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コラム【武士が斬る!】vol.9 やっぱりSUPER FORMULAは面白い!!!

2023.12.31

皆さんこんにちは!SUPER FORMULAアンバサダーの土屋武士です。

 

SUPER FORMULAアンバサダーの土屋武士

 

今年もあと数日となりましたが、今季のSUPER FORMULAを振り返ってみたいと思います。

 

開幕戦は大荒れの天候でフリー走行がキャンセルとなり、たくさんのパッケージが新しくなったSF23とヨコハマ・ADVANのサステナブルタイヤの門出としては順調でなかったスタートとなりましたが、そこはトップドライバーとトップチームが集っていることで、終わってみれば素晴らしいレースが展開されました。不安要素すら集中力に変えてくる、プロフェッショナルな仕事を、SUPER FORMULAに関わる全員が見せてくれたと思います。

 

その中でもリアム・ローソン選手の鮮烈のデビューウィン!またとんでもない刺客がやってきたもんだとざわめきましたね。その後見事にF1デビューを果たし、しっかりとポイントも獲得。SUPER FORMULAとF1の距離感を縮める役割りも担ってくれました。後半戦、F1ファンの皆さんの多くがSUPER FORMULAのレースを観にサーキットに足を運んでくれたことにも繋がっていたと思います。

 

 

間違いなく今年のSUPER FORMULAを盛り上げてくれた立役者。最終ラウンドの予選でチームメイトを苛つかせたあの走りも忘れられないです。スポーツマンシップからすると大ブーイングを受けるかもしれませんが、チャンピオンがかかっている最終盤には過去のシリーズでも色々ありました。それだけ強くチャンピオンに執着していたんだと、改めて感じさせてもらえたことも刺激的でしたね。ルーキーイヤーで3勝を獲得した実力は強烈なインパクトを残してくれました。彼が世界で活躍する姿をこれからも応援していきたいと思います。

 

ローソン選手のチームメイト野尻智紀選手は、今シーズン中嶋悟さんしか成し遂げていない日本トップフォーミュラ3連覇をかけて挑んでいましたが、接触あり、体調不良による欠場ありとUP DOWNの多いシーズンだったと思います。しかし後半戦は絶対王者としての威厳さえ感じるほどの走りは本当に存在感があり、流石としか言えません。

 

その中でも、「俺を忘れるな!」という叫びが聞こえてきそうなRD7茂木予選でのあのアタックは、画面を通しても気迫が伝わってきた素晴らしいラップでした。その決勝では、ローソン選手とのスタート直後の争いでも、クリーンでありながら戦う姿勢を貫く様を見せてくれました。本人曰く、“崖から落ちている” 状況からポールトゥウィンを果たし、チャンピオン争いに踏みとどまった茂木の週末は、野尻選手の本当の強さを発揮したレースだったのではないかと思います。

 

 

前述した鈴鹿の予選でも、惑わされることなくアタックを決めポールポジションを獲得。この数年間、チャンピオンというプレッシャーと戦ってきたからこそ得た”強さ”だと感じました。

 

この数年間のSUPER FORMULAは野尻選手が引っ張ってきたと言える内容の走りを今シーズンも見せてくれたと思います。チーム無限と複数年契約を結んだいま、野尻+チーム無限を倒すことに他陣営は苦労することでしょう。だからこそまたレースは面白くなっていきます。「倒すべき目標」として、来季もSUPER FORMULAの指標になるでしょう。野尻選手にはその重責を担ってもらい、更なる境地を開拓していってほしいと思います。

 

 

そして今シーズンの主役の座を奪ったのが宮田莉朋新チャンピオン。咋シーズンから打倒野尻の筆頭になることは予想していましたが、その期待を大きく上回る成長を遂げてくれました。人は、これほどまでにも成長していくのだという様を、我々は目の当たりにしました。RD3鈴鹿での初優勝から、WECシリーズに帯同した後、自らのたどり着く場所を見定めたことで、明らかに“戦う男の顔”になりました。そこからは、それまでの宮田選手のネガティブさは影を潜め、相変わらずポジティブではないものの「どうすればこの課題をクリアできるか」ということだけにフォーカスしている発言になってきたように思います。そしてそのハードルを越えていく度に加速度的に成長していき、チームを引っ張るエースとしての頼もしさが備わってきたように思います。

 

 

そして私が、宮田莉朋選手がチャンピオンになるだろうなと予感させた“走り”があります。それは最終戦予選Q1の走りです。ランキングトップで迎えたこの日の最初のアタック。まず注目したことは、「宮田選手がどれだけプレッシャーを克服できているか」ということでした。その最初のアタックで見せてくれた走りは、画面越しからも分かるような躍動感あふれる限界のアタック。この大一番の最初のアタックでこの走りができるのはすごいなと、感銘を受けました。初めてのチャンピオン争いにも自分のベストを引出して戦っている様を見て、これはチャンピオンは莉朋だなと、そう思いました。しかしこの走りでもローソン選手に届かずにQ1は2位で通過。これではポールは取れないと考えた宮田選手は、Q2では限界の更に上の走りをTRYしました。その結果はスプーン2個目であわやスピン、あわや4輪脱輪という状況に陥りながらも、首の皮一枚でギリギリ残ることができ、タイムロスはあったものの4位というグリッドを確保することに。あとタイヤが何センチか外側に外れてしまっていたらペナルティでタイム抹消です。攻めていたからこそのハーフスピンですが、攻めていたからこそ、そして自分のベストを尽くそうとしていたからこそ、手を差し伸べてくれるレースの神様がいたんだなと感じた瞬間でした。

