FP.1 トップタイム 野尻智紀(TEAM MUGEN)

 
2月下旬に行われた第1回公式合同テストから2週間余り。3月9日(土)〜10日(日)、三重県鈴鹿サーキットでいよいよ今シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権が開幕する。レースウィークに入った途端、急に冬に逆戻りしたような天候となる中、9日の午前11時10分からは最初のセッションとなる90分間のフリー走行が行われた。このフリー走行で、トップタイムをマークしたのは、野尻智紀(TEAM MUGEN)。佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)がこれに続き、ホンダエンジン勢がトップ3を独占。4番手には公式合同テスト2日目に総合トップタイムをマークした山下健太(KONDO RACING)、5番手には昨年のF2王者でもある注目のルーキー、テオ・プルシェール(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、6番手には開幕直前に参戦が発表された松下信治(TGM Grand Prix)と続いている。
 
前日の夕方から気圧の谷が通過している影響で、非常に風が強くなった鈴鹿。その風は、予選日の朝になってもなかなか止むことはなかった。また、晴れ間は広がっていたものの、この風に流される形で、鈴鹿山脈からは時折雪が舞ってくるような天候。そんな中、フリー走行は、気温9℃、路面温度16℃というコンディションのもと、当初の予定よりも5分遅れの午前10時10分に開始された。これはサポートレースの予選で赤旗が複数回出された影響だ。
さて、コースがオープンされると、野尻、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、プルシェール、国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、小高一斗(KONDO RACING)、山本、佐藤、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、Juju(TGM Grand Prix)といった順で、半数余りのドライバーたちが次々にピットを後にする。多くのドライバーは、アウトラップでマシンの状態を確認すると、ここではすぐピットに戻った。
そんな中、セッション序盤から精力的にプッシュしたのは、PONOS NAKAJIMA RACINGの2台。中でも、山本は、計測4周目に1分36秒778と、合同テストでの総合トップタイムまでコンマ3秒余りという好タイムをマークして来た。一方、この時点では、まだ多くのドライバーが本格走行前。山下、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)らは、路面コンディションが出来上がるのを待ち、まだコースに入っていなかった。
その後、セッション開始から13分ほどとなったところで、山本のタイムに迫ったのは野尻。野尻はここで1分36秒885をマーク。さらに、その8分ほど後には、前回のテストで絶好調だった牧野が1分36秒969までタイムアップ。この3台が36秒台に入ってきた。
その間も、各チーム、ドライバーたちはピットイン、アウトを繰り返し、マシンセットアップを細かく微調整。セッション最後のアタックシミュレーション、そして午後の予選を見据えて作業を進めていった。コース上では、メインストレートに強い追い風が吹き続けていたが、コーナーによっては横風になるポイントも。その影響からか、松下がシケインでスピンする場面や、ヘアピンでリヤが滑っているドライバーたちの姿も見られた。今回は、気温・路面温度の低さだけでなく、風をどう読むかも勝負のポイントとなる。
 
FP.1 2番手 山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)

 
その後、セッションの残り時間が20分余りとなったところでは、佐藤がトップタイムを更新。佐藤は、ここで1分36秒598までタイムアップしてくる。また、プルシェールが1分36秒902と、36秒台に突入。この時点での4番手に浮上してくる。
そして、セッションの残り時間が10分となったあたりからは、多くのドライバーたちがニュータイヤを装着してアタックシミュレーションへ。ここで他のドライバーよりも少し早いタイミングでコースに入ったのが、野尻。ほぼコースがクリアな状況の中でアタックに臨んだ野尻は、残り時間が7分となったところで一気にタイムアップ。1分36秒415をマークして、佐藤が出していたトップタイムを更新してくる。これに続いて、他のドライバーたちもアタックを開始。しかし、野尻、佐藤のタイムを破るドライバーはいなかった。チェッカーと同時にこの2台に続いたのは、山下。山下は1分36秒709をマークして一旦3番手に浮上する。しかし、間もなく山本が山下を1000分の1秒上回る1分36秒708をマーク。山本が3番手に滑り込んだ。
 
FP.1 3番手 佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING

 
結果、セッショントップタイムをマークしたのは、野尻。2番手に佐藤、3番手に山本。PONOS NAKAJIMA RACINGは、例年この時期に行われていたテストで常に上位につけていたが、今日の予選でもPP争いに加わってくる可能性が高い。これはセッションを4番手で締めくくった山下も同じ。山下も、同じく冬のテストで常に好調ぶりを見せているだけに、今日の予選では注目だ。これに対して、いい形でシーズンスタートを切りたい野尻や牧野はどんな走りを見せるのか。いきなりセッション6番手に滑り込んできた松下は予選でも上位に食い込んでくるのか。見所の多いノックアウト予選となりそうだ。
 
FP.1 4番手 山下健太(KONDO RACING)