「瑶子女王杯 2025年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第10戦・第11戦・第12戦 第24回JAF鈴鹿グランプリ」大会プレビュー
2025.11.19
10月の富士大会から1ヶ月余り。いよいよ今季最後の大会、「瑶子女王杯 2025年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第10戦・第11戦・第12戦 第24回JAF鈴鹿グランプリ」が、11月21日(金)〜23(日)、三重県鈴鹿サーキットを舞台に行われる。前回の富士大会では、第10戦の決勝レースが濃霧のために中止となったが、関係者の尽力により、この鈴鹿大会に振り替えられることとなった。そのため、1大会で3レースが実施される。その分、観客の皆さんにとっては、非常に見応えのある大会となるだろう。一方、ドライバーやチームにとっては、スケジユール的にタイトであるだけでなく、気が休まる時間のない濃密な週末となること間違いなし。中でも、タイトル争いを演じているドライバーたちは、常に緊張を強いられることとなる。その結果、瑶子女王杯を手にし、勝利の美酒を味わうことになるのは、誰なのだろうか?

さて、そんな緊迫の週末を迎える鈴鹿サーキットは、国内屈指のテクニカルコース。現在もF1日本GPが開催されてきており、国内外のドライバーから高く評価されている。その特徴は、あらゆるタイプのコーナーが配置されていること。前半区間はS字からデグナーまで連続するコーナー区間となっており、ドライバーの腕が試される。中盤には低速コーナーのヘアピンがあり、そこから立ち上がると、後半は高速区間。バックストレートエンドのシケインも、ドライバーによって、得意・不得意が分かれるポイントだ。オーバーテイクポイントも、1〜2コーナーやシケインなどをはじめ幾つかあり、過去にも多くの名バトルが演じられてきた。
ポイント・ランキング1位(105.5pts.) 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)

その鈴鹿を舞台に行われる今大会は、前述のように第10戦の決勝が加えられることとなったため、スケジュールにも変更が出ている。まず、大会に先立つ10月21日(金)には、午前11時05分から12時05分、午後2時10分から3時10分の計2時間、フリー走行が行われる。このフリー走行で、各陣営は現場に持ち込んだマシンセットアップの確認に加え、予選・決勝への準備を整えていくことになる。今回は、予選開始時刻が早いため、どこまで参考になるかは分からないが、各フリー走行の最後にはニュータイヤでのタイムアタックシミュレーションを行うドライバーも複数出てくるはずだ。また、午後のセッションでは、ロングランを行うドライバーも多いはず。その仕上がり具合が、翌日からの結果にも大いに反映されるはずだ。
ポイント・ランキング2位(90pts.) 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)

そして、いよいよ公式日程となる10月22日(土)は、当初の予定からスケジュールが変更。午前8時から第11戦のノックアウト予選、午前10時05分からは第12戦のノックアウト予選と、予選セッションが2回続けて行われることとなった。この時期の鈴鹿の午前8時は、場合によって気温が10℃以下という可能性もある。そこから第12戦のQ2が終わる午前10時47分までの間には、コンディションが大きく変化する可能性大。晴れた場合には、気温・路面温度ともにかなり上昇する可能性があり、各チームともにセットアップの合わせ込みには神経を使うことだろう。ただし、寒い時期といえば、ホンダエンジンユーザーが予選上位を独占する場面が多い。その中で速さを見せるのは誰なのか。現在・鈴鹿マイスターとも呼べるほど、常に鈴鹿で速さを発揮している太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が今回も好成績を出すのか。あるいは、チームメイトの牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)や岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)らが上位に並ぶのか。一方、ここまでランキングトップの坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)やシーズン後半戦に入って上り調子のチームメイト、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)、鈴鹿育ちの阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、山下健太(KONDO RACING)ら、トヨタエンジンユーザーたちは、ホンダエンジン勢に対してどう立ち向かうのか。その点も、予選では見所となるだろう。
ポイント・ランキング3位(90pts.) 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

この予選が終わった後、午後2時30分からは、27周で争われる第11戦の決勝レースが行われる。ドライコンディションであれば、このレースはタイヤ交換の義務づけがあり、交換のウィンドウも設定される。トップが10周を終えたところから、最終周に入るまでに、各ドライバーはピットに入り、4輪タイヤ交換を行わなければならない。例年、早めにピットに入りアンダーカットを狙うドライバーと、タイヤ交換を引っ張って、オーバーカットを狙うドライバーに分かれるが、誰がどのような作戦を採るのかは見どころのひとつだ。その前に大きな見所となるのは、やはりスタートからオープニングラップ。まずは誰が1コーナーにトップで飛び込んでいくのかに注目していただきたい。さらに、タイヤがまただ温まり切っていないオープニングラップのバトルは、いつも以上に激しいものとなるはずだ。各ドライバーともに計200秒間使用できるオーバーテイクシステムをどのタイミングで使うかということも合わせて、各車の攻防を堪能していただきたい。
ポイント・ランキング4位(81pts.) 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

翌23日(日)は、午前9時50分から、19周で争われる第10戦の決勝。ドライバーたちは、朝一番からレースに臨むこととなる。この第10戦に関しては、すでに富士で予選が行われており、グリッドは決定済み。PPが牧野、2番手がフラガ、3番手が太田、4番手が岩佐、5番手が野尻、6番手が佐藤と上位にはホンダエンジン勢がずらりと並んでいる。トヨタエンジンユーザー最上位は坪井の7番手。これに大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、阪口、大嶋和也(docomo business ROOKIE)と続いている。このレースはタイヤ交換の義務付けなしということで、スタートが切られたら、あとはドライバー同士の勝負となる。19周ということで、距離も通常より短くなるが、その中でどのような争いが展開されるのか。こちらもスタートから注目していただきたい。そして、午後2時30分からは、いよいよシーズンを締めくくる第12戦の決勝。JAF鈴鹿グランプリのタイトルが懸かる1戦が行われる。このレースは31周で争われ、ドライであればタイヤ交換が義務付けられる。ただし、土曜日に行われる第11戦とは違い、交換のウィンドウが設定されていない。そのため、どのドライバーがどういうタイミングでピットに入るか、各陣営によって作戦が分かれる。その一方、もしセーフティーカーが導入されれば、全車一斉ピットインという可能性も。それも含めて、スタートからチェッカーまで目が離せない展開となるはずだ。この3戦のレースを経て、今年もチャンピオンが決定するが、現在ランキングトップの坪井が2連覇を果たすのか。岩佐、太田といった若手、あるいは牧野が逆転を果たして初のタイトルをもぎ取るのか。瑶子女王杯を誰が手にするのか。いずれにしても、ドラマチックな1年の幕切れとなることだろう。