 

果たして、SUPER FORMULA2023シーズンは宮田莉朋選手が見事なまでにチャンピオンの栄冠を勝ち獲りました。トヨタのレーシングスクールの時代から彼を見ているので、本当に人の成長は素晴らしいなと思いますし、その成長を支えたチームやここまでの環境を作ってきた関係者や家族のサポートがあってこその成長だったと思います。そしてその期待にしっかりと応え、素晴らしいドライバーに成長した宮田選手は本当に頑張ったと思います。チームトムスも若返りをしてチームとしても成長中だったことも、色んな相乗効果があったかもしれませんね。とにかく今年は宮田莉朋選手の年でした。改めておめでとうございます!そして更なる成長を期待しますね!!

 

 

来年はチャンピオン宮田選手とローソン選手、平川亮選手が海外に主戦場を移すということで、ランキング上位勢が抜ける状況となりますが、まだまだ、主役になりうるドライバーがわんさかいるのがSUPER FORMULAです。他に今年チャンピオンを主に争った3人以外にも光ったドライバーがたくさんいました。その筆頭は坪井翔選手でしょう。勝ってもおかしくないレースを運悪く落としたこともありましたが、予選では初のポールポジションを獲得していますし、GT500ではシリーズチャンピオンを獲得しました。そして来季は長年乗ってきたセルモインギングから宮田選手が抜けたチームトムスに移籍。“脂がのった”坪井選手が一気にシリーズの主役になる可能性は大いにあると思います。

 

 

そしてダンデライアンの牧野任祐選手太田格之進選手の2人も後半戦の勢いのまま、来季も序盤から台風の目になることが予想されます。先日鈴鹿サーキットで合同テストがありましたが、この2人の走りは際立っていました。特に太田選手は最終戦での優勝で自信をつけているように見えます。走りがノリノリなんです。そしてチームの先輩・牧野選手も意地があります。SUPER FORMULAデビュー戦でポールを獲った実力と、勝ちたいという“強い気持ち”は必ずいつか花が咲くと思います。それは来季に訪れると、そう予感します。彼にはその準備ができているからです。

 

 

 

そういうドライバーは他にもいます。小林可夢偉選手です。RD7茂木戦ではピットのロスがなければ優勝の可能性が非常に高かったと、そう思っています。これまでも何度も勝てそうだったレースはありました。それがことごとく、、、でも可夢偉選手は来シーズンもSUPER FORMULAのステージに残ってくれました。12月の鈴鹿テストでは総合トップタイムを記録。これは想像ですが、シートを他の選手に譲ることも脳裏にはあったのではないかと予想します。WECではチーム代表兼ドライバーとして、その他にも様々な役割を担っている多忙な可夢偉選手は、継続か、降りるのかをすごく悩んでいたのではないかな、と。しかし可夢偉選手の中の“レーサー魂”がそれを許しませんでした。やはり、このFORMULAのシートこそが、レーサーとしての気持ちを高ぶらせてくれる唯一のモノだと、それを失うのはまだ早いという結論だったのでしょう。それがあのトップタイムに繋がったのではないかなと思います。

 

 

他にも継続して参戦する注目すべき選手はいますが、あまりにも多くて紹介しきれないので今回はここまでにしておきます。ただこれをお伝えしないわけにはいかないですね。また新しい刺客がやってきます。FIA F2選手権チャンピオンのテオ・プルシェール選手がチームインパルで、同選手権4位の岩佐歩夢選手がチーム無限から参戦が発表されています。またまたとんでもないSUPER FORMULAルーキーが現れますが、この2人をルーキー扱いしていいのでしょうか??(笑) きっと、日本にいながら世界の広さを感じることがまたできるんじゃないかと思います。それは我々ファンにとっては非常にハッピーなことですよね!そして日本のレース界にとっても実にいい環境だと感じます。年々SUPER FORMULAのレースは激しく、面白くなってきていることは、たくさんのファンの皆さんがサーキットに足を運んでくださることで証明されています。長年日本のトップフォーミュラを見てきていますが、本当に今のSUPER FORMULAはシンプルに“面白い”です!

 

まだ見ていないという方には是非ご覧になって頂きたいと思いますし、SUPER FORMULAのアプリ「SFgo(エスエフゴー)」年末年始の期間(2023年12月31日~2024年1月4日)に無料で視聴できるキャンペーンが実施されるということなので、是非この機会にアプリを通してSUPER FORMULAの魅力を感じて頂きたいと思います!何といってもお薦めは各ドライバーの無線が聞けちゃうこと。チームとのやり取りや、相手への怒りの叫びなどなど。本当に人間味あるところも覗けるので見て頂きたいです。もちろん全レース実況解説付きの映像もご覧になれますので、年末年始のゆるりとしたお茶の間で、刺激たっぷりのSUPER FORMULAをお楽しみ頂けたらと思います。

 

それでは、皆様におかれましても2024年が健康で笑顔溢れるシーズンになりますようお祈りしております(^^) 良いお年をお迎えください!!

 

written by 土屋 武士

日本のトップカテゴリーで活躍したレーシイングドライバーとして活躍。プライベートチーム「つちやエンジニアリング」のチームオーナーでもある。現役を引退した現在は、ドライバー・エンジニア・メカニックの育成に務め、モータースポーツ界に大いに貢献し多方面で活躍している。

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