2026年 第4戦決勝 天候に翻弄されたレースはサッシャ・フェネストラズが大逆転勝利を飾る
2026.05.23
第4戦 決勝1位 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)

曇り空から時折パラパラと霧雨が降るコンディションとなった5月23日(土)の三重県・鈴鹿サーキット。午後2時45分にフォーメーションラップがスタートした全日本スーパーフォーミュラ選手権・第4戦の決勝レースは、セーフティーカーが2回導入される荒れた展開となった。特に1回目のセーフティーカーランが終わり、リスタートが切られた頃には軽い雨が降り、路面が非常に滑りやすい状況になる。そこで発生したアクシデントにより2回目のセーフティーカー導入となり、上位陣はレインタイヤに交換するため2度目のピットインを選択。これに対して、スリックタイヤのままステイアウトしたドライバーたちが数人いた。そして、そのままステイしたドライバーたちが最後は笑うことに。結果として、14番グリッドからスタートしたサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)が今季初優勝。2位には、今年新規チームでのカムバックを果たした予選13番手の松下信治(DELiGHTWORKS RACING)。さらには、予選でタイム抹消となり22番グリッドからスタートした坪井翔(VANTELIN TAM TOM’S)が3位表彰台を獲得。それとは反対にPPスタートの岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)は13位、予選2番手の野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)はリタイヤ。レース中盤、1回目のセーフティーカー明けでトップに立った太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はレインタイヤに履き替えたことで7位に終わっている。

終日、曇りのコンディションとなった鈴鹿。メインストレートにはずっと向かい風が吹いており、朝からずっと肌寒いコンディションとなった。午後2時45分にフォーメーションラップがスタートした時点で、気温は20℃、路面温度は24℃。24台のマシンはその中を1周の隊列走行へ。全車が無事に正規グリッドに着くと、後方ではグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。31周先のチェッカーに向けて、一斉にスタートが切られた。このスタートでホールショットを奪ったのは、PPの岩佐。これに野尻が続く。この2台に続いたのは、5番手スタートの福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)、6番手スタートの佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、4番手スタートの阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、7番手スタートのイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)、9番手スタートの大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)。予選3番手だった野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)はホイールスピンして加速が鈍り、後方のマシンに飲み込まれる形になってしまった。また、8番手スタートだった小出峻(ThreeBond Racing)は痛恨のエンジンストール。大きく遅れることとなっている。その後方では、12番手からスタートした太田が9番手まで浮上してきた。太田の勢いはその後も続き、2周目の1コーナーでは野村をオーバーテイクして8 番手に浮上。3周目の130Rでは大湯をかわして7番手に浮上してくる。

この頃トップ集団は膠着。岩佐と野尻、野尻と福住、福住と阪口の差はそれぞれ約1秒となっている。その中からジワジワと差を広げ始めたのはトップの岩佐。7周を終えたところでは野尻に対して2秒200というマージンを稼いでいた。そして、岩佐が8周目の第1セーフティーカーラインを越えると、タイヤ交換のウィンドウが開く。そこで、8周を終えたところで真っ先にピットロードに滑り込んだのは太田。太田は前を行くフラガに迫っていたが、なかなかオーバーテイクに至らず、アンダーカットを狙って早めのピットインを選択した。

これと同時にピットに入ったのは、松下、大湯、小林可夢偉(KDDI TGMGP TGR-DC)、山下 健太(KCMG)、チャーリー・ブルツ(TEAM GOH)、ロマン・スタネック(ナビクルBuzz MK RACING)。松下は、右リヤタイヤの交換に時間がかかり、大きくタイムロス。ここで大湯、可夢偉の先行を許している。その翌周には福住、佐藤、小林利徠斗(KDDI TGMGP TGR-DC)、笹原右京(REALIZE KONDO RACING)、Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)がピットイン。福住は、太田の前でコースに復帰したが、すでにタイヤが温まっている太田がみるみる迫り、NIPPOコーナーでは太田が福住をオーバーテイク。太田がタイヤ交換組のトップに立つ。また、佐藤はマシントラブルを抱えて、そのままガレージに入れられた。この頃、西コースからは少しずつ雨が降り始め、午後3時07分には競技団からWET宣言が出される。その滑りやすいコンディションの中で、激走を見せたのは太田。11周目、トップの岩佐が1分41秒919というラップタイムだったのに対して、太田は1分40秒109というファステストラップをマーク。その後も、太田は1分40秒台のタイムを連続してマークし、岩佐との見えないタイム差を縮めていく。11周を終えた時点で39秒458だった2台の差は、15周を終えたところで35秒169、さらに18周を終えたところでは33秒089となっていた。しかし、この頃、130Rで大きなクラッシュが発生。野中誠太(KCMG)が130Rで突然バランスを崩してスピンし、フロントからスポンジバリアに突っ込んだ。そのため、セーフティーカーの導入が決定される。

