開幕直前合同テスト 雨の初日は牧野任祐がトップタイム
2024.02.21
初日総合トップ 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
昨年12月に行われた合同テストから2ヶ月余り。2月21日(水)〜22日(木)にかけて、三重県鈴鹿サーキットで、2024年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第1回公式合同テストが行われた。今回のテストは、開幕前に行われる唯一の走行機会。各チーム、各ドライバーは、この貴重な機会にシーズンインに向けての準備を整えておきたいところだ。しかし、今回は天候に恵まれず、あいにくの雨。初日は午前・午後ともに完全なウェットコンディションの中での走行となり、午前は3回、午後は2回、赤旗が提示されている。そんな中、総合トップタイムをマークしたのは、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。これに野尻智紀(TEAM MUGEN)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)と続いている。
走行前日は、晴れ間が広がり、季節外れの温かさとなった鈴鹿。しかし、夜からは気温が一気に下がり、走行初日となる21日(水)はポツポツと雨が降る朝を迎えた。そこから少しずつ雨脚が強まる中、気温14℃、路面温度14℃というコンディションのもと、午前10時45分から2時間に渡る最初のセッションが始まった。この時点で、すでに路面は完全なウェット。コースがオープンされると各ドライバーは新品のレインタイヤを装着して、次々とコースへと入って行った。ちなみに、この2日間のテストでは、各ドライバーいずれも6セット、レインタイヤを使用することができる。
初日総合2番手 野尻智紀(TEAM MUGEN)
しかし、このセッションは、開始からわずか2分という所で、最初の赤旗が提示される。これは、まだアウトラップだったテオ・プルシェール(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がNIPPOコーナーでスピンしコースアウト、グラベルにストップしたため。このマシン回収が終わると、セッションは午前11時03分に再開された。この赤旗の間に、雨脚は若干強まっていたが、ここから各ドライバーは本格的な走行に入る。昨年から新しくなったレインタイヤでキチンとした走行を行うのは、どのドライバーにとっても初めてだからだ。その中で、セッション序盤から頭一つ抜けたような速さを見せたのは、野尻。野尻は他のドライバーがまだ2分台で走っている中、1分58秒591、さらに1分54秒705、さらには1分53秒729と最初から飛ばしに飛ばした。さて、野尻が53秒台をマークした直後、セッションは2回目の赤旗によって中断される。これはJuju(TGM Grand Prix)がS字でスピン、コースアウトしたため。このマシンの回収が終わると、セッションは午前11時29分に再開。この間に、雨脚は再び若干弱まり、再開後は多くのドライバーが自己ベストを更新して行った。その中で、さらに自己ベストを伸ばしたのは、野尻。野尻はここで1分53秒544までタイムアップしている。この頃から、雨脚は再び強まり、各車が巻き上げる水煙も多くなって行った。そして、野尻がベストを更新した数分後には、このセッション3回目の赤旗が提示される。これは、大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)がクラッシュしたため。大湯は、NIPPOコーナーの立ち上がりでハイドロに乗ってスピン。コースイン側のガードレールに激しく接触すると、そのままコースを横切ってデグナーひとつ目アウト側のグラベルにマシンを止めた。最初に赤旗を出したプルシェールはノーダメージ、Jujuはフロントノーズの破損程度だったが、大湯のマシンは前後ウィング、フロア、左側前後の足回りやサイドポンツーン内の冷却パーツなどまでが破損している。この大湯のマシンの回収が終わると、セッションは12時ちょうどに再開。残り45分間は、雨の量が少なくなり、路面コンディションが好転したため、多くのドライバーがさらにベストを更新して行った。その中で、まず1分54秒375をマークして、この時点での2番手に浮上したのは、大嶋和也(docomo business ROOKIE)。小林可夢偉(Kids com Team KCMG)もニュータイヤを投入して1分54秒473をマークし、この時点での3番手に浮上してくる。さらに、残り時間20分という所では、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分54秒334と、大嶋のタイムを上回ってきた。そして、セッションの残り時間が10分を切ると、牧野はさらにタイムアップ。1分53秒850と、いよいよ53秒台に入ってくる。そして、セッション終了まで1分という所で、牧野はユーズドタイヤながら1分53秒515とそれまで野尻がマークしていたタイムを上回り、最初のセッションをトップタイムで締めくくった。これに続いたのは、野尻。さらに、ルーキーの岩佐歩夢(TEAM MUGEN)がセッション残り時間3分となった所でユーズドタイヤながら1分54秒197をマークして、3番手に滑り込む。以下、大嶋、可夢偉、セッション終盤に2セット目のニュータイヤを投入した佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、同じく2セット目のニュータイヤを投入した太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、山下健太(KONDO RACING)と続いた。
