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2024年開幕戦 野尻智紀が王者の貫禄で開幕戦を制す。2位には山下健太、3位は山本尚貴

2024.03.10

決勝優勝 野尻智紀(TEAM MUGEN)

 
寒気が流れ込み、冬のような気候となった3月10日(日)の三重県・鈴鹿サーキット。しかし、朝からスタンドには老若男女問わず多くの観客が足を運び、場内には熱気が溢れた。そんな中、午後2時45分からは全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦がいよいよスタート。白熱のバトルが演じられた。この注目の開幕戦を制したのは、予選3番手から抜群のスタートダッシュを決めた野尻智紀(TEAM MUGEN)。スタートでポジションを上げ、早めのタイヤ交換作戦を成功させた山下健太(KONDO RACING)が2位。大きな怪我からの復帰戦ながら、やはりスタートでポジションを上げただけでなく、早めのタイヤ交換を成功させた山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)が3位に入り、一昨年第7戦での優勝以来となる表彰台を獲得した。
 
朝のフリー走行から5時間余り。今回、併催された全日本ロードレース選手権開幕戦のレースで赤旗が提示されるなどしたため、当初の予定から20分遅れとなった午後2時45分に、全日本スーパーフォーミュラ選手権は、フォーメーションラップスタートの時を迎えた。それを前に午後1時45分からは決勝を見据えた8分間のフォームアップ走行が行われ、各ドライバーはマシンセットアップを確認するとともに、スタート練習なども行なっていた。それを終えると、各車ダミーグリッドへ。ウォームアップ時のデータを元に、ダミーグリッドではセットアップを微調整するチームも見られた。
 

 
この頃になると、鈴鹿には晴れ間が広がっていたが、気温は12℃、路面温度は22℃。この週末の中では最も暖かくなったが、メインストレートには強めの追い風が吹いており、体感的にはかなり冷たかった。そんなコンディションのもと、午後2時45分にはフォーメーションラップがスタート。21台のマシンが1周の隊列走行に入る。そして、無事全車が正規グリッドに着くと、後方でグリーンフラッグが提示され、シグナルオールレッドからブラックアウト。全車が31周先のチェッカーに向けて、一斉にスタートを切った。ここで抜群の蹴り出しを見せたのは、予選3番手の野尻。また、予選4番手の佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)も好スタートを切る。PPの阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)は、動き出しこそ良かったがそこからホイールスピンし、失速。真ん中のラインを取った野尻だけでなく、最もイン側のラインを取った佐藤にも先行されてしまう。また、予選2番手だった太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)もクラッチミートに問題があり失速。大きくポジションを下げることとなった。オープニングラップを終えてのオーダーは、野尻、佐藤、阪口、山本、山下、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、太田、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、松下信治(TGM Grand Prix)、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)。この中で、2周目の1コーナーでは、福住がオーバーテイクシステム(OTS)を使用して太田に迫るが、ここは太田がポジションを守る。その後方でも、ポジション争いが激化。そのバトルの中で、S字では国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)のリヤに小高一斗(KONDO RACING)が接触し、ともにコースアウト。国本は左リヤタイヤだけでなくリヤウィングにもダメージを負い、ここでリタイヤ。小高もグラベルにはまってリタイヤすることとなった。このアクシデントをきっかけに、コース上にはセーフティーカーが導入されている。
 
アクシデントの処理が終わり、セーフティーカーランが終わったのは、5周終了時。ここで野尻は手堅くトップのポジションをキープ。佐藤、阪口、山本、山下、牧野、太田、福住、松下と続くが、1コーナーでは松下が福住に迫る。しかし、オーバーテイクには至らなかった。また、この周のシケインでは、太田がOTSを使ってアウト側から牧野をパス。ひとつポジションをあげることに成功している。しかし、その次の1コーナーでは、牧野が太田を再逆転。さらに、同じ周のシケインでは福住が太田をオーバーテイクするなど、上位集団でも激しいバトルが演じられた。これに対して、トップの野尻は1分40秒台のタイムを連発して、佐藤を引き離していく展開。その佐藤に阪口が食らいつく展開となった。
 

