2025年シーズンいよいよ開幕 開幕大会は土曜・日曜それぞれ予選・決勝の2レースで開催
2025.03.05
昨年の開幕戦スタートシーン
坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が最終戦で初のタイトルを決定してから約4ヶ月。2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は、3月7日(金)〜9日(日)にかけて、三重県・鈴鹿サーキットを舞台に、開幕の時を迎える。今季のスーパーフォーミュラには、13チーム、22台と、昨年よりも1チーム&1台が増加。外国人と日本人、合わせて5名のルーキードライバーがデビューするだけでなく、ベテランから中堅どころまでバラエティーに富んだドライバーラインナップとなっている。また、ドライバーだけではなく、チームスタッフに関しても、今季トラックエンジニアデビューを飾る若手やチャンピオンエンジニアの移籍など話題に事欠かない。さらに使用されるサステナブル素材を大幅増量したニュースペックタイヤの投入というハード面の変化や、2レース制大会の増加とそれに伴うレースフォーマットの変更など、今年のスーパーフォーミュラは進化が盛り沢山。そうした数々の変化によって、今年はどのようなシーズンになるのか、楽しみは尽きない。
開幕を前に、去る2月18日(火)〜19日(水)には、開幕の舞台となる鈴鹿で今季第1回の公式合同テストが行われる予定だった。だが、このテスト時、寒波が日本列島に居座ったため、テスト2日目は鈴鹿でも本格的な降雪に。結局、2日目のセッションはすべてキャンセルされている。その天候の崩れを見越して、初日はセッションを延長。計5時間のテストが行われ、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップタイムをマーク。福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、三宅淳詞(ThreeBond Racing)がそれに続いた。
公式テストトップタイムの牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
この初日のセッションはウェットコンディションで始まり、多くのドライバーはニュースペックのウェットタイヤの感触を試す。その後、路面が乾くと、全ドライバーが各自に6セットずつ供給されたニュースペックのスリックタイヤで精力的な走り込みを行なった。ここでタイヤの特性を掴むとともに、セットアップをアジャストして行く作業が続く。中には、データ採りを中心に行なったドライバー、デビューレースに備えてレースシミュレーションを行なったドライバーなども見られた。また、このシーズンオフ、鈴鹿は東コースの路面を張り替えているが、その路面に対して、ドライバーたちは新たなラインを探るなどしている。いずれのチームもドライバーもそうした作業の半ばだったが、2日目はキャンセル。まだ充分にデータが揃っていないものの、次に走行するのは、開幕大会の初日ということになった。その分、フリー走行は非常に重要なテストの機会となる。
今年の開幕は、2レース制の大会となるため、走行が開始されるのは3月7日(金)から。専有走行の時間枠は、昨年の90分間から30分増加し、午前11時からの60分間、午後3時半からの60分間、計120分間になる。前回のテスト時に供給された6セットのタイヤは、すべてここに持ち越しが可能となった。そして、専有走行後にそのうち3セットを返却。翌日からの大会に持ち越す3セットに加えて、開幕大会用に3セットのニュータイヤが供給される。テストではもちろん全ドライバーがニュータイヤを複数セット残しているが、専有走行でどのようにタイヤを使用し、いかに開幕2レースの予選・決勝に対してニュータイヤを残していくかも重要なポイントとなるはずだ。また、その一方で合同テスト時に試せなかったセットアップやマシンの煮詰め、可能であればロングランまでをこなしたいと多くのチーム、ドライバーが考えているはず。現場にとっては、非常に忙しい1日となるだろう。テスト時とは気温・路面温度を含めてコンディションも変わってくるが、専有走行での仕上がり具合が本番にも直結してくるはずだ。
公式テスト総合3番手の三宅淳詞(ThreeBond Racing)
そして、8日(土)と9日(日)は、いずれも朝から予選が行われ、午後から決勝レースというスケジュールになっている。8日は午前9時50分から、9日は午前10時15分から、Q1&Q2で争われるノックアウト予選を実施。Q1は2グループに分けて、各10分間で行われる。ここでQ1を突破した12台がQ2に進出。開幕大会は、まだ早春で気温や路面温度が低いため、Q2も10分間で争われることになっている。ここでPPを獲得するのは誰なのか。昨年、一昨年の鈴鹿でのレースを振り返ると、誰もが意識するのは太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。もちろん12月、2月と2回のテストで最速だったチームメイトの牧野、昨年の最終戦で最速ぶりを見せつけた野尻智紀(TEAM MUGEN)も気になる存在だ。さらには、過去野尻と2連覇を達成した一瀬俊浩エンジニアの加入によりテストを3番手で終えた三宅も地元ファンの期待に応える走りを見せてくれそうだ。これに対し、ディフェンディング・チャンピオンとしてシーズンを迎える坪井、テストで2番手だった福住らも力強い走りを見せてくれるはず。もちろんF2での優勝経験を持つザック・オサリバン(KONDO RACING)やSFL王者の小出峻(San-Ei Gen with B-Max)をはじめとするルーキー勢や自チームを立ち上げての参戦となったJuju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)のドライビングにも注目だ。
ルーキードライバー ザック・オサリバン(KONDO RACING)
ルーキードライバー オリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)
ルーキードライバー 高星 明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)
ルーキードライバー 小出 峻(San-Ei Gen with B-Max)
ルーキードライバー イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)
予選を経てのレースは、開幕戦が午後2時45分、翌日の第2戦が午後2時40分にフォーメーションラップがスタート。8日の開幕戦は27周(最大75分間)、9日の第2戦は31周(最大75分間)と、レース距離には違いがある。また、ドライの場合にはタイヤ交換が義務づけとなるが、開幕戦はスタートから10周以降というタイヤ交換のウィンドウがあり、これは昨年までと同じ。一方、日曜日の第2戦には交換のウィンドウがない。つまり、タイヤが持つと思えば、オープニングラップを終えてすぐにピットインしてもOK。逆に先頭がファイナルラップに入る直前にタイヤ交換してもいいということになる。これが各チームの戦略にどのような影響を与えるかというのは、大きな見所のひとつだ。もちろん、22台が一斉に飛び出すスタートの迫力や今年も各自計200秒間使用できるオーバーテイクシステムを使用しながらの序盤のバトル、タイヤ交換前後の攻防など、今年も注目ポイントは多数あるが、最初の大会でいい滑り出しを見せるのは、誰なのか。今後のシーズンを占う上でも、見逃せない2レースとなるのは間違いない。
ディフェンディング・チャンピオン 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)