初日総合3番手 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
2時間のインターバルを挟んで、午後のセッションは2時45分から開始予定。ところが、他カテゴリーのテスト中に、スプーンコーナーでオイルが出たということで、その処理に時間がかかり、実際には午後3時05分と、当初の予定よりも20分遅れでのスタートとなる。また、2日目の午後に、コンディションがよくなりそうだということで、このセッションは予定よりも30分短縮の1時間30分で行われることが決定。午後4時35分までとなった。
この午後のセッションが開始された時も、気温は14℃、路面温度は14℃と、午前中と変わらず。雨脚は若干弱まり、霧雨のような雨となっていた。
そんな中、コースがオープンされると、各ドライバーがコースイン。このセッションでは野尻、岩佐、国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が最初からニュータイヤを装着して、ピットを後にした。そして、各車がタイヤを温め、本格的な走行に入ろうかというタイミングでこのセッション最初の赤旗が提示される。これは太田がスプーンコーナーでマシンをストップさせたため。このマシンが回収されると、セッションは午後3時25分に再開。太田はギヤボックスにトラブルが発生したということで、その後のセッションでは走行していない。また、午前中のクラッシュの修復作業に時間がかかり、このセッションでは大湯も走行を取りやめた。
さて、セッションが再開されると、各ドライバーは続々2分を切るタイムをマーク。まずはニュータイヤの岩佐が1分55秒766というタイムをマークしてくる。さらに、再開から7分という所で、1分55秒501を出し、計時モニターの一番上に上がってきたのはやはりニュータイヤで走行を開始した野尻。TEAM MUGENの2台が好調を維持していた。
その後、午後3時44分には、このセッション2回目の赤旗が提示される。これはJujuがスプーンコーナーでスピンオフし、ランオフエリアにストップしたため。しかし、Jujuは赤旗提示とほぼ同時に自力でコースに復帰。ピットへと戻った。
そのため、午後3時48分にはセッションが再開。そこから各ドライバーはさらに走行を重ねていくが、再開から8分ほど経ったところで野尻がトップタイムを更新し、1分54秒936をマーク。また、可夢偉が1分56秒459、1分56秒145と連続して自己ベストを更新。佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)も1分56秒618、1分55秒182と連続して自己ベストをマークしてくる。さらに、残り時間が20分を切ると、山下健太(KONDO RACING)が1分55秒444とその時点での4番手に浮上。これに続いて、野尻が1分54秒617とさらにタイムを削ってくる。しかし、ここでニュータイヤを投入した牧野が1分54秒483まで一気にタイムアップ。野尻を上回ってきた。また、これに続いて、岩佐が1分54秒544までタイムアップ。牧野にわずか100分の6秒まで迫ってきた。その後、木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)、阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、プルシェールら、複数のドライバーがニュータイヤを投入。しかし、最後はコースコンディションが悪くなってしまったためか、大きくタイムを伸ばしたドライバーは少なかった。その中で、最後の最後に自己ベストを更新したのは、小高一斗(KONDO RACING)。小高はここで1分55秒136をマークして、4番手に滑り込んできた。
結果、このセッションをトップで締めくくったのは、午前中もトップを奪った牧野。これに岩佐、野尻、小高、佐藤、午前中からの好調を維持した大嶋と続いている。
明日、22日(木)は、午前が予定通り10時45分から2時間、午後は変更があり、2時30分から5時までの2時間30分。初日午後のセッションが短縮された分、明日は午後のセッションが30 分長くなる予定となっている。天候も初日よりは回復し、ドライコンディションとなる可能性が大。その中で、各チーム、各ドライバーが開幕前の仕上げをいかに行うのか。注目のセッションとなりそうだ。