 
そして、10周を終えてタイヤ交換のウィンドウが開くと、早くもピットに動きが出る。ここでピットに滑り込んだのは、4番手を走行していた山本、6番手を走行していた牧野、さらに木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)の4台。さらに、その翌周、11周を終えたところでは、山下、福住、太田がピットに滑り込んだ。山下は、前の周にピットインした山本のかなり前でコースに復帰。福住と太田はコースに戻ると、背後に山本と牧野が接近していた。このアウトラップ、太田は2コーナーでオーバーランするが、その先のNIPPOコーナーで福住の前に出る。太田にかわされた福住は、デグナーで山本、ヘアピンでは牧野のオーバーテイクも許すこととなった。また、同じヘアピンでは、山本が太田をオーバーテイク。タイヤ交換をすでに終えている中では、山下が先頭。これに山本、牧野、太田、福住が続くこととなる。しかし、同じ周のシケインでは、タイヤが温まった太田がシケインひとつ目で
牧野のアウト側に並びかける。ただし、牧野のラインがアウトに膨らんできたため、太田は接触を避けるためにショートカット。ここで太田が牧野の前に出た。
 
決勝2位 山下健太(KONDO RACING)

 
さて、タイヤが温まると、山下や山本は、1分39秒台のラップタイムを刻む。これに対して、トップの野尻や佐藤、阪口のタイムは1分41秒台。このままでは、山下や山本のアンダーカットを許してしまうということで、TEAM MUGENは13周を終えたところで野尻をピットに呼び戻す。タイヤ交換を終え、コースに戻った野尻はここでも事実上の首位をがっちりとキープした。さらに、その2周後には見た目上のトップに立っていた佐藤、坪井、Juju(TGM Grand Prix)がピットイン。佐藤は野尻と山下の後ろでコースに戻るが、アウトラップではさらに山本、太田の先行を許すこととなった。また、この翌周には、事実上の5番手争いが白熱。アウトラップで一旦はかわされた福住が、1コーナーで牧野をオーバーテイクしてひとつポジションを上げる場面が展開されている。
 
決勝3位 山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)

レースが中盤から終盤に入ると、18周を終えたところで松下、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、19周を終えたところ阪口がピットイン。21周を終えたところでは大嶋和也(docomo business ROOKIE)、大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)もタイヤ交換のためにピットに入る。そして、26周を終えたところで、最後に岩佐歩夢(TEAM MUGEN)がピットイン。これで野尻が見た目上でもトップに浮上。残る5周を危なげなく走り切り、今季初優勝を果たした。一方、2番手争いは最後まで白熱。27周を終えたところでは、山本が山下までコンマ802秒まで迫る。ここから2台はOTSを使いながらの攻防を見せたが、山下はポジションを守り切って2位表彰台を獲得した。怪我で昨年の終盤戦を欠場し、この開幕戦が復帰最初のレースとなった山本は、力強く31周を走り切り3位入賞。ゴール後は嬉しさと安堵で涙が溢れた。以下、太田、佐藤、福住、阪口、松下、29周目のスプーンコーナーひとつ目でアウトからのオーバーテイクを見せた岩佐、最後は岩佐にかわされてしまった牧野までが入賞している。また、注目の女子高生ルーキーJujuは、スタート直後の1コーナーで飛び出す場面もあったが、そこからすぐに復帰。初めてのレースながら、31周を着実に走り切り、17位で完走している。
 
次戦、第2戦は約2ヶ月後。舞台は大分県・オートポリスに移るが、その頃には季節も移り変わり、各チーム、各ドライバーにとっては、また新たなチャレンジとなる。そこではどんなドラマが待っているのか。今から期待される。
 

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