2025年 第2回公式テスト 2日目総合トップは岩佐歩夢
2025.06.07
2日目総合トップ 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
前日に引き続き好天に恵まれた6月7日(土)の静岡県・富士スピードウェイ。この日も最終コーナー方向には、頂に雪が残る富士山が雄大な姿を見せた。週末ということもあり、朝から多くの観客がスタンドに足を運ぶ中、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2回公式合同テスト2日目のセッションが、午前9時から11時30分、午後2時から4時30分と計5時間に渡って行われた。この2日目のテストで総合トップタイムをマークしたのは、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)。これに1000分の1秒差で坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、午前中のトップタイムでイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)と続いている。
初日は午後から曇り空となった富士。しかし、7日の朝を迎えると、午前7時頃からは再び青空が広がった。セッション開始時の午前9時には、気温が早くも25℃、路面温度も35℃まで上昇。メインストレートに軽く追い風が吹くコンディションのもと、走行が開始された。ピット出口がオープンすると、ほとんどのマシンがまもなくユーズドタイヤでコースイン。開始から5分という段階で、まずはフラガが1分23秒945と、23秒台に入ってくる。続いて野尻智紀(TEAM MUGEN)が1分23秒894とフラガを上回ってきた。さらに、山下健太(KONDO RACING)が1分24秒056、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が1分24秒092、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分23秒946と、上位につけたドライバーたちは23秒台後半から24秒フラットのタイムを出してきた。最初のランを終えると、各ドライバーはセットアップを微調整。そして、再びコースに戻る。その中で、セッション開始から15分というところで1分23秒767とトップタイムを書き換えたのは岩佐。その数分後には、坪井が1分23秒735と、岩佐のタイムをわずかに上回ってきた。さらに、セッション開始から23分というところでは、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)が1分23秒691をマークして、坪井を上回ってくる。
その直後、午前9時25分には、今日最初の赤旗が提示される。これは、最終コーナーを立ち上がり、ストレートに入ったところに複数のデブリが散乱していたため。このデブリの回収が終わると、セッションは午前9時32分に再開された。
2日目総合2番手 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
この再開後には、まず牧野が1分23秒689、岩佐が1分23秒656、さらには坪井が1分23秒588とトップタイムを書き換えてくる。また、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分23秒812、福住も1分23秒710、山下が1分23秒839、2日目は午前中のセッションを担当した関口雄飛(Kids com Team KCMG)も1分23秒678と大きくタイムを伸ばした。その後、セッション開始から1時間近く経ったところでは、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が1分23秒601までタイムアップ。この時点での2番手に滑り込んでくる。そこから10分ほどが経った午前10時05分頃には、坪井がトップタイムを更新。1分23秒108までタイムアップしてくる。それに続いて、山下が1分23秒677、牧野が1分23秒359と、セットアップを煮詰めていく中で、それぞれ自己ベストを更新してきた。
その後、午前10時37分には、セッション2度目の赤旗が提示される。これは佐藤がダンロップコーナーでスピンアウトし、コース外にストップしたため。佐藤はオフィシャルの手を借りてエンジンを再始動すると自走でピットに戻り、セッションは午前10時43分に再開された。この再開後には、福住が1分23秒516、太田が1分23秒522と、自己ベストを更新。セッションの残り時間が12分となったところでは、佐藤も1分23秒427までタイムを伸ばしてきた。
そして、セッション終盤には、多くのドライバーがニュータイヤを使用して、アタックを敢行。ここで1分23秒056というトップタイムをマークしたのは、チェッカー目前にコントロールラインを通過したフラガ。これにセッション中盤に自己ベストを出した坪井と続く。以下、最後のアタックで自己ベストを更新した岩佐、佐藤。さらに、坪井と同様、セッション中盤に自己ベストをマークした牧野と続く。牧野の後ろには野尻、太田が続き、上位7台のうち6台がホンダエンジン勢という結果になっている。
2時間半のインターバルを経て、2日間を締めくくるセッション4が始まったのは、午後2時。この頃になると、メインストレートの追い風は少し強くなったが、まだ陽射しはあり、セッション開始時の気温は26℃、路面温度は47℃まで上昇。初日の午後よりも路面温度が8℃ほど高い中、走行が開始された。この午後のセッションでは、初日と同様、最初の30分間の間に、各ドライバーとも20秒間ずつオーバーテイクシステムを使用できることになっていた。そのため、セッション開始早々から、岩佐が1分23秒510、坪井が1分23秒411、野尻が1分23秒411と、23秒台に入ってくる。しかし、セッション開始から11分というところで、このセッション最初の赤旗が提示された。これは、ピットロード出口付近の路上にデブリがあったため。デブリの回収が終わると、セッションは午後2時14分に再開されている。
岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
この再開後は、ショートランでセットアップメニューをこなしていくドライバーもいたが、山下や福住、佐藤らはそれぞれ25周あまりのロングランに入る。一方、牧野はここで1分23秒465という自己ベストをマーク。またオーバーテイクシステムが使える時間内ギリギリのところでは、岩佐が1分23秒041とトップタイムを書き換えてきた。岩佐によると「あの時はもちろんタイムを出しに行ったというのもあるんですけど、OTSのチェックという意味もありました」ということで、1周を上手くまとめた形だ。これとほぼ同じタイミングでは、大嶋和也(docomo business ROOKIE)も1分23秒990と、この時点での5番手に滑り込んでくる。その後も、ショートラン組は、セットアップメニューをこなしていくが、開始から1時間12分というところで、セッション2回目の赤旗が提示される。これは左リヤタイヤに問題を抱えた岩佐が、13コーナーのアウト側にマシンを止めたため。岩佐は「タイヤバーストの影響はありましたけど、マシンのダメージもほとんどありませんでしたし、時間もそれほど失うことはありませんでした。午後はずっとショートランでしたけど、このテストでまとめ上げるということはしていなくて、それぞれのアイテムの評価をしていました。あとはそれをまとめるだけというところまでできたと思います」とのことだった。さて、この岩佐のマシン回収が終わると、セッションは午後3時21分に再開した。この頃、前半にタイムを刻んだドライバーたちは、ロングランに入っていた。坪井や牧野、野尻、フラガらはここでレースセットアップを確認。1ヶ月先の本戦に向けて準備を進めている。
小林利徠斗(Kids com Team KCMG)
そして、残り時間が30分を切ったあたりからは、ニュータイヤを投入するドライバーがちらほら。ここでザック・オサリバン(KONDO RACING)は、1分23秒668と自己ベストを更新。三宅淳詞(ThreeBond Racing)も1分23秒499と、この時点での4番手に浮上する。ほぼ同じタイミングでは、Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)もニュータイヤを装着したが、ここでは自己ベスト更新とはならなかった。その後、セッションの残り時間が7分を切ったあたりからは、半分ほどのドライバーがニュータイヤでコースイン。締めくくりのアタックに入った。ここでチェッカー目前に1分23秒507という自己ベストタイムをマークしてきたのは福住。しかし、続いてアタックしていた小林利徠斗(Kids com Team KCMG)が福住を上回る1分23秒468を刻んでくる。利徠斗は午前中の関口に代わり、午後のセッションのみステアリングを握ったが、持ち前の速さを見せた。利徠斗によると、「今回は僕の経験を積ませていただくというのもありましたが、クルマのセットだったり、ロングランだったりという所も含めて、色々とさせていただきました。前回乗った時はTEAM IMPULだったんですけど、その時とのクルマの根本的な違いっていうのも感じましたし、セッティングの違いを感じられました。ロングランも安定してペースを刻むことができたと思いますし、スーパーフォーミュラというクルマで、これまで以上にいい経験を積むことができたんじゃないかなと思います。最後のアタックに関しては、タイムで見るとかなり良かったんですけど、あれでもまだ出し切ったという感じではなくて。タイヤをちょっと温め切れなくて、アタック2周目で出したタイムなんです。セクター3ではもうタイヤの初期グリップが落ちてきていて。そこを合わせていければ、もっとタイムを出せたと思いますし、トップに近いタイムも出たんじゃないかなと。自分の中でちゃんと走れている感覚もありましたけど、おそらくクルマが速いんじゃないかと思いました」とコメント。2日間の経験を冷静に振り返った。続いてアタックした牧野は1分23秒185。坪井は1分23秒042と岩佐まで1000分の1秒に迫った。
坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
坪井は「今回のテストは、どちらかというと一発を速く走らせられる何かを見つけたいと思って挑んでいたので、そういった意味では2日目の午前・午後ともに僅差の2番手でしたし、非常にいい形で来れているかなと感じました。ロングランに関しても色々見ることができましたね。もう少しタイムアップさせなくちゃいけない部分もありましたけど、その方法は見つかっていますし、予選に関しても、決勝に関してもかなりポジティブで、引き出しを増やすことができた2日間でした」と総括している。その後も、結局最後まで、序盤に岩佐がマークしたタイムを破ったドライバーは現れず。その結果、最後のセッションをトップで締めくくったのは、岩佐。2番手に坪井、3番手に牧野。以下、太田、ルーキートップの利徠斗、三宅、最後のアタックでタイムを縮めたサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)、福住、山下、大湯と続いている。この最後のアタックでは、天候がすっかり曇りとなり、最終セクターでは雨もぱらつき始めた。それもあってか、自己ベストを出せなかったドライバーもいたが、半分ほどのドライバーたちはここでタイムを更新。Jujuも最後のアタックでは自己ベストを更新して、1分24秒777で1日を締めくくった。
2日目総合3番手 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)
次回、全日本スーパーフォーミュラ選手権・第6戦&第7戦は、7月19日(土)〜20日(日)の2日間、今回のテストと同じ富士スピードウェイを舞台に行われる。この大会は「スーパーフォーミュラ夏祭り2025」と銘打たれ、イベントも盛りだくさん。学校が夏休みに入ったばかりという人も多く、若者や家族連れが大勢来場するものと期待される。その観客の前で、主役となるのは誰なのか。今回のテスト結果を踏まえ、各チーム、各ドライバーは虎視眈々と勝利を狙っている。