇中だ。
予選ポジションが重要とされるもてぎ。一瞬のミスも許されない。