そこで19周を終えたところで、岩佐、野尻、阪口、ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)、ルーク・ブラウニング(REALIZE KONDO RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、フェネストラズ、坪井と、まだタイヤ交換を行なっていなかったドライバーたちが、一斉にピットロードに傾れ込んだ。チームは素早い作業を見せて、岩佐は第2セーフティーカーラインでギリギリ太田の前に出ることに成功。トップをキープした。対する太田は、すでにSCボードが出されているコース上で、目の前にいたフェネストラズがピットロードに入るのを待たなければならず、その分タイムロス。2番手で岩佐に続くことになる。全車がタイヤ交換を行なった段階でのオーダーは、岩佐、太田、福住、阪口、フラガ、オサリバン、岩佐と同時ピットになって待たなければならなかった野尻、野村、ブラウニング、牧野、フェネストラズ、可夢偉、大湯、松下、坪井、ブルツ、利徠斗となっていた。このセーフティーカーラン中、再び空からは雨粒が落ち始めて、路面は次第に滑りやすいコンディションに。しかし、野中のマシン回収が終わってコース上がクリアになると、22周を終えた所でセーフティーカーはピットレーンへ。レースはリスタートされる。トップの岩佐は最終コーナー立ち上がりからようやく加速。しかし、タイヤが冷えている状況でのグリップが不足しており、1コーナーでは太田と福住の先行を許して3番手にドロップしてしまう。

その後方では、滑りやすい路面に足を取られる形で、再びアクシデントが発生。フラガが阪口に対してオーバーテイクを仕掛けたものの2コーナー立ち上がりでクラッシュ。これに続いて、NIPPOコーナーでは野尻がコースオフしてコース外にマシンを止めた。ちょうどこのリスタートのタイミングで2回目のピットインを行い、唯一タイヤをレインに交換していたのはロマン・スタネック(ナビクルBuzz MK RACING)だったが、フラガと野尻のアクシデントを受けてすぐさま2回目のセーフティーカーが導入される。そして、このタイミングで再びピットが慌ただしくなる。23周を終えた所では、トップの太田に加え、リスタートでポジションを上げていたオサリバン、福住、野村、岩佐、阪口、牧野、可夢偉、Jujuが2回目のピットイン。これはレインタイヤに交換するためだ。一方、ここでスリックタイヤのままステイアウトすることを選んだのが、フェネストラズ、ブラウニング、大湯、松下、坪井、チャーリー・ブルツ(TEAM GOH)、利徠斗の7名だったが、利徠斗はセーフティーカーラン中、25周を終えた所でやはりレインタイヤに交換するため、ピットロードに入っている。フラガと野尻のマシン回収が終わり、レースがリスタートしたのは27周終了時点。セーフティーカーランが少し長めだった間に雨は止み、路面は急激に回復していた。この2回目のリスタートでは、フェネストラズがトップをがっちりキープ。ブラウニングがそれに続く。その後方では、松下が1コーナーで大湯をオーバーテイクし、3番手に浮上する。レース序盤からストレートスピードが伸びないと訴えていた大湯には、なすすべがなかった。続くスプーンコーナー入り口までには、坪井も大湯を捉えて4番手に浮上。さらに、130Rでは松下がブラウニングを捉えて2位に浮上してくる。ブラウニングもストレートの伸びに問題を抱えていた。そのため、松下に続いて29周目のメインストレートでは、坪井がブラウニングをオーバーテイクし、いよいよ表彰台圏内の3位まで浮上してきた。その後方では、太田がリスタート直後にスタネックをオーバーテイクしてレインタイヤ組のトップに立つが、すでに路面コンディションはドライ。スリックタイヤ組と比べて、ラップタイムは1周15秒近く遅くなり、そこからの挽回は不可能だった。そして、31周を走り切り、トップチェッカーを受けたのはフェネストラズ。2位に松下、3位に坪井と、予選グリッドが後方だったドライバーたちが大逆転で表彰台を獲得している。4位にはブラウニング、5位には最終ラップで大湯をかわしたブルツ、6位には大湯。これにレインタイヤ組が続く形となり、太田は7位。以下、スタネック、オサリバン、福住までがポイントを獲得。PPの岩佐は13位でレースを終えることとなった。
明日、24日(日)は終日曇りの天気予報。ドライでの予選、決勝が期待されているが、誰がPPを獲り、誰が勝利の美酒を味わうのか。まず注目の予選は、午前10時25分から始まる。
第4戦 決勝1位 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)

第4戦 決勝2位 松下信治(DELiGHTWORKS RACING)

第4戦 決勝3位 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
